351
キャンセルカルチャーを批判している人は、①これまで発言の機会を奪われてきた市民の社会運動一般を否定していわけではなく、②一定の過剰なキャンセル機能の強い社会運動を批判しているにすぎない。そのため、②の批判をする人に対し、①の社会運動を否定するのか!!と怒る人とは、対話は困難ですね
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大河ドラマにせよカマキリ先生にせよ、不祥事で放送キャンセルとなれば再度NHK受信料が原資のお金を大量に使って番組をとり直すことになるが、そっちの方がよっぽど「国民の理解」を得られないだろう 作った番組を流すこと イコール NHKが不祥事を肯定したことになるなんて、不合理な思い込みでは?
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ポリコレが公権力によって悪用された場合の影響は絶大↓。ゾーニング教と行政が一体化(いわば政教一致)すると現代の主要な販売手段が断たれますね… 鳥取県有害図書指定によってAmazonで発売停止になったので、ラジオライフ編集長がAmazonと鳥取県に問い合わせをしてみた togetter.com/li/1936010
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現行の鳥取県青少年健全育成条例は、主要な代替的な発表の経路を断つ効果のある条例なので、事前抑制か、それに近い強度の規制を課すものといえる。Amazonなどインターネット等での販売まで刑事罰付きで規制しており、県外の者への販売禁止をほぼ必然的に伴う。違憲だろう pref.tottori.lg.jp/240262.htm
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争い方だが、販売事業者等が刑事罰の適用を争うことは勿論できるが、これだと図書等の著者等が直接争うことはできない。そこで、著者等としては有害図書指定の告示を処分だとして取消訴訟を行い、処分性が否定される場合に備えて(条例自体の違憲性を前提に)指定違法の確認訴訟をすること等が考えられる
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違憲性の程度で言えば、鳥取県青少年健全育成条例とか、いわゆるAV新法の方が、このたびの国葬実施の閣議決定よりも違憲性が高い気がします(ただし、国葬に際して、例えば子ども(生徒など)に弔意表明を事実上強制するようなことをやれば、違憲性は高いとは思います)
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いわゆるAV新法の違憲性を主張して運動をし闘っているのは女性だけではなく、男性(例えば男優さん)もいるわけで「舞台に上がるのは女性ばかり」という評価は、普通に重大な事実誤認です。にもかかわらず「漁夫の利を得て益々強くなる強者=男性」という評価はどうなのか…。あまりに失礼ではないか
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キャンセルカルチャー支持者は不祥事を起こした者の番組がキャンセルされない限り、メディアが不祥事を容認する立場だと一方的に決めつけるが、放送される番組等はキャンセル対象とされた一人だけで作るわけではなく多くの人が関わり皆で作っている。キャンセルはむしろ連帯責任を容認する。戦前の発想
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クリエイター側の関係者の(不祥事を起こしていない)表現の自由や営業の自由を無視してキャンセルせよというのがキャンセルカルチャーとしての社会運動だが、問題はそれだけではない。視聴者の当該番組等から情報を得る自由、教育的な番組であれば学習権や学習の機械を奪うことを容認する行為でもある
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社会を「アップデート」するという抽象的な目的ために、不祥事を全く起こしていないクリエイター側の多くの関係者や、作られた作品を楽しみにしている視聴者側に対して連帯責任を追わせ、その人たちの具体的な権利利益を毀損し奪い取るがごとき行為を容認するのがキャンセルカルチャーの本質ではないか
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私刑の容認、全体主義、連帯責任主義、責任なき個人の権利利益の無視軽視など……どれをとっても前近代国家的な発想ではないだろうか
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社会のために個人の権利が害され特別の犠牲を被った場合、憲法では損失が補償されるが、キャンセルカルチャーでは不祥事を起こしていないクリエイターや視聴者の損失は一切救済されない。それは社会の「アップデート」という崇高な理念のための「必要な犠牲者」なのだと決めつけられる。これは全体主義
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伊藤公雄 (京都大学・大阪大学名誉教授)・樹村みのり (漫画家)・國信潤子 (元愛知淑徳大学教授)『女性学・男性学ージェンダー論入門 第3版』(有斐閣、2019年)57~58頁だが、電車内の掲示物を乗客(大学生)が取って破棄する犯罪行為が描かれている。犯行動機は「きみのお母さんが見たら泣くよ」でした…
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同書48頁には「器物損壊罪になるから,まねしないでね!」との記載があるが58頁にはその記載はない。表現の自由、学問の自由に基づく描写として尊重されるべき漫画だが、学問の入門書として妥当な描写なのか? 女性学・ジェンダーの観点からの行動というのは分かるが、目的が正当でも手段がこれでは…
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これ写真集を発売した(する)側の人や、撮影した人、撮影スタッフ、セット等の設営者、他の多くの関係者は、このような犯罪行為、不法行為を描いた表現を見て、不快にならないでしょうか。漫画だから仕方ないのか。「見なければいい」だけか。クリエイター側の人たちはこれに心を痛めないのでしょうか?
