日本でのコロナ対策の「成功」に、ファクターXのような生物学的要因を求める傾向を強めた1つの原因は embopress.org/doi/full/10.15… この問題の多い「論文」の要点は(1)日本の生活習慣; (2) 新型コロナ類似の風邪;(3)日本人はウイルスにかかりにくい遺伝体質;(4)日本人の免疫の遺伝的性質がウイルスに強い
類似のウイルスが与える免疫は「交差免疫」とよばれるが、これまでの多くの研究にもかかわらず、風邪のコロナウイルスの交差免疫が、新型コロナに対する防御免疫になっているとはいえていない。抗体の交差免疫については結論が分かれているし、T細胞の交差免疫についても防御免疫になる証拠はない。
T細胞がウイルスを認識する「部位」はHLAの型により違う。人によってHLAの型は違うので、これがT細胞免疫のはたらきかたを変える可能性はあるが、分かっていることは少ない。 日本人に多いHLA型がT細胞の交差免疫を引き出すという論文も、それが新型コロナから防御する免疫になる証拠は得られていない
オミクロンは重症化率がやや低いが感染を広げる勢いが大変に強いので、結果的に重症患者数が増えやすい。ワクチン接種率が低く、自然感染も少ない、免疫の「守り」が弱い社会に対して、オミクロンは大きな被害を与えうる。一方、ワクチンで被害は相当回避できるようである。この幅で先を読みにくいが twitter.com/masahirono/sta…
英はオミクロンによるICU患者数は少なくて済む傾向がみえており、ワクチン接種率が高くブースター接種が広くいきわたっているおかげと考えられる。 一方で、爆発的な感染者数に伴って入院数は増えており一般病床への負荷は大。加えてオミクロン感染で相当数の医療スタッフが隔離、欠勤、医療の逼迫は大
米国の状況はより深刻。州によってはオミクロン流行による被害は過去最大になる可能性がある。ワクチン接種率が低いことが原因と見られる twitter.com/jburnmurdoch/s… デルタ大流行で被害が大きかったフロリダで重症患者数が比較的増えていないが、これは南アフリカにおけるオミクロンの推移を思わせる。
ワクチンの効果は数ヶ月で減弱。英のデータでオミクロン感染で(入院するほど)重症化しないよう予防する効果は2回接種後6ヶ月で半減 *ワクチン未接種者が10人重症化するとき ワクチンを2回接種後半年経過-10人中5人の人は重症化せずに ブースター接種後-10人中9人の人は重症化せずに済む
元データ assets.publishing.service.gov.uk/government/upl… *重症化回避の数字はまだ大雑把で、年代ごとに違う可能性はある *80代以上の高齢者は免疫の減弱は早い。若年者の免疫は比較的安定 →高齢者などリスクが高い人のブースター接種は重要
軽症〜中等症コロナ治癒後の後遺症(Long covid)の研究 治癒4ヶ月後にも後遺症症状(倦怠感、呼吸困難、胸痛のいずれか)がある患者について調査。治癒8ヶ月後にも自然免疫細胞やT細胞の活性化がみられた。免疫系の過剰なはたらきが一部のコロナ後遺症をつくっている可能性 nature.com/articles/s4159…
空港検疫の検査がPCRではなく抗原検査だというのは本当なのですか??オミクロンなど変異株の検査をするためにはまったくの2度手間になるので、にわかには信じがたいのですが..
@profidokamdphd ありがとうございます。抗原検査だったとは驚きです.. 結局、変異もみなければいけませんから、遺伝子検査のためにサンプル採取しなおしということになって、効率悪いようにしか思えないのですが..
