お父さんが厳しいせいで映画館に行ったことのなかったチャイ売りの男の子が生まれて初めて観た"映画"に恋して、料理上手なお母さんのお弁当で映写技師のおじさんを餌付けして映写室に入り浸っているうちに自分で映画を作ろうと思い立つ映画を上映します。ダメですよ、当館の映写技師に同じことしちゃ。
アメリカ行き豪華客船で催された【世界王者vs.乗客の希望者全員】のチェス大会で、生涯で一度もチェスの駒を握ったことのない男が尋常ならざる強さを見せて一騎打ちへと発展する映画を上映します。 これがこの映画の現在パートで、同時進行で描かれる過去パートで強さの謎が明らかになるのですが、
授業を重ねる中で2人には友情めいたものも生まれるのだけど、それは【友情めいたもの】であって友情ではなくて、結局のところ噓がバレれば命はない。コメディみたいな設定が逆に過酷なシチュエーションを際立たせる『ペルシャン・レッスン 戦場の教室』12/9(fri)~上映です。 movie.kinocinema.jp/works/persianl…
パリ暮らしの92歳マダムがとうとう街の反対にあるケアハウスに移ることになってタクシーに乗り込んだら、無愛想ドライバーとの道すがらあの時この時の想い出が次々よみがえってきて、大通りから小路へ裏道へ、ただの"移動"が記憶とパリをめぐる寄り道だらけの最後の"旅"になってゆく映画を上映します。
出版社勤務の激務で小説家になる夢を諦めかけている彼と、バイトも続かず家で独りでいることが多い彼女との同棲カップルが、彼女が彼と同じ出版社で働き始めることになって、そうしたら彼女が、ダメな子だった彼女が、作家や同僚にどんどん認められていって、彼の心が軋んだ音を立てる映画を上映します
買った家の地下にマンホールがあって降りると家の2階に到着してその間に12時間が経過しててさらに自分が3日若返ってる映画を上映します。整理しましょう。地下から降りると2階に着く穴で、人生を半日失うけれど3日若くなれる。穴には何度でも降りれます。……ね?もうこの映画のことしか考えられない。
ギャングへの借金返済が滞り大ピンチのB級映画プロデューサー、ニセ新作西部劇の主演に仕立て上げた老俳優を撮影中に"事故死"させ保険金ゲット!…のはずが、このジジイ危険なスタントでも無駄に死なない!このままじゃ普通に映画完成しちゃうッ! 『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』初夏上映予定
イタリアの豪邸に住む一家の生活にいつの間にか美青年が入り込んできてその家の娘と息子と妻と旦那と女中が全員彼の魅力に飲まれた挙句に肉体関係を持ってしまい家庭がぶっ壊れる映画を上映します。だいぶ時代の先を行ってる感ありますがイタリア映画界の偉大なる異端児パゾリーニの50年前の作品。
タイトルは『ボイリング・ポイント/沸騰』。妻子との別居問題で開店前から絶不調のオーナーシェフを筆頭に厨房もホールも皆それぞれに何かを抱えていてそれがドラマを生み出していくのですが、とにかく「抱えているものがあるとか関係なく次から次へと注文が来る」ので、映画全体の緊張感が凄い。
憧れの映画業界で働き始めた新人ちゃんの映画を上映します。『プラダを着た悪魔』みたいな映画かな? 無機質なオフィス、コピー機、給湯室、電話、メール、電話、メール、目の細かい紙ヤスリのようにメンタルを1mmずつ削る小さな日常的ハラスメント。そしてその日、彼女は【あること】に気付く。
森で暮らしていたおばあちゃんが死んだ哀しみでおかあさんがふっとどこかにいなくなってしまった8歳の子が、森で同い年の子と友だちになって家に行ったらその子のおかあさんが若い頃のおばあちゃんで、私、8歳の頃のおかあさんと友だちになったんだ、と気づく宝石のように美しい73分の映画を上映します
「ティルダ・スウィントンが電話で元恋人と話をしていて最初はクールで余裕あるいつものティルダ様なのに次第に相手への屈折した想いが隠し切れなくなっていく、30分間巨大感情炸裂完全一人芝居」という、映画ファンにとってご褒美でしかない短編映画を上映します。30分間ずっとティルダ様のターン。
団地に住んでる250匹の猫ちゃんがお引越しするドキュメンタリー映画を上映します。発端はアジア最大級の巨大団地取り壊し。特定の飼い主がおらず住民全体で面倒見ていた猫たちの大ピンチに、団地有志で移住計画を立てることに。とはいえこの難事業、何から手を付けたものか。まず250匹を見分けなきゃ!
