知性と理性が極まった【永遠人】たちは巨大ドームの中でとこしえを生き、外界では彼らが建立した浮遊巨大神像ザルドスを崇める野蛮な【撲滅戦士】たちが力なき【獣人】の殺戮に明け暮れる。それが2293年の世界。戦士の1人が不可侵のドーム内に到達し、永遠人とのファーストコンタクトを果たすまでは―
ちなみにこの監督の前作は、超人的な力を得てしまったイタリアのチンピラマフィアがそんな自分を日本のアニメ「鋼鉄ジーグ」のキャラだと信じ込んだ少女のために同じく超人となってその力で人気YouTuberになろうと画策する巨悪(巨悪か?)と闘う『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』。作風、ブレてない。
アフガニスタンとパキスタンで35年に渡り活動を続け、2019年に凶弾に命を奪われた医師・中村哲さんのドキュメンタリーを上映します。干ばつの渇きと飢えに人々が苦しむ中、大河クナールから水を引く用水路を7年がかりで建設するという、医療を遥かに超えた地点にまで及んだ活動。その根底にある理念。
映画のタイトルはこれです。仕事も恋人も失って、待っているのは完治しないと知りながらのリハビリの日々。昨日まで生きていた、自分が主人公のドラマが理不尽な打ち切りにあって、急に別ジャンルの番組が始まったような苛立ちと困惑。だけどそこから彼の本当の、本物の物語が始まります。
『殺しを呼ぶ卵 最長版』今冬上映です。「史上唯一の養鶏サスペンス」という謳い文句や「卵が先か、殺しが先か」というコピーが気になりすぎて、ほとんど誰も通常版を観てないのに出し抜けに最長版であることが気にならないほど。
『パンズ・ラビリンス』『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロ監督が宿願だった映画を完成させたので上映します。ウェス・アンダーソンとも組んでいるストップモーションアニメ界のレジェンド、マーク・グスタフソンと共に命を吹き込んだのは、世界で一番有名な木でできた少年の物語。
何かから逃げたり何かと戦ったりする映画よりも、何かを【受け入れてしまった者】の心の作用と行き着く先をじっと注視していく作品の方が、もしかしたらずっと怖い。北欧発、全米配給権をA24が獲得した『LAMB ラム』は10/28(fri)より上映です。SNSでの告知お待たせしました。
身につまされるのはこれが監督の実体験を元にした映画だということ。"これ"を全部くぐり抜けて海兵隊で映像記録担当になって、そして映画監督としてこの作品をつくったということ。二重三重に心を動かされます。 『インスペクション ここで生きる』9/1(金)より上映します。
養護施設を脱走してお母さんに会いに行ったけどやっぱりそこに居場所はなくて知らない町の海岸でぼんやりしてたら軽トラで寝起きしてるあやしい風体のオダギリジョーに出会って、その海岸が少年の"居場所"になる映画を上映します。オダギリジョー、軽トラで寝起きするあやしい風体の男が日本一ハマる。
もちろんその嫌な予感は現実になるわけですが、目を離している隙に子供が何をしでかすのか予測不能で"怖い"という大人の感覚と、初対面の子と友達になるのも不思議がどんどん起こるのも別に"怖くない"という子供の感覚と、どちらも同時に抱いてしまうせいで呆然とこの映画を観続けることしかできない。
これ以上ないほど空気の澄んだ北イタリアの山麓で1人は都会育ち1人は山育ちの少年が出会ったのは10歳のこと。以来2人は無二の親友で、思春期から大人へと巡る季節を時には共に時には離れ離れに成長していく、男たちの完璧な友情映画を上映します。「焚火に美しい山々、そしてお前。一生これで満足だ」
映画のタイトルは「ヒューマン・ボイス」。特別価格800円で11/3(木・祝)から上映します。 さてペドロ・アルモドバルといえば、女であること、母であること、人であること、の業と喜びを幾重にも織り込んだ長編が真骨頂。同日11/3から長編『パラレル・マザーズ』も上映するのでこちらもお楽しみに。
