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すでに指摘も少なからずなされているようですが、信じている人も多いようなので念のため。731部隊は関東軍所属であり、関東軍司令官は天皇直隷なので、いくら満州国を仕切っている内務官僚の岸信介でも、指示を出すことはできません。上司でもなんでもないのです。 twitter.com/akasakaroman/s…
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だいた徳永氏の論も奇妙で、「日中関係史の1911-45年は左翼の反日史観だけ」といいますが、もし日本の侵略を批判する歴史研究をするとしたら、日清戦争を含まないなんておかしなことです。もともとの論が無茶ですから、破綻しているのは当たり前なのですが。
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挙句の果てには、本は「著者の主観で書かれてたりするから苦手」って……じゃあネット記事は著者の主観がないんですか!?
さらに言えば、何かを人が書いて発表する時は、何かを知らしめたい、主張したいから書くのです。それを「主観だから」と切り捨てて、何がしたい?
twitter.com/BlueSlave555/s…
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歴史学では、というか科学的手法を検証の手段とする学問全般では、安易に「絶対に正しい」とはいえません。通説とは「もっとも正しそうととりあえず合意されていること」です。しかしそれは、「絶対に正しいんじゃないなら俺の説もワンチャンあるかも」を意味しません。論外にダメなのはすぐバレます。
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徳永氏は好事家路線ではなく、学問への参入の道を選ばれたのでしたら、その世界の発展に貢献する手法を取るべきです。ひょっとして徳永氏は「サヨクだらけの学会など俺様が鎧袖一触粉砕してくれる!」などという意図で学会誌に投稿されたのでしょうか。その方がよっぽどイデオロギッシュでしょう。
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これが「コスパ至上主義」で「合理的」なことを好む精神性とくっつくと悲惨なことになって、「コツコツ勉強するより揚げ足とって『勝つ』方がコスパがいい」となってしまう。かかる風潮がまた、安倍長期政権を実現した一因であると思います。だって故安倍氏、コツコツ何かを積んだことないでしょう。
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こういうネポティズムって、「失敗国家」扱いされる途上国ではよくあることですが、曲がりなりにも先進国だった国が短期間にこうも落ちぶれるとは。縁故だけで首相になった奴をありがたがって何年も担いでいたら、それが隅々まで浸透したのか。 twitter.com/pair_glasses/s…
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徳永氏の誤謬は、学界への変な思い込みから、先行研究の流れを理解し、自分の研究の意義を打ち出すことができず(おそらく)それを批判されたらいっそう妄念を強化した、ということではないかと思います。全くの悪循環で、このスパイラルを何とか止められないかというのが、私がツイートした所以です。
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もっとも発端だった「表現の自由戦士」と揶揄される層以外にも、今や便乗者が続々と出ていて、訳が分からなくなっています。訳が分からなくても「女のくせに」社会運動をしている連中は叩いていいんだ、という、理想を見失っていることを現実主義と履き違えた連中の多さには辟易させられます。
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選択的夫婦別姓に反対する側の論理がどんどん無茶苦茶になっていて、いうに事欠いて「配達が不便」って。「新たな手間」はなんでも無理やり数え立てて、いま強制的同姓で多く女性が一方的に負わされている手間を無視する感覚は、極めて陋劣と言わざるを得ません。 twitter.com/nipponkairagi/…
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このご指摘には頷くところで、さらにいえばひろゆきに限らず、安倍政権の長期化をもたらした冷笑的な空気の醸成に通じるものがあると思うのです。「考える」ことを放棄し、「考えている」人間を「真面目ぶってる」「意識高い」などと冷笑する。こうして世をよくすることが「悪いこと」になってしまう。 twitter.com/kinkuma0327/st…
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「日本学術機構」なるもっともらしげな団体理事を称している岩田温氏、自分の作った団体をそう称しているだけという、はなはだ怪しい人物なのに、「有識者」扱いなのが呆れるよりほかにありません。アパホテルの「真の近現代史観」でデビューした人だよ! twitter.com/hayakawa2600/s…