オミクロンが「自然のワクチン」にならない理由 news.yahoo.co.jp/byline/onomasa… オミクロンが「弱毒株」であるゆえ「自然のワクチンになり」パンデミックの出口に至るという楽観論が世界で広まっており、日本にも到達したようです。科学的には根拠のない話ですが、よくみうけられる疑問を検討してみます。
日本のコロナ感染者・死亡者・入院患者・重症患者数の2020年1月以来の推移 •病院入院数、重症患者数(黄)はデルタ流行時と同レベルに •新規死亡者数は急速に増加、昨年のデルタのピークを超える勢い •新規感染者数増加の勢いは緩やかになりつつある (データはOur World in Dataより)
オミクロンBA.2系統のウイルス学的性質について. 興味深く重要な研究だと思います. twitter.com/SystemsVirolog…
香港でいまオミクロン流行による死者数が急増、英で最悪だった第2波なみに -香港では高齢者でワクチン接種率が低い。60代以上で接種率低く、80代では2回接種30%のみ。ブースター接種はさらに遅れている -リンクの記事によればワクチン副反応を恐れて接種をしない人が多いとのこと twitter.com/ftdata/status/…
医学誌Lancet、世界各国の超過死亡を分析 •欧米各国は報告されたコロナ死者数と超過死亡にずれは少ない(1-2倍程度) •日本はずれが7倍=超過死亡のうち1/6しかコロナ死者として報告されていない •2020-2021年、世界で報告されたコロナ死者が600万人、超過死亡は1800万人 thelancet.com/journals/lance…
•グラフは#OurWorldinDataによる国別超過死亡データ。横軸は年月で縦軸は超過死亡(実際の死亡数が数理モデルで予想された月ごとの死亡数に比べて何%多い・少ないか)。このデータでは日本の超過死亡はかなり少ない •Lancetの報告でも超過死亡の絶対数は、日本は欧米各国の1/4〜1/10程度
超過死亡の有用な点は •パンデミックの影響は多岐にわたるので、間接的な影響も含めた全体的な影響を把握できる •統計がおぼつかない発展途上国におけるパンデミックの影響を測定できる *日本は超過死亡の絶対数が少ないが、コロナに直接関連づけられた死亡者の割合が他国に比べかなり低い。なぜ?
コロナワクチンの目的: •接種をした人たちが重症化してしまうのを予防できることが大事で、これが主たる目的 •ワクチン接種計画は流行抑制を主眼にすべきではない(2020年の日本のワクチン接種キャンペーンはピンボケであった) •ワクチンは基本的に接種する本人のために行うもの
ワクチン接種の回数について: コロナで重症化してしまう心配があるひとたち(50代以上、糖尿病もちなど)は 何回接種したかではなく、最近打ったワクチンを何ヶ月以内に打ったか、が大事 これは接種後、時間とともにワクチンの重症化予防効果が目に見えて落ちてくるから(特にオミクロンでは顕著)
副反応について: •新型コロナウイルスワクチンは世界中で多くの人に接種されている •ファイザー6億回、モデルナ1.5億回、アストラゼネカ6700万回以上 •統計データの質が高く信頼できる英米欧中心に安全性は十分確認されている •3回目接種でとくに副反応が増えることはない
英国統計局の重要なデータ: 12〜29歳のひとがワクチン接種後 •全ての死亡原因について、死亡率は増えなかった •心疾患による死亡の死亡率も増えなかった (ワクチン接種後1週間後は死亡率低下) 若年者でもワクチン接種で副反応が問題になっていない証拠のひとつ ons.gov.uk/peoplepopulati…
オミクロンと免疫・ワクチン: -感染予防効果は数ヶ月で減弱、あまり期待すべきではない -重症化予防効果は比較的保たれる。が、2回目接種後、半年で半減 - 3回目接種は効果的、重症化予防の効果は半年後でも8割 assets.publishing.service.gov.uk/government/upl… オミクロン対策は、高リスク者に3回目接種を行うことが重要
新刊『免疫学者が語る パンデミックの「終わり」と、これからの世界』は、編集者さんの大変な努力のおかげで誰にでもわかりやすいものになったと思います。 この本の印税は、コロナと将来のパンデミックに備えた研究進展のため、大学での研究費として使う予定で準備中です。 amzn.to/3O9YND2
研究者の生活は、論文、研究費の申請書、実験のため法律上必要な手続き(ライセンスなど)、教育...など信じられないくらい文章を書き続ける仕事です。これらに加えて、筑摩の新刊 amzn.to/3O9YND2 執筆もしたので.. ラップトップのキーボードが摩耗して下が透けるようになりました