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土曜午後の発熱外来は受け入れ能力を大幅に超える受診申し込みのうえに連絡なしのウオークインも頻発。開業医さんからのロスタイム・キラーパス、公的病院でもないのに議員さん経由のねじ込み、など診療の本質を外れたストレスフルなことが多々あった。(続く
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承前)英国株が大部分を占める関西は、滝に向かって流される筏の如く、破滅に向かっている。私たちはもうもたないかもしれないと悟るに至ったが、東日本への英国株の伝播は抑制しなければならない。時期を逸した感が強いが、学校閉鎖と東西往来遮断の施策が行われなければ欧米蔓延国と同じ轍を踏む。
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なんかもう、えらいことになってる。お盆期間は日勤で病棟係を1回しただけなので、直接に感染リスクの高い業務には従事しなかったが、発熱外来がパンク。緩い予約制にしてみたところでウオークインで次々来られてしまうと制御不能。保健所も精一杯だと思うが電話がつながらず苦悶。
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尾身先生が「無症状者に焦点を合わせた検査をやることによってリバウンド(再拡大)を防ぐ」とおっしゃったとのこと。
第一波のあと、ここまで議論が進むのに半年以上かかったことになる。(続く
jcp.or.jp/akahata/aik20/…
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病床と人員の運用を考慮した結果、当院では年内の予定手術は12月4日をもって終了となった。
私は全身麻酔を支えてくれる設備とスタッフがない場所では社会的に役立たずなので、この状態が続くようなら去るしかないと思うようになった。
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国内の新規感染者数は、8月に入って1日15000人を超えるようになって、ついには20000人を超えた。
15000って台湾の【累計感染者数】ですよ。台湾の人口が日本の4分の1とはいえ、その累計分以上を日本は毎日上積みしている。台湾は日本よりもワクチン接種が遅れている。まさに検査と隔離の成果である。
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PCRキットの枯渇が報じられているが、当院ではCDC N1のprobe領域に変異があると知って一同が青ざめたくらい、大量にバックストックがある。
そうでなくとも「普通のリアルタイムPCR機」は汎用性があるので、公開配列どおりにprimer/probeをオーダーして研究用試薬を使えば、どうにでもなる。(続く
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次に来るのがA.2.12かBA.4/5のどちらであれ有効な抗体医薬は無い(米国にはある)。病原性が強いとされるBA.4/5が来るのなら、行動制限の緩和には尚早と考えるが、それを判断するための状況把握にPCRを活用できていない。
盲目的に、なし崩しに緩和してBA.4/5が来ることを懸念する。根拠ある緩和を。
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感染爆発を迎えてなおPCRに拘泥する者を『この期に及んでまだやってるのか』と冷笑する向きもあるようだが、無症状者が感染源になって免疫弱者が巻き込まれるのは間違いないので、院内防疫には過剰なくらいのPCRが必要。当院では診断と簡易株判別に加えて週2回職員検疫を合わせて600-1000検体/日の体制
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子供が発端の家族全員感染を自院からも他院からも聞くようになった。
その状況になれば家庭内でもN95が必要だろう。興研は弁なしのハイラックNeo、ノーマル弁の「かからんぞ」に加えて、感染者用に弁が逆向き(吸気は楽々スルーで呼気は濾過)の「うつさんぞ」を販売。成人、小さめ、子供の3サイズ。
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もうひとつの緩み、脱マスクの動きについて。
まだCov2の性質が明らかでなく、ワクチンも薬もなく、ただ闇雲に恐れることしか出来なかった頃、医療者を守ったのはN95/DS2マスクだった。ほぼ隙間無く着用できていれば、不織布の静電捕捉が強固な守りになったことは揺るぎない事実である。(続く
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流行が去った理由を説明できぬまま、待ってましたとばかりに行動制限を緩めるのは科学立国を自称していた国の姿とは思えない。束の間の「抗体の春」が来ている今こそ、ゼロ制圧は無理にしても押さえ込んで、無免疫者を守るための時間稼ぎ(小児接種や治療薬開発)をするラストチャンスかもしれないのに
