初版道(@signbonbon)さんの人気ツイート(いいね順)

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徳田秋聲は泉鏡花の没後、文豪の初期の作には幼稚なものも多いが、鏡花は例外で、「しかも其の天分は老年に迨んでも涸渇しなかつたのである。この点から言へば確かに天才だと言へる。」と讃えました(「天才泉鏡花」)。一度は絶交した同門の秋聲に褒められたことが、泉下の鏡花は嬉しかったでしょう。
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太宰治の初版本で著者の写真が入っているのは、第一小説集『晩年』から昭和24年6月刊行の『グッド・バイ』まで9冊です。同じ写真は一度も使われていません。最初は太宰の希望でしたが、没後の5冊は出版社の意向が働いたのでしょう。ちなみに国立国会図書館収蔵の『晩年』の写真は破り取られています。
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夏目漱石は弟子の岡田(林原)耕三が奨学金を貰えるように(しかも時期を早めて)奔走しましたが、本人にはそれを伝えなかったようです。半世紀以上経って、知人に懇願する師の手紙を『漱石全集』で読み、その事実を知った岡田は目頭が熱くなったと。自分だったら間違いなく号泣していたと思います。
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「新聞で紹介された初版道コレクション」その①芥川龍之介『鼻』自筆完成原稿(平成24年10月3日付『毎日新聞』夕刊一面より) 自前の芥川龍之介展で初公開することになり、まず芥川と縁の深い『毎日新聞』が掲載。その後各紙が取り上げました。長く行方不明でしたが、久米正雄宅で発見された原稿です。
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森鷗外に傾倒していた太宰治は、無名時代の昭和10年、「鷗外の作品、なかなか正当に評価されざるに反し、俗中の俗、夏目漱石の全集、いよいよ華やかなる世情、涙いづるほどくやしく思ひ」と『東京日日新聞』に書きました。後年になって漱石も評価していますが、「俗中の俗」とは思い切った物言いです。
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さいたま文学館の特別展「永井荷風」(明日スタート)の図録が完成しました。しかし県の役人から奥付の表記について不思議な指摘を受け、印刷をやり直し、当面は修正紙を貼って販売するそうです。即ち無削除版・削除修正版・改訂版の3種類の図録が存在するわけで、誠に荷風展に相応しい話ではあります。
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宮沢賢治『春と修羅』初版本の奥付の裏に印刷された正誤表。片田舎の小さな印刷所には、この難解な語彙を用いた詩集は荷が重く、これ以外にも多くの誤植があります。代表的なのは扉の「心象スツケチ」でしょう。しかし中原中也など『春と修羅』に魅せられた人の数は、誤植の数の比ではなかったのです。
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今日は横光利一の命日。昭和23年1月3日、葬儀で無二の親友川端康成は「君の名に傍へて僕の名の呼ばれる習はしも、かへりみればすでに二十五年を越えた。君の作家生涯のほとんど最初から最後まで続いた」と最大の賛辞を贈りました。『御身』は新感覚派の旗手の代表的著書。川端宛は「1番本」でしょう。
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芥川龍之介夫人の文と佐藤春夫・川端康成。「私たちの結婚生活は、わずか十年の短いものでしたが、その間私は、芥川を全く信頼してすごすことが出来ました。その信頼の念が、芥川の亡きのちの月日を生きる私の支えになったのです。」芥川没後、41年を生きた夫人の言葉です。
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谷崎潤一郎が永井荷風と夜の街を散歩している時、荷風は有島武郎の心中について「こんな詰まらない死に方はないな、私ならどんなことがあつたつて、決してこんなことで死にはしないな」と語ったそうです。なるほど荷風に情死は似合いませんね。谷崎も「この言葉には故先生の面目が躍如」としています。
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一昨年の「太宰治展」で来場者にプレゼントした『人間失格』初版本30冊の内の20冊です。「プレゼントするために買った」のではなく、何となく買っていたら増えてしまいました。でも役に立つ日が来たからよかったと思います。今は帯付本が7冊残っているだけです。 #何で同じ本を何冊も買うの
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今日は武者小路実篤の誕生日です。人道主義・理想主義に基づき人間愛を重視した白樺派の文学は、芥川龍之介をして「我々は大抵、武者小路氏が文壇の天窓を開け放つて、爽な空気を入れた事を愉快に感じてゐるものだつた」と言わしめました。白樺派を主導したのは小説の神様ではなく、彼だったのです。
