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身長の差が大きいために、キスをする時に不自由な思いをしてしまう恋人達が、いじらしいですね。明確な差があるからいつも隔てられているように感じて、触れ合うとなると流れでは済まされなくて。けれど、背伸びをした際の窮屈さや屈み込んだ際の厄介さが、一度一度の触れ合いを忘れられなくしたら良い
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自分より細い相手を、華奢なように思って慎重に触れてしまう人が、美しいですね。自らと比較すると細いだけで、一般的に華奢なわけではないのに、脆い細工のように思い込んでしまって、抱きしめるとなれば緊張して。「もっと強く抱きしめてよ」と率直にねだられても、力をこめるのは難しかったなら良い
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体温に違いがあることを、触れ合った際に実感する姿が、美しいですね。自分の肌の温度なんて気にしたこともなかったのに、相手に触れた瞬間に「冷たいな」とまず思って、「体温低いから」と口にされたらなぜだか胸が詰まってしまって。このあたたかさを移せるようにと願いながら、抱きしめたならば良い
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可愛いと言われ慣れているのに、相手に「可愛い」と言われると弱い人が、なによりも可愛らしいですね。第三者に言われた時は、余裕たっぷり微笑んで「ありがとう」と簡単に受け止めているのに、相手に言われた時は、じわじわと赤くなって。「…もう一回言って」とねだって、深く味わってしまえば良い
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相手が肌を見せると、独占欲を見せてしまう人が、可愛らしいですね。ボタンを少しあけて鎖骨を見せられたり、短いボトムスを履いて足をあらわにされたりすると、似合っているとは分かっているのにモゾモゾ落ち着かない気分になって。「見せなくてもいいよ」と申告してしまって、呆れ笑いをされたら良い
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2人きりになると、相手にくっついて離れない人が、いじらしいですね。他人の姿がなくなったと分かるなり、ギュッと抱きついて首筋に顔をうずめて。深々と息を吸い込んで満足そうな吐息をもらして。「なんにもできないんだけど」と怒られても、「お願いもう少しだけ」とゆすってくっついたままなら良い
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自分では無自覚なのに、他人から見ると相手を好きなことが分かりやすい人が、可愛らしいですね。普段は愛想がない人なのに、相手といる時は、目を柔らかく細めて唇を優しく和らげて相槌を打つ声も甘い響きがあって。「好きって顔に書いてあるようなものだな」と周りにひっそりと、呆れられていたら良い
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「恋人」の名前がついて長いのに、いまだに手を繋ぐだけで赤くなってしまう人が、愛おしいですね。かたわらで微笑まれることも「好き」と囁かれることも、繰り返すうちに慣れていったのに、触れられるとなれば慣れなんてこなくて。あたたかな肌を実感するたびに、おかしいほどに動揺してしまえば良い
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嫉妬深い相手のことを、「可愛いなぁ」と思ってしまう人が、イケナイですね。もともとは束縛なんて嫌で、最初の頃は嫉妬が発端の喧嘩続きだったのに、次第に簡単にかき乱される姿が可愛らしく見えてきて。「こんなことでそんな顔しちゃうんだな」と必死の形相を眺めながら、内心ときめいていたなら良い
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相手の弱った顔に、煽られてしまう人が、罪深いですね。いつもはきっちりとした印象を崩さない人だからこそ、乱してみたいとの欲が湧いて。人前でこっそりと指を絡めたり爪先を踏んだりと、かすかな悪戯をしてみて。戸惑いながらも受け入れてしまう姿を、「可愛いなぁ」と熱を感じながら眺めたなら良い
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相手の余裕たっぷりな態度を、腹立たしいと思ってしまう人が、可愛らしいですね。こちらは手を繋がれただけで赤くなって、引き寄せられたら心臓がうるさいばかりなのに、向こうは焦る顔を見ては微笑んできて。「ずるいな」と苛立ってしまうのは、自分もかき乱したいとの欲望が、あるからだったなら良い
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自分が相手に甘いことに、気が付いていない人が、愛おしいですね。相手といる時は条件反射のように、扉を開けて荷物を持って椅子をひいて食事をとりわけて、けれどどれも頼まれたわけではなくて。「すごい甘やかしてるんだね」と他人に笑われたら、「普通だけど?」と本当に意味が分かってなければ良い