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①中国の短期間大規模スクリーニングの事例として、昨年10月の青島市の1089万人検査の報告が12月のNEJMに短報告として出た。
実はこれが【検査の特異度が100%である】ことを裏付ける報告でもあることを読み取れていない方が多いようなので、私なりに解説する。
nejm.org/doi/full/10.10…
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医者を含めて、話がおかしな方向に行っているよう思う。『心筋炎の原因は感染>>M>PだからMでもいいから打て』とか。
一定数の被害者が出ることを織り込んだ施策を堂々と推し進めていることになる。マクロに見れば確率論だが、我が身に起こればn=1。それに当たった者の悲しみに思いが及ばないのか。
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諸外国にならって国内でもマスクを外そうとする動きがあるが、実は真似できる状況にはない。
BA.4/5に効くbebtelovimabがEUAを経て使用可能な米国の知人医療者が言うには、『我々は剣(抗ウイルス薬)と盾(抗体医薬)を持つが、日本は盾を持たない。条件が同じではないことに気が付かないのか?』 twitter.com/SystemsVirolog…
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BA.5の市中蔓延期が始まったものと思慮します。
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各地で緊急避難的措置として行われている「がん専門施設のCOVID受け入れ」は愚策だと今いっそう確信する。
各県1ヶ所のがんセンターくらいは聖域であるべき。免疫抑制状態の患者も、診療スタッフも戦々恐々。
知人に言わせれば「火気厳禁を徹底してきた石油プラントで花火大会ををされるようなもの」
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オリンピック終わったのか。結局、今回は一度もリアルタイムで放送を見なかった。現場で忙殺されてる勤務医なんてそんなもの。特別ネガティブな感情もない。どこか遠い世界の出来事。
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私は検査リソースの偏りにばかり目が行ったが、同僚たちは陽性率が3桁、1000倍も違うことに衝撃を受けていた。検査数不足で陽性率が上がるのは自明だが、このデータから見えるのは、街の惨状を「なかったこと」にして、華やかに五輪を強行したということ。ホームレスを追い払って貴賓を迎えたように。 twitter.com/TadTwi2011/sta…
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武漢型スパイクを抗原にして作らせた抗体の一部はデルタに結合しない。つまり無意味な抗体を産生するのに免疫リソースを食われる。今すでにこの状態。
「うち三つの変異があるデルタ株はトルコで見つかっている」
あとone hitで現ワクチンは無意味化するらしい。
yomiuri.co.jp/science/202109…
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国策がこの有様。予後も治療選択肢も異なるのに判別を放棄し、予後の悪いほうに不利な治療方針に統一。これをせずにすむ態勢を整える時間も予算もあった。
当院では院内PCRで変異株判別を行い、受診後半日で抗体薬開始可能。PCRを貶めた医療者の皆様、御自身が受けたい医療はこちらではありませんか。
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検査抑制論を唱えていた「専門家」を叩く風潮があるが、その先生方が軌道修正なさって、誤った情報を流すことをお止めになればそれで良いと思っている。
ただし、誤った知識をもとに私たちを罵倒嘲笑した先生おひとかただけは、忘れることはないだろう。
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首都圏の危機的な蔓延状況と、検査件数の乖離を見るに、未曾有の事態と直感する。職場では、「検査キャパの不足からNS-NSリンクがメインストリームを担う可能性もある」という話になった。感染者がその意識なく市中に出る。予防接種済みのデルタ株ブレイクスルー感染もその一因になりうると考える。
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年末退職者の有休消化入りが進行中。既に4日を最後に予定手術は全止め。11日金曜日に第一陣のサヨナラをして、14日月曜日から緊縮体制。さらに18日金曜日に第二陣のサヨナラ(さらに人数が多い)をして、さぁ明日からどうなるよ。院内防疫も辛うじてもっているが、ダメになりそうな気がしてきた。