初版道(@signbonbon)さんの人気ツイート(いいね順)

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泉鏡花の誕生日を祝し、特に人気の高い初版極美完本をアップします。処女単行本『活人形』、『高野聖』(カバー)、『風流線』正続(袋)、『婦系図』前後編(カバー)、『日本橋』(函)です。やはり鏡花本の美しさは格別ですね。
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次に紙幣の人物が変わる時は与謝野晶子を入れてほしいです。『みだれ髪』で短歌の革新を成し遂げ、源氏物語を現代語訳し、11人の子どもを育て、教育と女性の地位向上に尽力した晶子。「君死にたまふことなかれ」が紙幣登用の逆風になってはいけないと思います。令和に相応しい平和を願う歌なのだから。
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夏目漱石が "Ⅰ love you."を「月が綺麗ですね。」と訳した根拠となる資料は未発見ですが、松山中学の教師時代に「睾丸」の英語を生徒に聞かれ、即答したことは教え子が証言しています。ちなみに、漱石は学生時代に野球をやってボールを取り損ね、睾丸に当てて頻りに「痛い、痛い!」と叫んだそうです。
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「猫の日」の画像はやはりこちら。夏目漱石『吾輩ハ猫デアル』上中下編初版本の表紙・カバー・扉・挿絵・カットなど猫尽くしです(上編は8版から中段左の異装カバーとなります)。 #猫の日
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菊池寛『真珠夫人』前後編2冊揃いの初版本を新たに入手しました。これだけコンディションの良い本は久しぶりの登場。『真珠夫人』は、今では菊池の本で一番人気になったようです。理由は言うまでもありませんね。
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室生犀星は装丁に深い関心を抱いた作家で、「他人の本はあまり見ませんが芥川君・佐藤君の書物には注意深い周到さが検印の朱肉にまでその跡をみせてゐるのにいつも感心してゐるのです」と書いています。朱肉までチェックしているのは流石ですが、芥川と春夫が本当にそこまで拘ったかはよく分りません。
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芥川龍之介が『奉教人の死』で触れたキリシタン版の書物を、多くの人が実在すると思い込んだのは有名な話ですが、谷崎潤一郎によれば『春琴抄』でも、春琴と佐助の墓がどこにあるのか、読者から問い合わせの手紙がかなり来たそうです。意図しなくても、それだけ芥川と谷崎の筆は冴えていたのでしょう。
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谷崎潤一郎は芥川龍之介の依頼により、『新小説』臨時増刊「天才泉鏡花」に「二月堂の夕」を寄稿。芥川によれば、鏡花は自分から谷崎に頼みづらかったそうです。それほど親密ではなかったし、自分の特集号だったこともあるのでしょう。後に鏡花は谷崎の娘の媒酌人を務め、借りを返した形になりました。
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昭和2年7月27日、芥川龍之介を荼毘に付す火葬炉の鉄扉の札に、最初は「芥川龍之助」と書いてありました。それを谷口喜作(芥川が好んだ菓子店うさぎや主人)が「仏が気にしますから字を改めます」といったようなこと言って、「龍之介」に直したそうです。きっと芥川も安心して天国に行ったことでしょう。
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今日は横光利一の誕生日なので、久しぶりに彼が川端康成に贈った『御身』初版本を手に取りましょう。川端は裏の見返しに紀州旅行の行程を書き込んでいます。これは落書きではありませんよね!
