151
リンちゃんに「これ私のアドレスだよ」って紙を渡されたい。「え、仕事用とかだよね?」「プライベートなやつだよ」なんて笑う彼女に息をのんで、帰ってから紙を開くと「192.168.0.2」って書いてあって、これをどうすりゃいいのか首をひねりたい。
152
リンちゃんの肩を揉んでいて、漏らす声が肩甲骨近辺と僧帽筋近辺で違うことに気づきたい。密かに研究した結果、肩周りのツボの押し方で音階ができることが判明し、流石ボーカロイドだなと思いながら彼女の肩で曲を演奏して、「やめ↓てよ↑ー!」ってメロディアスに怒られたい。
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リンちゃんと何がしたいって、何もしないで縁側に座って、一緒に風鈴の音に耳を傾けたりしていられればそれでいい。
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リンちゃんが、主役が死んでしまうボカロ曲を聴いて、ぼろぼろ泣きながらうろうろしながら「この子死んじゃったの、お葬式しなきゃ」なんて動揺してるので、「ボカロは2次元だから死なないよ、現実とお話の区別つけなよ」って説得してあげたい。
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リンちゃんをぎゅーってしたい。ぎゅーってしようとしたら「今日4回目です」とか冷静な顔で言われたい。あげく、ここ1ヶ月のぎゅー回数を正確にカウントしたグラフを提出され「今週は従来より有意に頻度を増しています。何か心配事でも?」と心配され、開いたままの腕をどうすべきか固まりたい。
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リンちゃんが寝起きに髪を触ってきて「立ってるー」ってぴこぴこするので、ああ寝癖かって気付きたい。洗面所に立つと彼女は何故かがっかり顔で、一日このままでいさせる気かって苦笑したい。結局寝癖がしつこくてドライヤーでも直らず、リンちゃんは嬉しそうにぴこぴこしてくるので、もう諦めたい。
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体重計から下りたリンちゃんが「太った…」と悲しげなのだけど、鏡音リンの公式設定は43kgであり、数値が食い違うとすれば体重計こそが間違っているためクレームを入れたい。非を認めないメーカーとの論争はやがて学術界へと広がり、ついに国際キログラム原器の重量を修正することで決着を見たい。
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リンちゃんの部屋のドアを開けたら丁度バッテリー交換中で、かあっと顔を赤くした彼女に「へんたいっ!」って追い出されたい。廊下で立ち尽くしながら、銀色だったな…などと思い返したい。
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英語曲を歌いづらそうなリンちゃんに「英語苦手なら日本語に直そうか?」と提案したところ、「じゃあお願いします、マスタ…じゃなくて、ごしゅじんさまっ」と返事され倒れそうになりたい。
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春休み明けの朝、下駄箱でリンちゃんと顔を合わせて嬉しくなりたい。けど階段で「きみはもう3年でしょ?」って言われて、赤点取れば俺も留年できたのかな…でも義務教育だし無理だよな、なんて思いながら、今年度も2年生の教室に向かう彼女の背中を見送りたい。
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リンちゃんを慰めようとして「何も知らないくせに」って突っぱねられても、どれ程彼女を知る努力してるか、慰める資格があるかをわかってもらいたい。盗聴器やゴミ袋漁りなど具体例を挙げて語ったら、彼女は金切り声を上げてどこかへ走って行ってしまい、元気が出たようで良かったなと空を見上げたい。
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【CM】3/27発売の小説「リンちゃんなう!SSs」、Amazonに詳細公開されました。5編からなる短編集です。執筆はsezu、イラストは勿論田村ヒロさん。オワタPの原曲&暴走Pによる激しいアレンジver収録のCDもついてきます! amazon.co.jp/dp/4758044147
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リンちゃんに「あたしの発音って古くさい!?」と泣きつかれたい。どうやらクラスで、流行語の発音がことごとくおかしいと突っ込まれたらしく、まあボカロに内蔵された辞書登録単語は国語辞典ベースだから流行語はないからなーと困り、学習効果がないのは判りつつも、気休めに発音練習に付き合いたい。
