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・どえらい高価なお返ししてきそうランキング
第3位、御前
「まだ不慣れでお返しの相場とか知らなかっただけだと思いたい」「回らない寿司全員分は血の気引いた」
第2位、宗三
「ハイブランドをポン」「高級櫛貰った」
第1位、蜂須賀
「高いものからしか選んでない」「彼にとっては安い」
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「俺に、士道に背けって言ってんのか。」
和泉守の声が、玄関に落ちた。
しんと静まり返ったそこで、審神者が唇を噛む。その姿が、そのまま肯定を示しているようで、和泉守は目元にグッと力を込めた。黙っていればとても秀麗なその顔が、酷く歪む。
「俺に、心を殺せって言うのか……!」
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これは、とある本丸の話である。
その本丸の審神者は、幼い頃に審神者になった。親の本丸を継ぐ形で、その座に就いたのだ。普通ならば許されぬような年齢であるが、その許しが必要ない状況にあったと言えば、まあ、語らずとも審神者の置かれていた状況は分かるだろう。
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「人斬りの刀に、家族なんざ務まるかよ。」
肥前はまるで馬鹿にするように嗤った。くだらないとでも言うように、馬鹿馬鹿しいとでも言うように。
夢など見せようとするなとでも、言うように。
これは、とある悲しい本丸の話である。
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なんか、あの、あれ。
人生で一度くらい、誰かを心底愛してみたい気もする。
泣きたくなる程愛して、憎い程愛して、怖い程愛してみたい気もする。
でも、凄く難しい気がする。
そう考えると、人生って本当に短いし替えがきかないね。
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きっと、各本丸の稲葉江は「入るのか……あれに……?」って思いながらテレビ見てたんだろうな。
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引退した主の事が大好きで、忘れられなくて、強くなった姿を見て欲しくて本丸を抜け出して、乗ったことも無い電車を必死に駅員に尋ねて乗って、主の住む家になんとか行くんだけど、当の主はもう死んでいた
ってのを想像して私は泣きそう。
どの刀が良いかな……意外性のある子が良い。
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これは、とある本丸の話である。
その本丸の近侍は、長い事一期一振が務めている。初期刀である陸奥守は事務仕事を好まず、初期刀の愛染も同様の上最近は夜戦に出ずっぱり。その後顕現した鯰尾、獅子王、和泉守も近侍仕事より体を動かす方が良いと主張した結果であった。
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これは、とある審神者養成学校の講師の話である。
その講師は、刀に触れる仕事についての講義を担当している。鍛刀、手入れ、連結、そして顕現。学舎に備え付けられている擬似的な部屋で行われるその講義は大変に人気で、講師もまた生徒からとても慕われていた。
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これは、とある審神者が死に際に遺した書き置きである。
私が審神者になる事を決めたのは、歴史を守りたいだとか、そんな大層な志からではなかった。
年の離れた従兄弟が審神者をしていて、その従兄弟の殉職を受けて葬儀をした際、一振りの刀剣男士が目に焼き付いたのだ。
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陸奥守
「ほう、よう似とるが……ぱちもんじゃのう?主は昨日右の眉を全て失って傷心しちょるき。」
蜂須賀
「黙れ、貴様主では無いな。主は俺が何度やめろと言ってもハニーだのはっちだのこてピッピだのと呼ぶんだ。」
山姥切
「主はどこだ。あいつはスイートプリキュア派だ。スマイルじゃない。」
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君が僕に惚れたと言ってきた時、僕は冗談はよせと返した。
君は一瞬、目を大きく開いて、それからへらりと笑った。
あれが、君なりの精一杯だったんだろう。
主。
僕は、どうすれば良かったんだ。
主。
君は、どうしたかったんだ。
主。
何故君は、ただの刀でしかない僕に、恋をしたんだ。
288
超絶ビビりで中傷の手当てすら腰を抜かす若い審神者が、手入れ中敵の襲撃にあって咄嗟に手入れ途中の本体を握り締めて必死に逃げ回る話。
