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どの自治体も今年度は税収不足なので、来年度の公的な文学館・記念館の予算はいずこも厳しくなります。そこである文学館の学芸員の方が館独自のクラウドファンディングを提案したら、役所の人から「コロナ禍の今、文化的な事業は後回し」と言われたそうです。誠に文化果てる国を実感する話であります。
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ある有名な女優のマネージャーから連絡があり「○○が太宰治の大ファンで、彼のサイン本がほしいと言っている。あなたがたくさん持っていることは古本屋から聞いた。ついては○○の写真集のサイン本と交換してもらえないか」と。もちろん丁重にお断りしました。「正気ですか?」とは尋ねませんでした。
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ツイートを見たマネージャーから再び電話があり「こっちは貴方宛のサイン本ですよ。太宰の署名本はしょせん他人宛じゃないですか」と抗議(?)されたので、今度は「でも太宰の方が一億倍大事です」と明確に伝えました。太宰の署名本よりも大切な自分宛の本は、昔、幼い娘がくれた手作りの詩集だけです。 twitter.com/signbonbon/sta…
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一昨日亡くなられた羽田雄一郎参議院議員の祖父武嗣郎氏(元衆議院議員)は昭和12年羽田書店を創業し、宮沢賢治の『風の又三郎』『グスコーブドリの伝記』などを出版。武嗣郎氏の長男孜元総理大臣は、父親が賢治顕彰に貢献したことを誇りに思うと私に語っていました。雄一郎議員のご冥福をお祈りします。
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今日のNHK「あさイチ」は「推しのいる生活」。推しのアニメの舞台となった町に移住した方など猛者ばかりでした。近代文学作家を推している代表として、桜桃忌で太宰治の墓前で知り合った男性と結婚し、三鷹で古本カフェを開業した「フォスフォレッセンス」のご主人にも登場してもらいたかったです。
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太宰治の「本を読まないということは、そのひとが孤独でないという証拠である」という有名な言葉に対して、「現代の若者には全く当てはまらない。孤独であっても本を読まないから」という意見があるそうです。恐らく太宰が誰に対して、どんな思いで吐き出した言葉か知らないのでしょうね。
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何か新しいこと、難しいことに挑戦しようとする時、自分にできるのだろうかと不安になるのは当然でしょう。でもそれで躊躇し、止めてしまうのは勿体ないと思います。「人間は自分に何んな事が出来るか、自分の力といふものは、実際に遣つて見なければ自分でも分るものではない。」夏目漱石の言葉です。
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大学入学共通テスト初日の近代作品
①国語の評論文の小問に芥川龍之介『歯車』が登場
②国語の小説文に加能作次郎『羽織と時計』が登場
③日本史の近代女性史に福田英子『妾の半生涯』が登場
①に注目が集まるのは当然ですが、②と③の渋さに感動します。
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梶井基次郎は、川端康成の妻にもらった林檎(檸檬ではありません)を夜通し磨いて床の間に飾りました。そしてその一個を齧った三好達治に対して「梶井君はものを云はずに、いきなり三好君の頭を殴つた」と川端は書いています。暴力はいけませんが、梶井にとって単なる林檎ではなかったのでしょう。
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今日は北原白秋の誕生日です。白秋は萩原朔太郎や室生犀星などに影響を与えただけでなく、自ら主宰する雑誌に作品発表の機会を与えた点でも日本の近代詩発展に大きな貢献をしました。夏目漱石がいなくても芥川龍之介は登場したと思いますが、白秋なくして朔太郎も犀星も生まれなかったかもしれません。
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小説を書いているものの、自分の想像力(空想力)に自信のない方に、「私は多少でも自分で実際に経験した事で無ければ、一行も一字も書けない甚だ空想が貧弱の物語作家である」という一文を贈ります。誇張に満ちているけれど、誰にも負けず読まれている近代作家の言葉ですから。太宰治です(『舌切雀』)。
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太宰治と同じ三鷹の山本有三は「太宰治様とは年代もちがいますし残念なことに何の交渉もございませんでしたのでなんの資料も持ち合わせておりません」と。しかし娘の玲子さんは『人間失格』執筆中の太宰と熱海で会い、夫(後の新潮社社長)と相合傘を勧められ「イヨーッ!。ご両人!」と言われています。
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今日2月17日は、梶井基次郎の誕生を祝うもよし、命日の坂口安吾を偲ぶのもよいでしょう。しかし文豪森鷗外の誕生日(新暦)であることも、どうぞお忘れなく。
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日本の近代文学に関心がある方に、明治以降の日本の近代史を一通り知ることをお勧めします。作家の思想形成にも作品の内容にも、周囲の環境だけでなく時代や社会の動きが影響を与えていることも多いからです。時代背景の知識は、文学作品の鑑賞をより楽しく、味わい深いものにしてくれるでしょう。
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漱石や芥川や太宰や三島を小学生の時から読み始めて、本当によかったと思います。もちろん大人になれば内容の理解は深まるけれど、みずみずしい感性で読めるのは若い時だけです。子どもの頃に出会いたかった作家・作品も少なくありません。だから若い方には興味のある分野の本を沢山読んでほしいです。
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泉鏡花は純和風のイメージですが、里見弴によれば意外なほどハイカラだったと。帽子はクリスティー、練歯磨はクロノス、タバコは葉巻・紙巻共に外国製の上等品を愛蔵し、湿布薬も国産品は気に入らず舶来品を使用。洋酒にもこだわりがありました。弴の言葉を借りれば「『鏡花世界』らしくない」ですね。
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芥川龍之介は夏目漱石の死の直後「僕一身から云ふと、外の人にどんな悪口を云はれても先生に褒められゝば、それで満足だつた。同時に先生を唯一の標準にする事の危険を、時々は怖れもした」と。「センセイキトク」の電報をもらい「歓びに近い苦しみを感じてゐた」(『或阿呆の一生』)を思い出させます。