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名誉というより私生活の平穏を(主な)保護法益とすると解される「オンラインハラスメント罪」がフランスやオーストリアでは制定された。1回のツイートであってもいわゆる炎上につながれば、名誉毀損罪や侮辱罪が不成立でも、ハラスメント罪とされ前科がつく。日本でも同種の法律が成立する可能性がある
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ハラスメント罪などを作って、表現の自由をどんどん規制していけば、女性学、フェミニズム、ジェンダー論に基づく表現も、そのうち規制される対象になってしまうというリスクはあるでしょうね…。国家権力によって、いわば掲示したポスターを“やぶられる”側になる前に危険に気がついてほしいと思います
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(補足)上記書籍の第3版は2019年発行ですが、初版は2002年発行です。
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上記ツイートのハラスメント罪(オンラインハラスメント罪)について、以下のツリーが関係するので、つなげておきます twitter.com/YusukeTaira/st…
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ライターの中山美里さんが行ったアンケートのよるとAV新法以降仕事が無くなった女優さんは「16%」だという(松本祐貴「AV新法はAV終焉の序曲なのか!?」エキサイティングマックス!16巻10号(2022)50頁)。深刻な影響…。また、こういった立法事実に関する調査は本来、国会や政府が予算を使ってやるべき
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表現/言論の自由というのは、国や自治体という公権力の介入を受けないことという問題に「限定」すべき、という考え方は、法学をよく知らない大人(特に法学以外の領域の専門家)が陥りがちな誤解。そういう考え方は初等教育か中等教育までにしてほしい。現代国家における表現の自由の問題はもっと広い
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例えば自己/自主規制に憲法の規定は直接は適用されないが、表現の自由が実質的に制約されうる問題を軽視することは危険 美術手帖2020年4月号84頁の指摘が重要(荻野幸太郎うぐいすリボン代表+志田陽子教授の解説)。同文献の「検閲」は判例の定義より広いが、表現の自由が無関係になるわけではない
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ポリティカル・コレクトネス(ポリコレ)、公権力側は歓迎しているというか、「泳がせて」いると思いますよ。自主規制/自己規制の動きを泳がせておいて、そのルールが曖昧になってきたところで、ルール違反を「立法事実」だとし、法律(新法)にするチャンスを待っていると考えておくのが無難でしょう
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ポリコレ賛成側の人は、自分たちが審査する側で、自分こそが基準を知る者だから、研修等をしてアップデートされていない市民たちを教育してあげようとか、あるいは、自分たちを諮問機関の委員に「専門家」として任命すべきだというでしょう が、甘いと思いますよ。曖昧なルールはいつか権力が悪用する
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いつか「アップデート」されているはずの人たちが(も)審査される側になり、都合が悪くなれば、国家権力から裁かれる側、罰則を受ける側などになるでしょう。ポリコレの「専門家」らは、自分たちが審査され、公的空間から排除される側になったときに初めて主張することになる 「基準が曖昧不明確だ!」