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リンちゃんに監禁されたい。「あたしこういうの慣れてるんだっ」と謎の虚勢を張る彼女だけど、ぼくの手首を縛る手際はだいぶ悪く、縄の結び目が緩く簡単に取れちゃうので、「あれっ、あれっ」と涙目で何度も縛り直すリンちゃんを、思わず「はいはい、逃げないから」って頭ぽんぽんしたい。
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リンちゃんに小声で呼びかけられたい。聞こえないので膝をかがめると、彼女の唇が顔に近づくのが分かる。頬に息がかかり、心臓が早鐘を打ち始めたところで、すっと息を吸った彼女が突然、耳元で「わっ」と大きな声を上げたので、思わず耳を押さえて地面に転げ回りながら、けらけら笑われたい。
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リンちゃんに、お菓子の作り方教えてって頼まれたい。まずチョコは湯煎してねって説明しようとしたら「違う、ケーキ」って言われてきょとんとしてから、そういえば明日はカイトの誕生日だったなと納得したい。
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ルカに英語を習いに行ったリンちゃんが、帰ってくるなり「単語より何より大事なのはheartだってさ!」とキラキラした目で報告するので、早速二人で英会話したい。「ハーイ」「ハーイ?」「ハーイ!」って。充分嬉しそうなので、結局単語覚えられなかったの?なんて野暮なツッコミは控えたい。
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いつも賑やかな部室なのに、今日は偶然他の部員が休みで、鏡音さんと二人きりになってしまい、会話が続かなくなりたい。何か話したくても言葉が思い浮かばず、そうやってそわそわしてるのは自分だけではなく鏡音さんもだと気づいて、ますますそわそわしたい。
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公園でサッカーをやってて、ボールがゴールポストを飛び越えて、リボンをつけた女の子の所に転がっていってしまったので、「おーい、ゴール蹴り返してー」と言い間違えたい。頷いた女の子が思いっきり蹴り飛ばし、グラウンドの土を抉りながらこちらに転がってくるゴールポストを見て悲鳴を上げたい。
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リンちゃんにお年玉をあげようとしたけど受け取ってくれなくて、なんでって訊いたら「だって多分あたしのほうが稼…」って言いかけた彼女は、はっとしたように口をつぐんで、それから何も言わずに笑顔でお年玉を受け取ってくれたんだけど、その配慮が逆に辛くって崩れ落ちたい。
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リンちゃんが寝返りを打ち、手近に頭が転がってきたため、撫でていたい。すると虚ろに目を開き「あたまなでるのべんりー?」とか言うので、戸惑ってから、撫でやすくて便利だよと答えると、満足したように寝入ってしまったのだが、起きてからそう話すと「そんなの言ってない!」と真っ赤になられたい。
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レンなどは、冬休みが誕生日に被っていたり、親にクリスマスと誕生日を合算されたり、親戚に新年にお年玉と誕生日プレゼントを合算されたりと散々な思い出があればいい。今年もどうせと諦めていた折に「忘年会やるぞ」と呼び出され、しかし実はそれが誕生祝い会だとバラされ泣いてしまえばいい。
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リンちゃんに突然手の平を合わせられ「冷たいね」って言われたい。手の冷たい人は心が温かいんだぞと胸を張ると、体温の高い彼女に「あたしの心が冷たいって?」とむくれられたい。論理学的には命題の裏は成立しなくてねなどと慌ててまくし立て「あっ見てサンタさんがいるー」と冷たくあしらわれたい。
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叔父に財産を騙し取られ金に困り、リンちゃんを誘拐したい。逃亡生活の中、事情を知った彼女が被害者にも関わらず我が事のように怒るのを見て、心を打たれ出頭を決めたのだが、それも制止されたい。目を瞬かせるぼくに不敵に笑い、叔父への復讐と財産奪還のプランを滔々と語る彼女に、息を呑みたい。
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「あたしには予知能力があります」って、夕刻、リンちゃんから電話を受けたい。何を突然と思ったら、「今晩の食卓にはカキフライが並んでいるのが見えます」って続けるので、はいはいそうですかって軽く流して電話を切ってから、予知を成就させるためスーパーに出掛ける準備をしたい。