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「黒井戸殺し」、みなさんの評判を聞いてFODの配信を見る。オクターブの高い周囲と大泉の演技設計。細かく視聴者の誤認をみちびくミステリならではの脚本。対決場面のひそかなカメラワーク。原作の衝撃が正攻法で融解されたことに感服した。内田ケンジ流のケレンを予想していたら、軽く外れました。
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沼津のシネコンで劇場版「コナン」を見る。畳み込むクライマックスに、トイレへ行く隙もなく危なかった。だがぼくの膀胱とは無関係に、これは優れたエンタメだ。理に落ちた動機も公安の上下関係を知って納得。硬派の展開ながら安室をはじめキャラを生かした脚本、タメと爆発力のある演出はイキかいい。
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「ひそねとまそたん」8話まで観了する。航空隊という最もシビアな現実に、のんびりした幻想を合体させ、メインプロジェクトがまつりごと(先読みですが)ときた。視聴者の想像力を動員させておいて、その上を行きますか。この設定だからこそ、まつりごとが説得力を生む。プロの仕事と感じさせられた。
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友人に勧められ、見逃していた「宇宙戦艦ティラミス」1話から3話まで見た。壮大で読むヒマもないOPに始まり、サマになるキャラ、格好つけたメカ、堂々の声優陣で、駅前居酒屋然としたネタを熱演する。新潮社の名に恥じる出来ばえで、アニメ文化はまた一段と薄っぺらになった。続きも見るとしよう。
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大学職員嬢のすすめで「ダーリン・イン・ザ・フランキス」を24話まで観了した。並の学園搭乗ロボ活劇より前進しており、好感を持って見終えたが、広大な背後設定が後出しジャンケンで、後半の説明調は辛い。「エヴァ」「蒼穹」では未知の深淵が深みを増していた。剰余あってこそドラマになると思う。
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73年前のいま長崎上空に閃光が走りました。勝敗に関係なく戦争は殺し合いです。それが異常でなく当然と思い込まされたのが、あのころのぼくたちでした。東洋永遠の平和、国体護持、悠久の大義。理屈なんかどうでもつけられます。偉くて格好いい人の言葉でなく、自分の頭で考えようと反省しています。
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1945年の今日、日本は敗れました。神国不敗を叫んでいた政府や新聞は,「敗戦」といえずに「終戦」といいだしました。同年5月の金田一京助編集「明解国語辞典」にそんな言葉はありません。事実を隠す言葉遊びは、今なおつづいいるのではないでしょうか。今なお無邪気に騙される人たちも。
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アニメ「ルパン三世」第5シーズンで、時雨沢脚本の回を見る。30分の切れ味に堪能した。ガンアクションだが趣向と絵面とドラマとみごとにワンセット揃っている。その前の回(すみません、ライターの名前失念)も、強引かつ洒脱に纏めあげ、ルパンの世界に新味を加えた。今後とも楽しませてください。
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(承前)町の牛丼屋で客引きの爺さんが本音を吐いていた。「もう一度戦争をやりたいな。俺はこの前の戦争でクーニャンを21人抱いたぜ」「若い学生士官は俺たちを好きにやらせて、自分は岩波文庫を読んでいた」 加害者の目で戦争を否定しなくては。昭和12年を舞台にした近作で、ぼくは軍国少年だった。
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すすめられてアニメ「はたらく細胞」を見る。この企画(原作)はいい。秋怜二の学習マンガを前進させており、アニメをこう使うのに賛成したい。幼稚園のころ読んだ算術マンガを、いまもありありと覚えているぼく。広い視聴者層の期待のバランスをとるのは大変と思うが、良識ある制作姿勢を応援します。
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アニメ「はたらく細胞」は10話まで、原作3巻まで読む。学習マンガの平成版くらいに思っていたら、遥にしたたかで恐れ入る。手塚・梶原・円谷・永井調を頂きながら、ロリを肩車した血塗れの若者がナイフを揮ってる! 悪辣なはずのガン細胞にまで、アイデンティティを主張させる世界観にのけぞった。
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ゲゲゲの鬼太郎の新シリーズ、いまごろ1~3話を見た。ぼくは第1第2シリーズまでなので、残念ながら猫娘を書いていない。ああ、それにしてもゲゲゲの歌の懐かしさよ。感傷とは無関係に、野沢目玉役の安定感、鬼太郎にも期待する。大野木さんの構成で、揃い踏みのホンは吉野さんか、続けて見よっと。
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テレビアニメ「ルパン三世」今期を観了する。終盤ヒトログによる国際的盛り上がりは、楽しませてもらった。世相を斜めに切り裂く時代感覚がある限り、ルパンは永遠と信じます。来春刊行の拙作に細い糸を結ばせてもらいました。どう繋がるかネタバレになるので、黙秘。
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コミック「新九郎、奔る!」1を読了。ゆうきまさみ作品はしばらくぶり。時代は応仁の乱直前で、のちに北条早雲となる少年が主人公だ。説明だらけの展開なのに、退屈させないのは不思議である。作者の腕という他ない。「一休さん」の新右衛門が説明役に客演。オリジナル脚本家として、ちよっと嬉しい。
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渡辺多恵子「風光る」42巻を読了した。新撰組の歴史とフィクションの狭間を辿ってドラマが高まる。悲しくも読ませる長編だ。石川賢と最初に組んだマンガが「沖田総司」だったが、今や賢ちゃんはいない。大地監督の企画で新撰組のテレビアニメを書いたが実らなかった。仕事の上の思い出も色々だ。
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アニメ「若おかみは小学生!」24話まで観了。最後までアクセルとブレーキの踏み分けが的確で、小学生にふさわしい視点もぶれなかった。できそうでできないことだと思う。作画スタッフの出自だの旅館のモデルだの事後の知識をいろいろ得たが、関係なくいいテレビアニメだった。劇場版にゆけず残念だ。
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アニメで初見の「ゴブリンスレイヤー」、ようやく原作に接した。異世界冒険ものとはいえ、小鬼狩りをこんな角度から描いたのか。手垢がついた題材でも作者の目によって、新鮮に衣替えできるのだ。名脚本家おふたりに世界観展開の斬新なアニメ技を期待しよう。「ラディアン」1は品切れらしく、残念だ。