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反マスク運動に参加したある女性
> 反マスク運動の催しで新型コロナ肺炎に感染して、療養後も重い倦怠感と味覚嗅覚障害が後遺症となって尾をひいている。彼女が反マスク運動に参加するようになってから夫と社会人の娘とは関係が悪化し、感染後も反ワクチン運動をしているとあって二人は家を出ていった. twitter.com/mostsouthguita…
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はてなブログのおもしろい記事を教えてもらったので紹介します。①20年3月「日本は2週間後にNYになる」、②20年夏「日本はアジアの劣等生」、③21年春「イスラエルに比べて日本は」、④21年夏「日本は東アジアの劣等生」を経て、いま日本は世界でトップクラスの成功を得ました
anond.hatelabo.jp/20220613212654…
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日本はよくやりました。とにかくPCRとか反ワクチンをあおった一部マスコミや似非評論家の存在は残念でしたが、それでもワクチン接種やマスク、自粛など国民の民度の高さがきわだっていました。専門家委員会の方針も正しかったですし、なにより汗をかいた医療者のなかまを心より労いたいと思います。
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「韓国民であればいつでも,だれでも,何度でも,無償でPCRを受けられます」を大絶賛した検査厨のひとたちがいましたが,結局,感染者累計で全国民の35.2%(日本は7.0%),死者は1000人あたり0.47(日本は0.24)という惨憺たる結果でした.それでも高い医療レベルで死者が少なめだったのは評価できます
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ひとは不安を覚えると,それを解消してくれそうなものに盲目的にすがりがちです.コロナでは野良PCR,福島では甲状腺検査,妊婦さんなら無認可NIPTというように.不安ならば医師に相談し,医学的に必要なとき検査を受けるべきです.不安は自然な現象ですが,それを克服するのは検査ではなくリテラシー.
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その後,神経芽細胞腫は悪性腫瘍のなかでも自然消退がもっとも多いことがあきらかにされました.このように一度開始された検診事業は,その後エビデンスで無効ないし有害が示されても,なかなか中止させることが政治的にできないことがわかります.これは福島での甲状腺スクリーニングを彷彿させます.
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20年も結果的には無意味な検診がつづけられ,膨大な数の過剰診断によりもともと不要な乳幼児への外科手術がなされてきました.RCTによって無効が証明されても,基準をかえて過剰診断が防ぐといった研究班の発表など専門家の抵抗のなか,一部の良心的な小児科医や小児外科医の力により中止となりました.
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神経芽腫のスクリーニングは膨大な数の過剰診断を生むことがRCTにより証明されました.しかし莫大な予算と数多くの小児手術を生んだ全国スクリーニングは,一度はじまるとそれをとめるのはなかなかむずかしかったのです.2002年に一流誌のeditorialで痛烈に批判され,2004年にようやく中止となりました
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日本ではこの思いつきで莫大な予算をかけて全国規模の検診をはじめたのです.ところがカナダやドイツで200万人!!規模の無作為比較試験(RCT)を15年かけておこなったところ,検診群では神経芽腫の発見が激増しましたが,対照(無検診)群との死亡率とまったくかわらないことがあきらかにされたのです.
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無症状のひとを調べるがん検診に意味があるかを判定するには,どちらが長生きするかを対照試験で比べる方法しかありません.神経芽細胞腫という乳幼児におこる悪性腫瘍はカテコラミン(CA)を産生しますが,乳児の尿のCAを検査し,早期発見により死亡率が低下したという日本語の論文が1984年にでました
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福島甲状腺がん集団訴訟で気になるのは、弱者を運動のなかにとりこむことで代弁者的な立場となり、自分たちの活動に利用としようとしている支援グループの存在です。当初は弱者救済をかかげていたのに、次第に主旨とはかけはなれた主張に走りだす様子は、HPVワクチン訴訟とおなじ構図です。
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そうか。いまひとつ気がついたのですが、ふつうのひとは、検査が高精度になればなるほど過剰診断はすくなくなると考えがちなんですね。事実はまったくその逆です。検査が高精度になればなるほど過剰診断は増えていきます。甲状腺超音波検査もコロナPCRもまったくそのとおりなのです。
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前立腺がんや甲状腺がんが例外なのではありません.最近のさまざまな疫学研究によると,がんのスクリーニングでは必ず過剰診断がある一定割合でおきており,程度の問題とわかっています.そうなると個別のがん検診のメリットデメリットを理解したうえで受けるかどうかを決める必要があるのです.
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たいせつなことをくりかえしますが,あるひとりのひとが過剰診断されたかを知ることはできません.しかし集団でみると,がんによる診断率と死亡率を比較すれば,過剰診断がおきているかは容易に知ることができます.がんの診断が増えているにもかかわらず死亡数がふえていなければそれは過剰診断です.
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このように「早期発見」という強力なパラダイムがゆらいできたのはこの10年あまりのことにすぎないのです.いまだ認識がおくれている医者もすくなくありません.スクリーニングにはメリットとデメリットがあり,それを認識して検診を受ける必要があります.甲状腺がんにおいてもまったく同様なのです.
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2000年代には過剰診断の害があきらかになって,PSAスクリーニングが推奨されなくなったため,新規診断数はさすがに落ちついてきました.そもそも前立腺がんの進行はきわめておそく,高年男性を死後解剖すると30%くらいに組織的な前立腺がんがみつかるといわれています.これをラテント癌といいます.
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これらの男性はがんと診断されたことで,かなりの不安と苦悩を感じたことでしょう.しかしより深刻だったのは,ほとんどのひとが手術や放射線治療を受けた結果,インポテンツ(50%)や排尿障害(33%)などの後遺症を残したことです.過剰診断によって過剰治療がなされ,悲しいほどの害が生じたのです.
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しかし1990年前後に前立腺がんのPSAスクリーニングが登場してから,そういった見かたはかわらざるをえなくなりました.前立腺がんは検査すればするほどみつかるようになり,がんにも過剰診断があることがあきらかになったのです.スクリーニングとは何の症状もないひとにがんを系統的にさがすことです.
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がんにも過剰診断があるなんてふつうは考えづらいかもしれません.がんはおそろしい病気で,全身にどんどん転移して治療しなければ必ず死にいたると信じられていました.そしてがん治療の最善の方法は早期発見早期治療しかない.このことは一般のひとだけでなく,医者の多くもそう考えてきたのです.