西洋魔術博物館(@MuseeMagica)さんの人気ツイート(古い順)

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雑。この時期、英国辺境の夜空を「ガブリエルの猟犬」が走り回り、その咆哮が不吉の予兆とされておるわけです。実際は雁の類が渡りを行っているだけなのだそうです。そろそろ具体的な録音も欲しいところ。絵は広重。
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暦。アダムの誕生日が3月25日という説があるのです。発想としては、キリストをセカンドアダムと見なして受胎告知日をファーストアダムの誕生日とするというもの。あるいは天地創造の初日を春分としてその6日目か。図は天地創造の6日目。洪水前ですので異形のものもずらずらと。
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雑。ブラウニー等の家憑き妖精はいかにして家に憑くか。エイキンドラムという名前のブラウニーの場合、あるとき街にやってきて労働条件を声高に告げるのであります。いわく「一椀の食事と藁の寝床にて万事承り候。報酬は無用のこと」。住民との同意を得たエイキンドラムは姿を消して働きますがーー
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ーーやがて年月がたって人々はエイキンドラムとの契約条件を忘れ、親切心からかれに衣服を作って贈ってしまいます。すると禁忌条項が発動し、エイキンドラムはどこかに行ってしまったというお話。名前持ちのブラウニーは珍しいため、多くの人が語るお話であります。 Aiken Drum 。
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妖精の報酬に関して。エイキンドラムのように報酬を渡すと消えてしまうのもいれば、こちらのようにきっちり要求するケースも。靴銀貨の場合は、銀が有する消臭効果が含有量の低下によって弱まったという話なのかもしれません。(銀貨を入れておくと靴の臭いが消えるかどうかは別個の検証が必要か)。 twitter.com/MuseeMagica/st…
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雑。美貌の令嬢が貧乏な青年弁護士に恋をしてしまい、悩んだあげくに突拍子もない行動にでるお話。果たし状で青年を呼び出し、自分と結婚するか決闘するかを迫るのであります。「使い慣れたラピエも持参しております。一時間ほどお考えくださいませ」ーー『絵入りバラード集』より。
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ーーこの種の奇談はチャップブックの形で巷間に広まり、やがて超自然的な要素が加味されていくので面白うございます。なお貧乏青年は付き添いの友人の助言もあって結婚を選択。そのまま豪邸に連れていかれてハピリーエバーアフターとなっています。
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雑。緑茶にミルクや砂糖を加える飲み方は結構ポピュラーだったとみえ、1913年の擬人化絵本でもこの通り。「日本からやってきた緑茶さん、しわだらけの小男です。うちのお茶は上質です。シュガー、ミルク、アイス、どれになさいます?」。緑茶ファンタジーは興味深い領域なのでちょっと追求してみたく。
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さて新年度を前に銀器磨き。おおむね春夏の曇りは青系、秋冬は赤系なのですが、石油ストーブを焚くと斑点が加わります。なにかのネタになるかもしれません。専用のクリームで1時間かけて磨くとこの通り。銀器の輝きはメイドのプライド(いやまあ自分で磨くんですが)。ともあれ気分転換になります。
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文化。リンダーの『日本むかしばなし』(1895)には三保の松原の羽衣伝説が紹介されていて、挿絵担当のT・H・ロビンソンが描く feather robe がなんかすごいことになっています。 資料無用の出たとこ勝負、嫌いじゃないです。天女に舞を所望する漁師もほとんど一筆書きのモブ。面白や、と。
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暦。例の「3月29日、30日、31日の三日間はマーチがエイプリルから借りた日」という伝承。この三日間、マーチくんが三匹の羊を雨、風、雪で追い回すのですが、結局は捕獲できずに春になるのであります。三匹の子豚のお話もこれのヴァリエーションなのかもしれません。
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「借りた三日間」に関して再掲。 twitter.com/MuseeMagica/st…
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ナーサリーマジック。意味不明のライムはうたたねすると独自の進行を見せる場合も。カエルとドブネズミがネズミ夫人の在宅日にお邪魔してネコに襲われる謎ライム「カエルのおでかけ」も、夢のなかではネコ一家が返り討ちにあったり、ネズミだけが危機一髪で脱出したり。話は膨らむのであります。
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英国伝統の「蝶が必ずとまる呪文」 Le, la, let Ma bonnie pet とまるまで唱え続けよ。 自分にとまると言ってないところがみそであります。
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暦。さて四月一日、「フールの日」ということで愚者や道化を考察する日でもあります。図の道化が手にしているのはブラダースティック。豚の膀胱を風船状にしたもので、これで人の頭を叩いて笑いをとるのです。タロットの愚者が担いでいる鞄はこれの可能性もありますーー
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ーー棒の部分が笛になっていて、簡易バグパイプとして機能するものもあったようです。それは奇怪な音を出し、こちらでも笑いを取れるわけです。一発芸で人を笑わせるのは魔法のうちです。場の雰囲気を変えるのは重要なスペルブレイクでありましょう。
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ベラスケスが描くスペインの宮廷道化師カラバザス。フェリペ四世に仕えた人です。右手には細密画、左手には風車を持っています。風車は道化師の象徴的持ち物のひとつで、タロットの愚者が持つことも。風が吹かなければ自分で走ったり吹いたりして回転させるのであります。「運命」の比喩にも使えます。
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The Fool は瘋癲、風転、フーテン、風来坊と訳してみましょう。語源的にも folly は「空気、なかみからっぽ」あたりです。マルセイユの愚者は「フーテンの寅さん」でよいでしょう。なんか山猫みたいなのが噛みついてますし、あれをトラとする意見もありますので。
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暦。フール考察。愚者の持ち物として、タロットで描かれることは少ないのですが「けん玉」があります。「愚行が世界を支配する」との文言が入った道化の図はマッケンジー訳『アウルグラスの冒険』にあったもので、かなり重要な資料といえましょう。
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あれではないですか、黙示録の13章。 and his number is six hundred threescore and six 貴様の正体は悪魔だ、と。 twitter.com/dankanemitsu/s…
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サクラの季節、ということで「英訳花咲じじい」を探してみると意外に見つかりません。悪役が主人公の真似をしてひどい目にあうお話は反復モチーフですが、若者が不在という点が敬遠されるのでしょうか。ローダ・チェイスが描くじいさまはなかなかファンキーでよいと思います。メリル読本から。
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ワンコは初期の英訳では名無し、後年のオザキ・エイでは「シロ」。あとはだいたいシロとされていて、「ポチ」は見当たりません。そもそもポチは英語の犬の名前 spotty の音写であって、明治以降の洋犬を指すとの説もあります。面白や、と。
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雑。ツバメに関する伝承を調べていて親指姫のラストシーンに注目。助けてもらったお礼に親指姫の脱出行に協力し、恋の成就をも願っていたツバメくんがあっさりふられる様子には多数の同情が集まったのであります。それはともかく最後に「マイア」と改名する姫に関しては一考が必要かもしれませんーー
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ーー英語版の親指姫を多数対照してみますと、最後の名前を Maia や Maja ではなく、May にしているものがあって、なるほど「五月」かと。ならば「さつき」でいいかもしれません。ツバメとともに到来する初夏のバックストーリーにアンデルセン一流の失恋話が重なったと思えば理解しやすいのであります。
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季節。土地によっては四月になってもジャック・フロストが居残っていて、春の妖精「エイプリル・シャワー」にぼこぼこに打擲されて消え失せるという物語。イースターラビットに付き添われた少年が世界の仕組みを観測しています。説明系の神秘体験の典型といえましょうかーー