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さらに遡れば、例えば今でも重鎮として外交史を中心に広く活躍されている北岡伸一先生が、主著『日本陸軍と大陸政策』を世に問われたのは、1978年のことです。北岡先生は確か読売の書評か何かもやっておられて、リベラルであっても左翼とはとてもいえない方でしょう。
amzn.to/3T4rPGc
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あるいは、旧友の鮭缶こと塚本英樹氏も『日本外交と対中国借款問題』を世に問うていますが、彼も全く左翼的ではありません。友人として保証します。そもそも彼の指導教員の先生からして、かなり保守的な方だったと聞いています。ぜんぜん「左翼」が牛耳ってなどいないのです。
amzn.to/3Tbi1dA
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既に基本原則を述べただけで、「人の心がない」など罵倒をする者は、私ごときのアカウントにも雲霞のごとく押し寄せてくる。まさに、それこそが、この悲惨な事件の危険な側面である。「安倍さまを批判するとはテロリストの同類!」のような、死者を利用した危険な雰囲気の醸成には、抗わねばならない。
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何度も繰り返しますが、学問的に意味のある解釈なんかどうでもいい、俺は俺の知りたいことを調べるだけだ、という行き方があってもいいのです。さらにいえば、歴史学では前提の事実発掘だけでも、「研究ノート」「史料紹介」という形で業績として評価されます。そういうやり方もあるのです。
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何かをコツコツ積み上げた上での発言と、それを厭うた怠け者の揚げ足取りを、価値相対主義をはき違えて並列化する。むしろ後者を「コスパがいい」と称揚すらしてしまう。何もしなくても(いやむしろ、何もしないからこそ)自分は偉いんだと勘違いする。それがここ十年で蔓延った精神でした。
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さらにいえば、マニアのひたすらな事実発掘が、後から見直すと歴史の見方を変える手がかりを秘めていた、なんてこともあります。その典型例が私もやっている鉄道史です。こうして在野とアカデミズムの交流が豊かな成果を生むこともあるのです。私自身、在野の人を学会に引っ張り込んだことがあります。
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もちろん、手引書の解釈を教条的に当てはめるのはいけません。しかし、何の道しるべもなしに解釈しても、自分勝手になるだけです。そこで先行研究との関係から、自分の解釈を位置づけるのです。こうして、多くの研究がつながっていって、歴史学という大きな星座を形作っていくのです。
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この人物ははしなくも続きでこうツイートし、暗に「男にいじめられた憂さを女叩きで晴らしている」ことを吐露しています。江戸の仇を長崎どころかブエノスアイレスで討つぐらい間違っていますが、これが「表現の自由戦士」の過剰な「反撃」の裏にあるものを示唆しています。
archive.md/jAQFp
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徳永氏の論文は、中国の文書館の史料も利用した、実証的な手続きはちゃんとしたもので、主張も突飛なところはありません。むしろ大人しすぎて、読んでいて「ああそうなんですか。……で?」となってしまう、平板さというか面白味が乏しいのが特徴(難点)といえるのです。
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さて、私も徳永氏を批判するからには、その論文を読んでみました。ネットで見られる「日本占領下の中国山西省における上水道建設」「日中戦争下の山西省太原都市計画事業」の二本だけですが。「サヨクに叩かれた!」というからには、さぞかし濃ゆい主張があるのかと思って読んだら、拍子抜けしました。
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事実を調べるのは大前提ですが、あくまでも前提です。そこからどう解釈するかが大事なのです。もちろんその解釈が得手勝手ではいけません。そうならないように、先行研究を参照するのです。マルクス主義の歴史学というのも、解釈の手引きとしてマルクスを利用しているということなのです。
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この指摘に、「店を取材して事情を理解してやれ!」との声多数。論理が転倒しきった今の日本の象徴です。どんな事情があろうと、「外国人お断り」と書いた時点で差別であり、それは批判されるべきです。そこで差別側を思いやって、被差別側のことは考えない。 twitter.com/ogawat0802/sta…
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軍事史学会の『日中戦争の諸相』は、第二次世界大戦全体を扱う三巻本の一冊として、戦後半世紀を期して編まれました。それからさらに四半世紀、研究はいっそう進展し、軍事史学会も2008年に『日中戦争再論』とまた論集を出しています。
amzn.to/3rGuDxV