名門パブリックスクール男子寮の中でも顔も頭もとびっきり良い彼のことを、共産主義的な自分とは相容れないブルジョワ野郎だと軽蔑したいのにどうしても気になって目で追っていたら彼と別寮の美少年の関係がどんどん深まっていく、若き日のコリン・ファースらキャストが眩しい傑作映画を上映します。
建物をル・コルビュジエがイメージした創建時に近づけるため国立西洋美術館が長期休館するというので、その隙に普通だったら入れない裏側やスタッフの本音を撮りまくった映画を上映します。訪れる者なき静謐に沈む絵画たちも、両腕複雑骨折したみたいになってる「考える人」も、ここでしか見れない。
少年たちの出自は様々。料理も様々。映画を観た後でどの国の料理を食べようか、どのレストランに立ち寄ろうか、どんな食材買って帰ろうか、楽しく悩みつつも移民問題に想いを馳せることになる『ウィ、シェフ!』5/5(金)から上映です。
"それ"が罪だというのなら、法を守れば自由にするというのなら、自由は塀の内と外のどちらにあるのか。ドイツでは1994年まで刑法で男性の同性愛が禁じられ、女性同性愛は"存在しない"ので記載もなかったそう。映画のタイトルは『大いなる自由』。8/4(金)から上映です。
ロックダウン下のベルファストで1日11時間のリハーサルを一週間重ねた末に、実際に夜の市内で撮影に挑んで完成させた衝撃作『ナイトライド 時間は嗤う』は12/23(fri)より上映です。主人公以外のほぼ全員が【通話口の音声だけで映画に登場しない】のが余計に緊迫感を煽る。
ハプスブルク家最後の皇妃で美と若さの象徴である"シシィ"が自らの存在理由であるその"象徴"を失いつつある1878年の1年を、中指突き立てたり宮廷で奏でるハープがローリング・ストーンズの曲だったりと挑発的な時代考証で描く『エリザベート1878』は9/15(金)から上映します。
笑えて前向きになれてポジティブなメッセージを受け取れる『シャイニー・シュリンプス! 世界に羽ばたけ』はフランスでシリーズ累計70万人動員のヒット作。一応2作目ですが前作を観ていなくても問題なしです。あとこいつら大して水球しないので水球のルール知らなくても問題なしです。せんのかい。
「あなたがどんな詩を書いたって、日本は戦争に負ける」 萩原朔太郎の娘である萩原葉子の同名小説映画化『天上の花』は1/20(fri)より上映です。レーティングはPG12ですが女性への暴力描写がありますのでご注意ください。
パリの小さなアトリエで、絵は描けるけど物語が作れないイラストレーターの脳内にやんちゃな男子小学生のキャラが生まれたので、ストーリーならお手のものの親友作家と一緒になってその子の世界を拡張してみたら、フランス最高の児童書シリーズ「プチ・二コラ」が誕生してしまった映画を上映します。
この手の映画が大好物な方はもちろん未体験の方も、巨大神像ザルドスの圧倒的すぎるビジュアルインパクトや、深淵なのか深淵「風」なのか判然としない形而上学的ストーリーを存分にお楽しみください。『未来惑星ザルドス』12/23(fri)より一週間限定上映です。
"語り手"の周りに集まった人々が古代エジプトの話が聴きたい中世欧州がいい、いやモロッコだ、主人公は男だ女だと口々に言うものだから、3つの時代の3人の王子の物語が語られて、耳そばだてる私たちを古今東西の歴史と泉のように湧き出る想像力が織りなす別世界へといざなってくれる映画を上映します。
これは多分お涙頂戴のために不幸要素を集めて1人のキャラに全部盛りしたわけじゃなくて、子供の貧困率や非正規労働者の割合やひとり親世帯の比率や19歳以下の出産率の全国1位がぜんぶ沖縄県なのはそれぞれの要素がどこかで関連しているからで、きっと"彼女"はスクリーンの向こうにもこちらにもいる。
そこでは心や体に障がいがあったり、シングルペアレント、不登校経験者、セクシャルマイノリティ…多様な人が働いています。 という説明の時点で(OK、良い映画だろうけど守備範囲じゃないな)と思った人にも届けたい作品です。これ、伸び盛りの野手のように守備範囲を広げる可能性のある映画なので。