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第2位 萩原朔太郎『月に吠える』無削除版 ネットで「月に吠える、無削除版」を検索したら、近代文学専門ではない仙台の古本屋の目録がヒット。安すぎるけれども注文すると、確かに本物でした。しかもカバー欠なのに完璧な極美本。近代詩書の横綱が出会いを待っていてくれました。#私が掘り出した初版本
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萩原朔太郎「月光と海月」(『純情小曲集』所収)チョコレート(クラゲから抽出したコラーゲン入、EYECON SHOP)です。文字は銀座の中村活字による金属活字(明朝)組版の清刷を使用、銀色のアルミには活版印刷(空押し)という凝りよう。一口でチョコの美味しさと朔太郎の詩の素晴らしさが同時に楽しめます。
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さいたま文学館の特別展「永井荷風」が始まりました。天気も晴れていて良かったです。文アル関連グッズのアクスタなるものに挑戦したら(箱から中が見えない袋を1つ選ぶ)画像のキャラクターでした。顔を8人の文豪のパネルと照合したところ多分正宗白鳥かと。多くの皆様のご来場をお待ち申し上げます。
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太宰や芥川を思春期に読んで心身の調子が悪くなった人は一人も知りません。彼らの小説で生きる糧を得た若者は大勢知っていますが。 twitter.com/Q67Gi/status/1…
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永井荷風の誕生日にアップする初版本は、この2冊しかないでしょう。発禁本『ふらんす物語』著者秘蔵校正本(明治42年、博文館)と、私家版『腕くらべ』献呈署名入り佐藤春夫旧蔵本(大正7年、十里香館)です。署名の宛名は校正の神様と言われた神代種亮。大切にして、後世に残さなければなりません。
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太宰治の第一小説集『晩年』の献呈署名識語入り初版本です。処女単行本を「唯一の遺著になるだらう」と考え『晩年』と名付けた太宰は、多くの献呈本に毒を含んだ言葉を添えて寄贈。先輩でも遠慮はありませんでした。どの言葉も太宰らしく、何冊でも欲しくなります。ちなみに新居宛はアンカット本です。
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北村透谷の伝説の第一詩集『楚囚之詩』(明治22年)と劇詩『蓬莱曲』(明治24年)の初版本です。この『蓬莱曲』は存在が知られている署名本2冊の内の1冊で、宛名は雑誌『文学界』の盟友戸川残花。もう1冊(勝本清一郎旧蔵本)の所在は存じません。『楚囚之詩』の署名本は、恐らく元々なかったと思われます。
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谷崎潤一郎が永井荷風に寄贈した私家版『細雪』上巻。雑誌連載が中止となった翌年の昭和19年に刊行された、戦前唯一の単行本です。奥付に200部とあるも、実際は248部発行。戦後、荷風は谷崎との対談で、この本を盗まれたと語っています。ちなみに谷崎も荷風の私家版『濹東綺譚』を盗まれたそうです。
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太宰ファンの方は是非どうぞ。 太宰治が親友に贈った友情の証し 親友を描いた肖像画や書簡見つかる 三鷹市ギャラリーで初公開yomiuri.co.jp/local/tokyo23/…
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三鷹市の太宰治展示室で開催される新企画のチラシです。友人の画家鰭﨑潤旧蔵の太宰資料を初公開します。そしてチラシ作成後に発見されたのが、なんと第一小説集『晩年』初版本の識語入献呈署名本!「晩年』署名本は36冊確認していましたが、本書は新出本で添えられた言葉も実に素晴らしい。必見です。
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伊藤左千夫『野菊の墓』の初版本(明治39年、俳書堂)です。発表当時、左千夫は無名でしたが、流石に具眼の士である夏目漱石は絶賛しました。初版は日本近代文学館が復刻原本を探すのに苦労したほど極稀。しかも破損・褪色しやすい装丁です。恐らくこれが現存する最善本でしょう。
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さいたま文学館の責任者から元ツイートの削除を求められ一蹴しました。不都合な事実なのでしょうが、言論封殺の愚行に屈する人間ではありません。誤植ではない図録奥付の1行5文字を削除するのに、修正の貼付では足らず印刷し直すのはなぜなのか。『国語教科書の闇』の次は『文学館の闇』を書こうかな。 twitter.com/signbonbon/sta…
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今年没後10年×α(5≦α≦12)の近代作家の例(同年は五十音順)。何かのご参考にどうぞ。 120年ー正岡子規、110年ー石川啄木、100年ー森鷗外、90年ー梶井基次郎、80年ー北原白秋・中島敦・萩原朔太郎・与謝野晶子、70年ー蒲原有明・久米正雄、60年ー正宗白鳥・室生犀星・柳田國男・吉川英治、50年ー川端康成