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第二次安倍政権はとにかく「閣議決定」を濫用し、憲法の解釈までこれで変えた。そして、覚えている人がどれくらいいるか分からないが、2019年には首相の夫人(安倍昭恵氏)は公人ではなく私人であるということまで「閣議決定」している。現内閣もこの延長線上にある。
digital.asahi.com/sp/articles/AS…
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自分が『来るべき民主主義』で、行政が民主主義的なコントロールの外にあることを指摘したのは自治体レベルでの問題を通しててあったが、この本を出版した2013年以降、第二次安倍政権下で、行政の暴走、執行権力による法規範の無視が、国政レベルでも常態化していったのは自分でも驚きであった。
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安倍政権は「これまでの決め事などぶち壊してしまえ」という大衆社会の欲望を利用して行政権力の専断をどんどんと既成事実化していった。この事態を理解するためには、20世紀初頭に現れた大衆社会を徹底分析したアーレントの仕事と、アガンベンらによる例外状態の分析の両方を知る必要がある。
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マイナンバーを知らせるために、これまでどれだけの数の事業所に、番号通知書とパスポートのコピーを封筒に入れ、口を糊付けし、ポストに投函したか分からない。「デジタル」が聞いて呆れるこんなやり方を全国に強いる出来の悪い制度を保険証という命に関わる制度と結びつけるなど言語道断ではないか。
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誰が「保険証の制度を廃止してくれ」と政府に頼んだというのか。なぜ何でも変更したがるのか。予算を取るためか。予算を取って何かに変更を加えないと仕事をした気にならないからか。今ある制度を立派に守り抜いたらそれで立派な仕事だ。「デジタル」の仕事でも他にやることは山とあるだろう?
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これまでも「映像による哲学の試み」をいくつかネットで公開して来ましたが、今日、「哲学の映像」と「映像の哲学」を定期配信する新しいプラットフォーム〈國分功一郎の哲学研究室〉がオープンしました。
akademeia.kodansha.co.jp/pages/about
ぜひご覧ください。配信映像は全部、僕が一人でコツコツ撮ってます!
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「哲学の映像」を毎週配信する〈國分功一郎の哲学研究室〉。本日は自著を語るシリーズで『ドゥルーズの哲学原理』のお話をしています。約50分の語りの中で僕が自分自身についての知を深める場面があり、期せずして当事者研究のようになった映像です。今回は本棚の前で撮影。
akademeia.kodansha.co.jp/pages/about
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非常に興味深い。社会学的な分析があってもいい。《フランスで小津や溝口の映画はやはり依然として人気…最近もパリのシネマテークで黒澤明特集…たくさんの観客…しかし、今回の「寅さん」の上映は…これまでとは観客層が違った》
フランスで「寅さん」上映が大盛況|論座 webronza.asahi.com/culture/articl…
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因みに、4月には、『暇と退屈の倫理学』を更に展開させた新書が発売になります。乞うご期待。僕の新しい新書シリーズの一冊目でもあります。タイトルは近日公開(実にいいタイトルにできた)。
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人間の最も素晴らしいところが知性ならば人工知性の発展は脅威と受け止められるだろう。しかし、人間の最も素晴らしいことろは知性ではないとすれば、これは大した脅威ではなくなる。実際、ダーウィンはミミズについての実験と観察の末「体制こそ下等なれどミミズには間違いなく知性がある」と述べた。
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もう一つ。スピノザの言う〈意識〉について恐らく最も重要なことは、身体がなければ〈意識〉はないということ。どれだけ計算が発達して量も速度も上がっても、その「(人工)知性」に身体がない限り、意識は芽生えないとスピノザは考えている。この命題が、AI時代の今、にわかに重要性を増している。