街のファッション界とゲイコミュニティの中心だったけど今はヘアメイクドレッサー引退して老人ホーム暮らしの偏屈ジジイが大昔の顧客から遺言で死化粧を任されて、ホーム脱走して街を目指す旅の中で次第に全盛期のファビュラスを取り戻して自分の過去と未来に向き合っていく、良すぎる映画を上映します
比喩ではなく文字通りの意味で命に値段をつける映画を上映します。"その日その場所"にいたのは稼ぐ者と貧しい者、若い者と老いた者、養う者と違う者。全員が、被害者。これは「限られた補償金を9.11テロ被害者遺族7000人にどう分配するか」という、絶対に正解のない敗者のゲームに挑んだ弁護士の実話。
クビにされた失望を「公爵様のされたことだ…」と押し殺す料理人が、まもなく到来するフランス革命ドンピシャ世代で価値観が新しい息子や、料理人=男の時代に弟子入りしてきた謎の女性と共に店を繁盛させていると、例の公爵が噂を聞きつけてきて…。 至福の映画『デリシュ!』は9/30(金)から上映です
のどかなアイルランドの島で暮らすおじさんが理由もなく親友のジイさんから絶交される映画を上映します。不穏。ジイさん理由教えてくれず「今度話しかけたら自分で自分の指を切り落す」とまで言い出す。不穏。ご近所のバリー・コーガンは「ハッタリかもだし指1本分試したら?」とか言い出す。言いそう
カメラが彼女を、中絶が違法だった60年代フランスで望まぬ妊娠をしたのに相手の男含め誰からも助けてもらえない大学生の彼女だけを、撮り続けるので、次第次第に自分が彼女であるような感覚になって、刻々と時が進む12週間、恐怖を、怒りを、そして未来への情熱を、自ら体感していく映画を上映します。
世界最北端駅までの旅行を恋人の女性にドタキャンされた女子大生が仕方なく一人で寝台列車に乗り込んだらデリカシー能力値ゼロの男と同室になって(最悪じゃん…)と思ったら実際普通に最悪で、最悪なんだけど、そうなんだけど、いつしかその旅が2人それぞれ特別な時間になっていく映画を上映します。
映画の始まりから強烈な違和感を覚えるはず。清潔すぎるし華やかすぎし幸せすぎる、と。"町"には何かしら不自然な要素がある。だけどそれが何かは分からない。究極の居心地の良さと強烈な不安感がマーブル模様のように混じりあい、狂っているのが町なのか主人公の彼女なのか分からない。今はまだ。
アーサー王の円卓の前に現れたる異形異様の"緑の騎士"の「我に一撃加えた者に栄誉を、ただし翌年同じ一撃受けに来い」の提案に若きガウェインが来年不要と一撃で首を落とすと、かの者悠然と己の首を拾って「では来年」。やむなく首を差し出すために旅立つ、A24史上最もダークで美しい映画を上映します
人との関わりを断って山奥で高級トリュフを採りながら暮らす男がトリュフを嗅ぎ分ける相棒のブタを奪われて奪還のため街に降りる。街での相棒はトリュフバイヤーの若者。男には過去がある。若者にだって若いなりに、ある。だが過去のことは今はいい。彼らが今やるべきはただ一つ。「俺のブタを返せ」
昔々あるところにマリアという娘と2匹の子ブタがいたけどマリアは"集団"を脱走した"悪い子"なので森の家に住んでいるけど"オオカミ"がじわりじわりと迫ってきて精神限界でイエの床も壁もマリアも万物が変容して溶け混じるしブタが途中からニンゲンな映画を上映します。吐きそう。速攻2回観ました。
変わり者とかクセの強い人物のキャラクター造形は十八番のベネディクト・カンバーバッチが伝説のネコ画家ルイス・ウェインの愛おしくてほろ苦くて切ない人生を演じて、生涯妻とネコだけ愛しまくる映画『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』は今冬上映予定です。
公開中の『ドント・ウォーリー・ダーリン』当館では1/6(fri)から上映します。監督は『ブックスマート』のオリビア・ワイルド。"町"のビジュアルはそれこそ徹頭徹尾完璧だし出演陣もフローレンス・ピュー、ハリー・スタイルズ、ジェンマ・チャン、クリス・パインと超豪華です。