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後藤さんはガイドに騙された、と言っているが、真相はイスラム国の許可担当者に「取材させてあげる」と騙されて、許可証を発行されたのでは?ガイドとイスラム国の入国担当者がグルだったのかもしれない。イスラム国は金に困っているので、日本人は「金のなる木」だと思われたのかも。
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あと6時間。整理すると、①安倍首相がイスラエル国旗の前で「テロには屈しない」と会見した。②72時間の間に英国と2+2で武器輸出など戦争協力を確認した。③何の力も持っていないヨルダンに本拠地を置いて時間を無駄にした。もっと早くトルコに入るべきだった。以上がマイナス要因。
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プラス要因は、①後藤さんはジャーナリストでイスラムに心を寄せている、とイスラム国側も理解している。②人質は商品なので、殺害するより金がほしい③日本は米仏と違って空爆に直接参加しておらず、物理的には誰も殺していない。彼ら流の「イスラムの大義」に違反する。
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例えば、タリバンもイスラム国も「盗みを働いたヤツは腕を切り落とす」だ。つまり殺人者は殺人で報わせるが、日本は誰も殺していない。殺しているヤツら(米仏など)に金を援助しただけ。つまりその分の金を俺たちにも払え、という理屈が成り立つ。あとは日本政府が水面下で支払うかどうか。
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湯川さんが「処刑」だれたようだ。人質が2人いるので、湯川さんを殺害し、後藤さんの身代金&人質交換で、実利をあげたいというイスラム国側の戦略だろうと思う。交換相手をバグダディーの奥さんにしているのも、彼らなりの「大義」だろう。何としても後藤さんを救うため全力を尽くすべき
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後藤さんに言わせたコメントにあるように、「人質である湯川さんを殺したのは安倍」。これは私も同意する。安倍首相はイスラエル国旗の前で「テロには屈しない」と演説した。これはアラブの人々には「お前、ケンカ売ってるのか?」というレベルの会見。安倍首相は理解してなかったのだろうが、罪は重い
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人質の交換とされている女性サジダ死刑囚は05年アンマンで大規模テロを起こした。私はすぐにヨルダンに入り、事件を取材した。あの時ヨルダンという国全体が悲嘆にくれ、怒りに包まれていた。犯人はイラク人で「イラクのアルカイダ」を名乗っていた。イスラム国の前身。
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それまでヨルダンはイラク難民を受け入れていた。しかしこの死刑囚らが起こした大規模同時多発テロで、世論が逆転。イラク難民を受け入れるな!となり、命からがらイラクから逃げてきた難民たちは、さらなる異国へと旅立った。アンマンの広場は難民でいっぱいだったが、ガラガラになった。
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イラク難民たちはどこへ行ったのか?大部分はシリアのダマスカスに行った。シリアはイラク難民を受け入れ続けた。その時、私はアサドをある程度評価していた。独裁警察国家で、どこで写真を撮っても尋問されるという窮屈な国で、街角にはアサド父子の写真ばかり。だが少なくとも当時は「人道的」だった
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つまり、当時の「イラクのアルカイダ」、今のイスラム国は、イラク難民にとっても大変厄介な存在だった。彼らはその後内戦を煽っていく。シーア派のモスクに爆弾を仕掛け、シーア派を殺していった。シーアの過激派も報復で、スンニのモスクに爆弾を仕掛けていった。
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「イラクのアルカイダ」(今のイスラム国)がテロを起こすまでは、各地のモスクから「スンニ、シーアは団結せよ。団結してアメリカを倒せ」というアナウンスが流れていた。私にはスンニ、シーア、クルドの通訳がいる。彼らが共通して主張したことは…
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それは「治安を維持している米軍は何をしている?」だった。なぜ次々とモスクが爆破されるのを止められない?彼らの結論。「米軍がイラクのアルカイダ(今のイスラム国)を泳がせて、やらせている」だった。つまり、スンニ+シーアが団結して米軍の占領に反発されるより、内戦になった方がいいのだ。
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05年、この死刑囚らが起こしたテロ事件以後、どうなったか?イラクでは米軍対抵抗する人民、という構図が崩れ、シーア対スンニの泥沼の内戦になり、無辜の市民の命が奪われ、イラクは破綻国家となってしまった。「テロとの戦い」は延々と続くことになり、結果として軍産複合体が肥え太った
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イスラム国が残忍で狂気的な集団だ、とイメージづけることで、米軍の空爆に対する反対世論が起こらない。「テロとの戦い」は延々と続く。じつはこの「延々と続ける」ことが真の狙いだと思う。こうなるに至った歴史的背景を押さえておかないと、何が原因だったか、が見えなくなっていく。
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私は死刑には反対で、あの女性への死刑は執行すべきではないと考えるが、ヨルダンの人々にとって彼女の解放はあり得ない。後藤さんとの人質交換は、かなり高いハードルである。人質2人。イスラム国からすれば切り札が2枚ある。湯川さんを殺害すること、高いハードルを示すこと、で身代金UPなのか
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ヨルダンのパイロットは、空爆中に撃墜され、人質に。イスラム国は、戦争犯罪人と考えるので、解放しないだろう。
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一方、ヨルダンは、パイロットとセットでないと、女死刑囚を解放しない。つまり、交渉は成立しない確率が高い。ヨルダンルートは、困難。
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だから、トルコに頼まねばならない。トルコは解放交渉の実績もあり、イスラム国はトルコの話なら、聞く。
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湯川さん、パイロットは、war criminal。後藤さんは、hostage。同列に扱わない。1対2とか2対2などと野球のトレードのようにはいかない
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後藤さんは、救出できる。hostageだから。早くトルコに拠点を移せ。
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政府がグスグズしてると、本当にやられかねない。早くトルコルートの確立を。エルドアンの話なら、ヤツらも聞かざるをえない。
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何度も言うが、後藤さんはhostageだ。殺害の理屈が成り立たない。後藤さんを救えという全世界からのメッセージは、確実にイスラム国の元に届いている。ヨルダン、日本政府の背後には「テロに屈するな」という米国の圧力があるのだろう。しかし国家の役目は国民を守ることだ。
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パイロットもサジダもwar criminal『戦争犯罪者」だ。後藤さんは「人質」。英米は空爆で「イスラム国民」を殺したが、日本は支援金を支払うだけで、殺していない。英米の「人質」は英米人という理由で殺されたが、日本は違う。2重の意味で、後藤さんは守られるべきだ。
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残念ながら、ヨルダンはリシャウウイ死刑囚と後藤さんの交換に応じなかった。そしてあのトルコ国境のシリア側タルアブヤドの門を閉めたようだ。現地はまだ深夜。そして今日は金曜日。朝になり礼拝が終わらないと、事態は動かないだろう。
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ヨルダンルートの交渉は行き詰まる可能性が高い。今からでも軸足をトルコに移して、エルドアン大統領の指示で、交渉に臨むべきだろう。トルコの持っている人質との交換、自由シリア軍との何らかの妥協、協定などを条件に、後藤さんの安全確保をめざすというルートも作るべきだ。