初版道(@signbonbon)さんの人気ツイート(古い順)

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室生犀星は毎年早春になると、泉鏡花に軽井沢のウドとワラビを送っていましたが、必ず電報でお礼状が来て、翌日には虎屋の羊羹が届いたそうです。いかにも鏡花らしい律義さに、同郷の後輩である犀星は恐縮したとか。それにしても、昔も今も虎屋は大したものであります。
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夏目漱石とシャーロック・ホームズが殺人事件に挑む画期的な小説が、島田荘司『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』(昭和59年、集英社)です。漱石とホームズの性格が実によく描かれ(特に初対面のシーン)、文庫本で読めます。人に小説を薦めることは滅多にありませんが、2人を愛する人に読んでほしい傑作です。
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夏目漱石の全集未掲載の文章を発見しました。内容も非常に興味深いです。「日本の古本屋」で近代文学専門店ではない古本屋から購入。ネットは誰もが公平に資料を入手できるチャンスがあります。 漱石が語る文学観 作家は「如何に世の中を解釈するか」:朝日新聞デジタル asahi.com/articles/ASM5Y…
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「新聞で紹介された初版道コレクション」その①芥川龍之介『鼻』自筆完成原稿(平成24年10月3日付『毎日新聞』夕刊一面より) 自前の芥川龍之介展で初公開することになり、まず芥川と縁の深い『毎日新聞』が掲載。その後各紙が取り上げました。長く行方不明でしたが、久米正雄宅で発見された原稿です。
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草野心平語録 ①「若い文学の友よ。どうか白秋を読んでくれ。その厖大さに遠慮なく驚いてくれ。」 ②「現在の日本詩壇に天才がゐるとしたなら、私はその名誉ある「天才」は宮沢賢治だと言ひたい。」 ➂「中原よ。地球は冬で寒くて暗い。ぢや。さやうなら。」  心平も間違いなく天才詩人だと思います。
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今日は芥川龍之介の命日「河童忌」です。昭和2年7月は連日猛暑で、今年も東京は真夏日でした。「僕は一番暑い日に死んで、みんなを困らしてやるんだ」と言っていた芥川は、天国で微笑んでいるでしょう。ちなみに内田百閒は「あんまり暑いので、腹を立てて死んだのだろうと私は考えた」と語っています。
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菊池寛は芥川龍之介の作品の愛読者を自認し、「志賀君と谷崎潤一郎君と君のものと丈は、万難を排して読んで居る。読めば必ず報いられるからだ」と語っています。菊池が芥川を愛読したことは当然ですが、「万難を排して」志賀と谷崎を読んだことは驚きを禁じ得ません。さすがは小説の神様と大谷崎です。
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母が小学校6年生の誕生日にプレゼントしてくれた手作りの「近代作家リスト」の一部です。武者小路実篤は健在でした。改めて見返すと、このリストに出ている作家の初版本を蒐めたことに気が付きます。感謝の言葉しかありません。
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今日は谷崎潤一郎が千代夫人と離婚し、佐藤春夫が彼女と結婚することを3人の連名で発表した日です。世に「細君譲渡事件」と称され当時の新聞にも「友人春夫氏に與ふ」とありますが、物ではないのだから千代夫人の尊厳を傷つける呼び方はいかがなものかと。春夫に愛された千代は幸せだったと思います。
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昔は「あー、啄木が死んだ年齢を超えてしまった」という感慨があり、その対象が中也になり、芥川になり、太宰になったものですが、漱石を超えたあたりからは何も考えなくなって、気がつけば朔太郎も超え、鷗外すら射程内に入りました。誠に少年老い易く学成り難しであります。
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もう一つ想定外なことがあって、本に架空の蔵書印が捺されていました。中学校の図書館の蔵書という設定だったからです。蔵書印がテレビに映ったのは1秒足らずで、捺されたページの裏からの撮影でした。そこまで演出に拘るのは立派だと思いますが、借りた物であることだけは忘れないでほしかったです。 twitter.com/signbonbon/sta…
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室生犀星の詩「本」。季節違いだけれど、美しい詩はいつ読んでも美しいです。そして「新しい頁をきりはなつ」(アンカットのこと)と書いた時、意識せずとも犀星は初版本を思い描いたに違いありません。それは、あるいは盟友・萩原朔太郎の詩集だったのでしょうか。この詩に心から共感できて幸せです。
