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月島さくら「女性の権利を侵害するAV新法」を拝読しました。新聞等では、こういった当事者の声が立法事実論や職業の自由規制の合理性・相当性の議論との関係で殆ど報道されない傾向にあるという印象だが、今後公表予定の拙稿で引用させていただき、法律家等にもより広く知っていただくようにしたい
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しんぶん赤旗2022年10月25日11面のAV新法の関連記事によると、2年以内に、①性行為の契約の「無力化」と②契約解除期間を(恐らく1年から5年への)引き上げが検討対象となりえます。1つの業界は瀕死状態となり廃業が相次ぎ、地下化も予想されるほか、他の性的表現規制に発展する可能性も否定できません
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仮に任意の契約解除期間を一律に(現在の1年から)5年にするとすれば、さすがに憲法違反ではないでしょうか。↓の円グラフは、同じ記事のものですが、もし仮にこれで規制目的との関連性(適合性)があるとしても、。手段があまりに過剰であり相当性を欠くものと思われます
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性行為の契約が一般的に違法&無効だと法律(例えば2年後改正にされる新AV新法)で規制されることになると、今度は性的表現行為一般にも波及効果が及び、性表現の規制立法ができる契機として機能することになるだろうと私は予想します。市民の表現の自由や職業の自由は、更に国家権力により制約されます
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「萌え絵を人権と同じレベルに考えるなんて、馬鹿馬鹿しい」というツイートを見たが、萌え絵を描く自由は表現の自由(憲法21条1項)により保障されるということは特に憲法学説において争いのないことだと思われるが、一部界隈では否定説があるのだろうか。あるいは、違う時代、違う国家の話だろうか…
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憲法のイロハすら理解していない人が「リベラル」側に(も)いることが理解可能なツイートとも見られるが、こういう誤解が個人や集団への差別を生むということも考えた方がよいだろう。自由主義を前提とする近代国家は、自分(や自分と同じ思想や意見の人たち)だけが快適な世の中を前提とはしないのだから
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AV新法の拙速な判断過程を強引に美化する残念な記事と言わざるをえない…。曽我部先生のコメントプラス(逆に素晴らしいコメント)を一緒に読むことが絶対的に必要な、取り扱い要注意の記事です AV出演被害救済法、スピード成立の舞台裏 NPOがつくった潮流:朝日新聞デジタル asahi.com/articles/ASQBS…
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そもそも2022年4月施行の成人年齢引き下げの民法改正は2018年。これは2015年公選法改正を踏まえたもので、2018年消費者契約法が改正されて若年層が被害を受けやすいタイプの契約の法規制が拡大し消費者保護が図られたが、他方で政府はAV出演契約については同様の議論・法規制による検討を行わなかった
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にもかかわらず、2022年になってバタバタと議論を始め、廃業を迫られる可能性が高い当事者の声を聞かず、公益団体の声を聞いたから問題ないという本来はあり得ない強引で拙速な議論だけでAV新法を成立させた。このように政府の責任は重大だが、この新聞記事は政府の責任を無きものとして扱っており問題
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なぜ4年あるいは2015年からカウントすればそれ以上の時間があったのに、政府は議論を放棄してきたのか。その政治的責任こそが問われるべきだろう。拙速で不十分な立法過程しか経ていない法案は欠陥だらけというほかない。一部の当事者の人権や利益を無視して作られた法律だから当然といえば当然だが…
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根底には、国会議員らの間に(野党議員も含め)AV関連の職業を選択し遂行する事業者や個人を差別する感情があったからだろう。そういった人の声を聞く必要はない、そういった人の不利益はこの際無視しよう、という職業差別感情があったものと思われる。しかしこれは個人の尊重という憲法の理念に反する!