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壁に押さえつけてするキスは、本当は簡単に逃げられてしまう脆さがあるところが、魅惑的ですよね。挑発をしてみたらやすやすとのってきて、壁際に追い詰められて腕をつかれて身体を閉じ込められて。「こんなことしたってすぐに逃げられるんだけどな」と思いつつも、震える手に免じて唇を受けたなら良い
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疲れた時にだけ、相手に自らくっつく人が、いじらしいですね。普段は手を回されてもはねのけて距離を縮められただけで睨みをきかせているのに、弱った時ばかりは、遠ざけている暖かさがほしくなって。震える手を伸ばして不恰好に抱きついて、「大丈夫…じゃないんだね」の声すらも優しく聞いたなら良い
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可愛げがないと言われる人を、「可愛い」と思っている人に、夢を見てしまいますね。表情がなく声も淡々として誰とも会話を続けない人間だから、「とっつきづらくて可愛げがない」と思われているけれど、相手からすると「そういうとこが可愛い」でしかなくて。簡単に懐かないからこそ構ってしまえば良い
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誰に対しても丁寧な人が、相手に対してだけ粗雑な姿に、夢を見てしまいますね。万人に笑顔を崩さず無理を言われても常時そつなく受け答えているのに、相手を見ると嫌そうな顔でそっぽを向いて。「なんか雑じゃない?」と不満の声を漏らされたら、「うるさい」と切り捨てる人間らしさがあったなら良い
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相手が聞こえるか聞こえないかの時にしか、想いを素直に口にできない人が、いじらしいですね。普段はどうしても直接的には言えないのに、眠りにつく狭間に、弛緩した身体に触れて、小さく「愛してるよ」と音にして。答えがなにも返ってこないことに安堵しながら、自分のズルさをそっと感じていたら良い
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優しくされなれない人が、優しさに慣らされていく姿が、美しいですね。ひとから愛を受け取ったことがなかったから、目が合うだけで微笑んだり「可愛い」と囁いてきたりする相手を受け止めきれなくて、「…優しくしないで」と口にして。「ダメ?」と尋ねてくるズルさを知りつつ、拒否できなかったら良い
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相手との関係は「恋人」ではないんだと、自分自身に言い聞かせてしまう人が、いじらしいですね。「愛してる」と言われたことがないから、「付き合おう」と言われたことがないから、そうではないんだと期待してはいけないんだと考えて。考えた時に浮かぶ苦しさからは、目を背けて見ないフリをしたら良い
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誘い方が分からないあまりに、ぶっきらぼうになってしまう人が、愛おしいですね。目を見ただけで通じ合えたと思ったのに、そのまま何も起きないから、キツい口調で「…しないの?」と問いかけてしまって。こんな言い方をしたいわけじゃないのにと感じつつも、甘い言動なんて知らない人生だったなら良い
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優しいばかりの恋人に、片想いをしているような錯覚を起こしてしまう人が、いじらしいですね。自分は相手のこととなるとすぐに嫉妬をして苛立ちを見せてしまうのに、相手はいつも穏やかで受け入れてくれるから、「こっちばかり好きなのかな」と不安になって。片想いなのかもしれないとまで過ったら良い
72
血の味がするキスは、官能的な魅力を帯びていますよね。夢中になって求めているうちに唇に血が滲んで、かわす唾液に仄かに鉄の味を感じて。普段だったならば嫌悪感を覚えてすぐに離れるはずなのに、強く求めた証のように思えたなら血も甘く感じて。傷つけ合うように重なり合って、深々と刻んだなら良い
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キスをかわす際に、無意識で相手の身体を引き寄せてしまう人が、艶めかしいですね。普段は欲を隠していて口でねだることもしないのに、唇を与えられて柔らかい愛を与えられたなら理性なんて散り散りになって。首の後ろに手を回して腰を密着させて、「もっとしないと許さない」とあけすけに語ったら良い
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欲を伝えるためではなく、愛を伝えるためにするキスが、美しいですね。切羽詰まった瞬間ではなく、「ありがとう」や「おはよう」や「おかえり」のかわりに、そっと唇を寄せて頬に押し当てて。くすぐったさに笑っている相手を見るたびに、自らの愛もますます膨らんで、もう一度キスしてしまったら良い
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抱きしめられることに、一番の愛情を感じる人が、いじらしいですね。なにを言われるよりもなにをされるよりも、黙って手を広げられて飛び込めばギュッと抱きしめられて、「大丈夫」と言うまでずっと寄り添ってくれることに愛されている実感を得て。この人がいないともうダメなんだと痛感したなら良い