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映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』の公開に合わせたかのように、最近ヤフオクに『人間失格』初版本の出品が増えていますが、太宰の自殺直後に刊行された本書は大量に現存し、帯がなければ相場は3,000円位(保存並の場合)です(帯付は15,000円位)。「便乗商法」にご注意ください。 twitter.com/signbonbon/sta…
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今日は正岡子規の命日です。遠くイギリスで訃報に接した夏目漱石は、「倫敦にて子規の訃を聞きて」と題し、5句を高浜虚子に書き送りました。特に「手向くべき線香もなくて暮の秋」は秀句です。漱石は『吾輩ハ猫デアル』中編の序文で親友を追悼。誰よりも彼に『猫』を読んでもらいたかったのでしょう。
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芥川龍之介は与謝野晶子に「奥さん、私は平凡な女の最初の良人になるより、秀れた女の十一人目の恋人になる事を望みます」と語りました。なぜ「十一人目」なのかは不明です。『みだれ髪』の大歌人を「奥さん」と呼ぶのは違和感を覚えますが、夏目漱石も手紙で「与謝野の細君」と。そういう時代でした。
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芥川龍之介・中原中也・太宰治も愛した「ゴールデンバット」の終焉。「1日に芥川龍之介の墓を訪れてみると、花とともにやがて姿を消してゆく、ゴールデンバットが封が切られた状態で置かれていました」という感動的な画像とともに、芥川の映像も見られます。 www3.nhk.or.jp/news/html/2019…
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フォロワーさんにプレゼントした芥川龍之介の初版本が、台風19号により水没してしまったそうです。大切にされていたようで嘆き悲しみが深く、少しでも慰めになればと願い、後日同じ本を差し上げることにしました。改めて、天災や戦災を免れて現存している書物のありがたさを感じないではいられません。
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墓の名前を書いた人(前編) 芥川龍之介→小穴隆一、石川啄木→宮崎郁雨、泉鏡花→笹川臨風、岩野泡鳴→本人、上田敏→岡田正美、尾崎紅葉→巌谷一六、梶井基次郎→中谷孝雄、川端康成→東山魁夷、国木田独歩→田山花袋、斎藤茂吉→本人、志賀直哉→上司海雲、島崎藤村→有島生馬、田山花袋→島崎藤村
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墓の名前を書いた人(後編) 太宰治→本人、檀一雄→草野心平、坪内逍遙→市島春城、土井晩翠→本人、徳冨蘆花→徳冨蘇峰、中野重治→原泉(妻)、中原中也→本人、夏目漱石→菅虎雄、二葉亭四迷→池辺三山、正岡子規→陸羯南、正宗白鳥→本人、三好達治→本人、森鷗外→中村不折、横光利一→川端康成
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泉鏡花の誕生日を祝し、特に人気の高い初版極美完本をアップします。処女単行本『活人形』、『高野聖』(カバー)、『風流線』正続(袋)、『婦系図』前後編(カバー)、『日本橋』(函)です。やはり鏡花本の美しさは格別ですね。
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谷崎潤一郎の『人魚の嘆き』は、名越国三郎の挿絵2枚の削除を条件に発禁処分を免れた大正6年版初版本が有名ですが、大正8年版『人魚の嘆き・魔術師』の水島爾保布による絵も負けないくらい怪しげです。しかもこちらは大判なので、画集のように見栄えがします。復刻はされていません(3版まで確認)。
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某スポーツ新聞社から、昨日逮捕された女優が映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」に出演していたことについて電話取材を受けました。「天国の太宰はどう思いますかね」というくだらない質問があったので、「太宰は天国にいるとは限らないでしょう」と答えておきました。記事にはならないと思います。
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太宰治の作品中の「天国」 「私には天国よりも、地獄のほうが気にかかる。」『佐渡』 「天国へ行くか地獄へ行くか、それは神様まかせだけれども、ひょっとしたら、私は地獄へ落ちるかも知れないわ。」『貨幣』 「地獄は信ぜられても、天国の存在は、どうしても信ぜられなかったのです。」『人間失格』
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その昔田中角栄の演説を聞いた人が、「広い会場で自分だけに話してくれている錯覚を抱いた」と言っていました。太宰治の小説も、熱狂的な読者は自分だけに語りかけていると思います。角栄と太宰。今なお絶大な人気を誇る二人は、職業こそ異なれども、人を虜にする点では相通じるものがあったようです。
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凄い写真集が出ました。『素顔の文士たち』(田村茂、河出書房新社)です。太宰治の「最期の27枚」を初めて完全収録。鎌倉文庫前の川端と久米、猫と戯れ破顔一笑する若き三島、煙草をくゆらす春夫、実篤の絵を飾った光太郎、息子を肩車する安吾など81人が登場。本棚がたくさん写っているのも嬉しいです。