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以上の観点から、朝日新聞の今回の記事は政府の責任追及をせず、むしろ一部の重大な不利益を受ける当事者の声を政府とともに無視し、政府を擁護する内容とも取れるが、「リベラル」が聞いて呆れる。広く当時者(全ての利害関係者)の声をまともに取材してほしい。一部の事実を伝えないことは報道ではない
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AV新法絡みで特定の研究者の大学の事務に電凸している者がいるようだが、キャンセル・カルチャーが蔓延し始めている現象と捉えることができないだろうかと感じる。結局、学外の問題を、職業上の地位を危うくさせる機能を持つ社会活動に利用し、排除文化の材料にするというやり口自体が不当だと思われる
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ちなみに、正義を実現するという目的達成のためには特定の個人が職業上の地位を脅かされても仕方がない、例えば研究者が安定的に研究を行えなくなっても良い、という一種の制裁論があるが、質的には(本来禁止されていはずの)私刑と殆ど変わらないものだろう。目的は必ずしも手段を正当化しないのに
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山田厚俊「悲鳴続出 女優らは『収入半減』約4割 AV新法に異議あり!」サンデー毎日101巻50号(2022年)30~31頁を読みました。職業選択の自由・職業遂行の自由への重大な制限を課す立法であるとともに、適法な契約なのに違法行為だとする誤解や、職業差別意識を助長・拡大させる危険が高い法律ですね…
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売春防止法改正に関する社会運動だが、AV新法のときみたいに、また事業者側の意見を聴かず調査も十分せず強引に法改正に持っていくのだろうか? AV新法施行2年見直しのタイミングが最も危ないだろう。改正すべきか否か、様々な当事者や専門家の声を聴くべき。今度こそ議員も政府も立法論のイロハを守れ
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今夜は机や床に本や雑誌を多数広げていわゆるAV新法を解説する原稿を書いていますが、憲法、行政法、民法、刑法、法哲学、ジェンダー法学……と、関連する法領域が多く、正直大変ですが、この手の解説は弁護士向きなのかなとも感じており、何とか書き切りたいと思います
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個人のミス(あるいはミスかどうか疑わしい行為)を探し、それを社会運動に利用し、その運動が法的責任をはるかに超えて個人を社会から排除する機能を有する(キャンセル・カルチャーの機能がある)場合、その機能の不公正さゆえか、報復的な排除的行動が生まれやすくなるのかもしれない。人を呪わば穴二つ
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キャンセル・カルチャー機能のある社会運動というのは、いっときは上手くいくのかもしれないが、持続可能性は低いと思われる。他者に不寛容な運動は、それで不利益を被る他者の不寛容さを増幅させ、あら探し合戦となる。自分の側のあら探しをされつつ、他者のあら探しをする社会運動は続きにくいだろう
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AV新法に関する本村委員の答弁だが、少なくとも、出演契約に係る適性AVの契約では相手方は「特定」されていると解するのが相当であり、したがって売春防止法の定める「売春」には該当しないと考えられる。また、この答弁に関して立法過程で業界側からの反論の機会が保障されるべきだっただろう
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自律的に職業選択をし、その職業を遂行するセックス・ワーカー側の意見を全くといって良いほど聞いていないために、偏った法律ができてしまった。これは最高裁で違憲とされた薬事法も同じ。十分な議論が立法過程で行われなかった。さらにいえば、セックスワーカーを同じ職業人として見ていない
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セックスワーカーを、国会議員等と同じ職業人として見ていない人たちが、一部の事実だけを見て、性急に議論を進めてしまった。議員とセックスワーカーは同じ職業人である。弁護士も大学教員も同じ 同じ個人として他者の職業を見ない者が「個人の尊厳」を重んじる、とか言っても、言葉が軽い。響かない
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AV新法の原稿、法律の問題点が多く、正直(約)1万字ではとても足りないが、主要な法的問題だけ論じます
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普通に国賠もの。あり得ない対応。自治体の体を成していない 「その後、対象外とされた生徒らはそれぞれ自分の部屋に戻り、奥で待機。教員は各部屋を回り、7人以外の生徒にクーポンを配った」 生活保護の生徒「対象外」 北海道の中学、修学旅行でクーポン配らず | 毎日新聞 mainichi.jp/articles/20221…
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勝手な想像に基づき、AVと無関係の被害事例を強引に結びつけたり、そういった虚偽あるいは勘違いを前提に法改正の運動を展開して他者を巻き込み、AV事業に関わる市民の職業の自由を脅かす(自称)「記者」がいるようだが、実質的には記者などではないので、「フェイクニュース作家」と呼ばれるべきだろう