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数多くある本丸には、その数より少し少ない数の担当官がついている。彼らは初年度のみランダムに選ばれた一つの本丸を先輩担当官に追従する形で学んだ後、平均三つ程の本丸を担当する事になる。
こういう噂がある。
担当官になるのは、審神者になるより更に難しい。
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その本丸の大広間には、一冊のノートが置かれている。題目は、なんでもノート。
誰が書いても良いし、誰が読んでも良い。ルールは一つ、傷付けるような言葉は駄目。
そのノートは、みんなの楽しみの一つでもある。
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審神者として働いて、十五年。あっという間におっさんの仲間入りを果たしていた俺は、ひょんなことから娘を育てる事になった。
娘と書いたが、正確には俺の子ではない。俺の、妹の子だ。妹は、二ヶ月前に他界した。元々身体の弱い奴だったから、むしろ娘を六歳になるまで育てられた事は幸運だった。
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秋に呼ばれるのも悪くない。
真作の俺の美しさは季節に左右はされないけれど。
でも、銀杏の葉にも負けぬ黄金こそ、君に相応しいはずだ。
冬に呼ぶなら、俺にしろ。
あんたは寒がりだろう。
ボロ布で良ければ、貸してやれる。
それくらいの役割は、俺にも出来るはずだ。
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幼少期から審神者として務めてきた男の子。刀剣男士達は皆、彼が成人式に出る時や冠婚葬祭に出る時にネクタイを締めてあげられるようにと密かに練習を重ねる。
習得が早かったのは自身も身に付けている長船や粟田口、手先の器用な幕末刀剣などで、我こそはとあらゆるタイミングで締めていく。
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これは、とある本丸の話である。
その本丸の審神者は、勤勉で、真面目で、素晴らしいという言葉が服を着て歩いているような人だった。厳しいだけではなく、かと言って優しいだけでない。良きを認めて、悪きは正しく裁くような人だった。
平等で、そう、どこまでも平等だった。
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今何となくハイキュー脳で、北一時代及川から一度も頭を撫でられた事のない飛雄が、烏野に入ってよく頭を撫でられるようになって、そこで初めて(俺、あの人の後輩じゃなかったんだな)という認識してたらと思うと胸が痛い。
以降、及川の事を「中学が同じでした」としか言わなくなる。(飛雄なりの配慮)
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現世で会えた転生審神者に記憶なかったら
・三日月宗近
たまに静かなカフェで見掛ける上品な身なりの人。第一声は「あなや……ここにおったのか。」カフェで見付けたので、その後もカフェで審神者を待ち続けている。本当は思い出して欲しいけど、人としての幸せを奪いたいとは思っていない。
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【ご報告】
この度、誠に私事ではございますが、かねてより決めていたわんこを無事に洗い終えました。毛を泡で洗う争いとなりました。わんこはふわっふわになりました事をこの場をかりてご報告します。
はと。
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実際問題、あんなに刀剣男士が居て、全員と上手いこと思い出が作れたり仲良くなるのは難しい。事実審神者ちゃんと同田貫は数える程しか会話をしていない。これは恐らく珍しいことではなく、よくある事になるんだと思う。
それでも、男士達は数える程しかない思い出を大事にしてるんだろうね。
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3位、へし切長谷部
「物凄く必死に鍛えてたから何事かと思ったら、いざと言う時主を抱えて逃げる為の鍛錬ですって。ごめん痩せるね……。」「他の審神者から太ったって言われた時、私を庇って『俺が貧相なだけだ!』それ、トドメ。」「ニコニコ笑って、主がふくよかなのは財豊かな証拠です、だとよ。」
300
可愛い子には旅をさせよ、という言葉を知った小さな審神者ちゃん、なるほど、としっかり意味を理解し、キリリとした目つきで
「ほんとはさみしいんだけどね、たび、いってきてもいいからね。ほんとはさみしいけどね。いくまえにぎゅってしてね。」
と山伏国広に決死の覚悟で伝えるの巻。