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例えば妊婦さんの体験で一部の男性が「軽い、軽い」「平気、平気」と腕立て伏せやスクワットをし始めたとする。「だから疑似体験は無駄だ」と捉えてプログラム上の問題とするか、「そういうふるまいをする人が今後こまやかに妊婦さんに寄り添えるか」を問題にするのか、でいろいろ変わってくるよね
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看護の先生から聞いた。ADHDの診断を受けている学生さん。忘れ物が多く、課題の提出はいつも遅れる。でも実習先では「患者さんにとてもやさしい」と評判だという。先生が「いろいろな知識や技術は教えられても、患者さんへの心配りは教えきれない。この学生さんにはセンスがあるんです」と話してくれた
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聴覚障害の方が「私にとっては手話は第一言語、日本語は第二言語。授業は外国語で学んでいるようなものです」とおっしゃっていた。日本語字幕があればいい、という訳ではない。手話通訳の方が分かりやすく、その場合むしろ日本語字幕はない方がいい、というお話だった。
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先生だって卑怯だと思っているのだとしたら、周りの子が「あの子だけずるい」「ひいき」と言い出すのも自然な流れなのかな、と。
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「こういうことで困っている子ども(人)たちがいるんですよ」というとすぐ「私は困ってませんよ」って言う人、仕事では時々出会うなあ。あと「そんなことで困るなんてね。私は平気ですよ」みたいな。
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前につぶやいたか忘れたんだけど、発達障害の方を積極的に雇用している企業に見学に行ったら、廊下などですれ違った際にきちんと挨拶してくれるのは当事者さんたちだけだったんだよね。「社会性って」と思ったりして。
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授業中ヒントカードを何種類か用意している先生(通常学級)が「難しい、出来ないなと思った人はヒントカードあるから欲しかったら声をかけて下さい」ではなく「自分の考えを確かめたい人、もう少しはっきりさせたい人はGoogleクラスルームにプラス資料があるからよかったら見て下さい」と声かけしていた
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数年前には「授業中、どんな子どもでもあえて困らせないと本気にならない。自分だけの力でその困難に打ち勝つことが大事だ。ましてや個別の配慮なんて」と語っていた先生が最近「子どもたちの援助を求めるスキルの重要性に気づいた。これまで自分にはこの視点は全くなかった」と言ってくれたので驚いた
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先生から「学級の子どもたちの心を一発でつかむ一言があったら教えて下さい」と言われたので「そんな都合のよい一言はないし、もしもそういう言葉があったとしたらかえって怖くないですか?」と返した。
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「三枚のおふだ」でも「あなたが小僧だったら」ではなく「もし山姥に追いかけられたとしたら三枚のお札をどう使うか、あなたならアイデアある?」と聞いた方がイメージしやすいことがある。「もしあなたが他人だったら」ではなく「もしもあなたがこういう状況だったら」の方が物語とつながりやすい
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私もLDの大変さを少しでも知ってもらいたいと研修でもいろいろ工夫しているけれど、先生方の「私だったらできる!」という感覚にひっぱられるとは思っていなかった。困っている立場をイメージしてもらうって難しいんだな。
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もう一つ、子どもがあげたちくちく言葉は「おそいよ」だった。この言葉に子どもは傷つくんだな、と。
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こちらはよかれと思って「大丈夫?」と聞くと、本当は大丈夫じゃなくても「大丈夫です」という子はいる。「分かった?」にはすぐ「分かった」と答える。本当はまだはっきりしていなくても。「困ったことない?」にも「特にありません」と。どこからを「こまった」状態というかでも子どもは悩む。
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授業中、先生方が水分補給している場面を見た記憶がない。(私はない)明日から授業再開のところもあるようだから、子どもたちも、先生方も授業中水分補給できるように、教委や管理職にはお願いしたい。しつこいけどトイレも必要な時行けるように。「我慢すると忍耐力がつく」と言っている場合ではない。
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「登場人物の気持ちが分からない」という子どもの「分からない」にも様々な背景があります。考え過ぎて分からなくなることもありますし、現実的にあり得ないから分からなくなることもあります。人の気持ちが理解できない冷たい子であるとか、「教育の敗北」であるとか、決めつけないで欲しいのです
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こだわれるものを増やすと、こだわりが少し緩和されることがある。
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中学校の先生が「最近の中学生は、部活の試合行くための集合場所と時間を口頭で伝えたのに、きちんと集まれないんですよ」とおっしゃったので「すいません。私も無理です」とこたえた
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様々な感覚過敏のある子が突然他の子どもに押され、それから押した子を極端に避けるように。「そんなに強く押してないのに」「押した子もいじわるな子ではないですし」と先生が言うので「分かりますが、感覚過敏の子には相当ショックだったのでしょう。我々が想像できないくらいに」とお伝えした。
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その後先生がリフレーミングをするつもりなのが分かり「4歳に無理じゃないか?」と正直思った。「絵本貸してと言われた時、イヤだってお返事したら、ちくちく言葉だよね。ふわふわ言葉にするにはどう言えばいいかな?」と先生。すると子どもたちが「もうちょっと待ってて、はどう?」と言ったのだ。
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年齢以上のイメージを持つその子が悪いわけでも、そのイメージを理解出来ない周囲の子が悪いわけでもない。ソーシャルスキルの問題でもない。遊びの中で感じる伝わらなさ、物足りなさ。その子は豊かなイメージの共有を求め、どうしても大人の近くにいたがる、話したがる。そのことは理解できる気がする
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4歳の子に聞くちくちく言葉だから「ばか!」とかかな、と予想していたけどちがっていた。もちろん、この園だけかも知れない。ちなみに「おそいよ、はどんな言い方がいいかな?」と先生が聞くと「待ってるよ」と子どもたち。なかには「~の歌(ききとれず)がおわるまでにね、はどう?」という案も出た
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就労支援のケース。「Aさんは最近仕事に慣れてきたため、仕事が雑になってきた」という記録があった。Aさんは手の巧緻性や目と手の協応動作に課題があるため、慎重に作業をしていたが「そろそろもう慣れたはずだからスピードアップしなさい」と言われ、焦ってミスが増えた、ということが分かった。
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ある小学校で高学年担任(通常の学級)から宿題の話を聞いた。その先生はクラスの児童一人一人に対してまず4月に面談し宿題(量や内容)を個別に決めていく、とのことだった。子どもたちの考えと家庭の方針などを考慮して適宜調整していく必要がある、と。先生はそこまで考えているのか、と驚いた。
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あるお子さんの言葉を思い出す。「何度言ったら分かるの!って言うけれど、何度も分からないことを言わないで下さい」
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日本の特別支援教育は「人」のみに支えられていると思う。困り感のある子どもに気づける人、支援の必要性を感じている人、支援できる人。もちろんそういう人を支えるシステムはない。そしてそういう人が異動する、退職する、とその学校の、あるいはその地域の支援は消失する。次の人が現れるまで。