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泉鏡花は全集の出版記念会で、最初に尾崎紅葉、次に両親の名を挙げて、生きていたらどんなに喜んでくださっただろうと述べ、最後に「それからもう一人番町で、影ながら皆さんにお礼申し上げてゐる者がございます」と妻すゞにも触れました。律儀にして愛情細やか。鏡花の人柄がわかる挨拶だと思います。
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『若菜集』『みだれ髪』『一握の砂』『道程』『月に吠える』『春と修羅』『山羊の歌』等々、第一詩歌集に名著が多いのは、たとえ思想的に、あるいは技巧的に未熟であっても、その1冊に青春のすべてを賭けた著者の思いが、読者の胸に響くからでしょう。又だからこそ、その初版本が欲しくなるのです。
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夏目漱石の全集未掲載の文章を発見しました。内容も非常に興味深いです。「日本の古本屋」で近代文学専門店ではない古本屋から購入。ネットは誰もが公平に資料を入手できるチャンスがあります。 漱石が語る文学観 作家は「如何に世の中を解釈するか」:朝日新聞デジタル asahi.com/articles/ASM5Y…
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太宰治の友人の作家中村地平によれば、太宰は志賀直哉と谷崎潤一郎を比較した議論で「もちろん志賀さんがいい」と。また何度も志賀を褒めていたのを聞いたとも。「志賀さんの素朴は太宰の感傷を認めようとしなかつた。そこに太宰の不満があつた」という中村の意見は、正鵠を射ているのかもしれません。
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石川啄木と萩原朔太郎は共に明治19年生まれです。朔太郎が文壇にデビューした時、既に啄木はこの世を去っていましたが、北原白秋よりも与謝野晶子よりも、朔太郎は啄木を評価しています。三好達治の言葉を借りれば、彼はまさに「啄木贔屓」でした。天才歌人と天才詩人を会わせてみたかったですね。
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森鷗外が夏目漱石に献呈した『涓滴』です。明治43年10月18日の両名の日記に授受の記載があり、漱石は修善寺の大患により入院中でした。鷗外は漱石に6冊の本を贈呈していますが(逆は4冊)、本書以外にも現存するのでしょうか。ちなみに漱石がお返しに贈った『門』は、文京区立森鷗外記念館にあります。
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坂口安吾は太宰治の文学の本質を実によく見抜いていました。「自ら孤独をいたはることは文学ではない」「太宰は文章家としてのカンと、やはり戯作者だといふ点・・・彼は戯作者稟質を持つ、僕はそこを買つてる」「彼の小説には、初期のものから始めて、自分が良家の出であることが、書かれすぎてゐる」
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萩原朔太郎と萩原恭次郎は同郷・同窓・同姓の詩人でした。しかも「太郎と次郎」ですが、血縁関係はありません。朔太郎は恭次郎を「芸術的兄弟」と語り、恭次郎は朔太郎を終生敬慕しつつ異なる詩風を志向しました。『月に吠える』無削除版と『死刑宣告』の初版本が並んだ画像はこれが世界初(笑)です。
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誤植は本につきものですが、奥付で間違いがあっては困ります。特に著者名のミスは致命的。処女歌集『みだれ髪』の初版本で「昌子」とされた与謝野晶子は気の毒でした。木下杢太郎の場合は本名の太田正雄を知らなければ誤植に気がつかないでしょう。徳田秋声の場合は・・・誰でもすぐにわかりますね。
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三島由紀夫は大蔵省勤務時代に大臣の演説の草稿を書き、課長に文章が下手だと言われ、上司が根本的に直した文章は「感情や個性的なものから離れ、心の琴線に触れるやうな言葉は注意深く削除され」ていたそうです。三島が早くに大蔵省を辞めたことは、日本の近代文学にとって誠に幸運だったと思います。
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今日は新美南吉の命日です。南吉と中島敦は①女学校の教師②生前の著書が2冊③戦時中に死去④代表作が国語教科書の定番教材(『ごん狐』『山月記』)などの共通点があります。そしてもちろん、もっと書いてほしかった作家であることも。画像は珠玉の第一童話集と第一小説集の初版本(共に昭和17年)です。
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留年した学生に「あの夏目漱石だって、落第して進級できなかったことがあるんだよ」と言って励ますのは結構ですが、漱石がその後一念発起して、卒業まで首席を通したことも伝えるべきだと思います。
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坂口安吾の写真が入った初版本です。順番に『教祖の文学』『不連続殺人事件』『保久呂天皇』。やはり最初の写真のインパクトが大きすぎます。
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雪の降っている地域の方にも、そうでない方にも、今宵は中原中也の「雪の宵」を『山羊の歌』三好達治宛初版献呈署名本からお届けします。舞台は太郎の屋根でも次郎の屋根でもなく、ホテルの屋根です。
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今日は武者小路実篤の誕生日です。実篤を始め志賀直哉・谷崎潤一郎などは、 当時の平均寿命を遥かに超えて生き、近代文学史に大きな足跡を残しました。いつの時代も、芥川龍之介・中原中也・太宰治など若くして亡くなった作家に人気は集まりがちですが、天寿を全うした誠にあっぱれな人生であります。