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今ごろシリーズで「ドグラ・マグラ」読了。読者を発狂させる伝説の奇書だ。唐王朝の画家が描いた美女の死相図が話の核だが、父の知人伊藤晴雨の「美人乱舞」がわが家にあり、緊縛の裸女はむろん、絶世の美女小野小町が腐れ朽ちてゆくリアルな絵が十歳のぼくには衝撃で、それ以来ずっと狂っております。
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(承前)定型の謎解きをわざと壊したのも面白い。「無限の住人」の原作はリアルタイムで読了しているが、圧縮した内容はさすがツボに嵌まっている。木村万次と市川永空の対決は、不死のテーマに即するだけに重みがあった。槙絵も凶も出番は少ないが原作を彷彿とさせる。やっぱりコヤで見る映画は格別!
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愚痴ッターです。昭和12年を舞台のミステリを書きはじめたが、言葉使いに困惑しています。仮名にひらいてばかりでは戦前の空気に馴染まず、だからといって却説(さて)や閑話休題(それはさておき)は論外にせよ、アタリキシャリキとか、トンガラかっちゃイヤよの類が通じるか、わしゃかーなわんよ。
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1945年8月6日。「新型爆弾で廣島が相当な被害」を受けたと知って,中学二年のぼくは不審だった。480機の空爆を受けた名古屋でも、被害の規模は報道されないのに? マッチ箱大の爆弾が米艦隊を壊滅させる小説(北村小松)は読んでいたが連想できなかった。だって神国は勝つに決まってるから。
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アニメ「プリンセス・プリンシパル」鉄道活劇編を見る。人物,台詞は当然練られているが、鉄道アクションに海賊アクションの手を加えた新味に愕然。ぼくが書く鉄道ものは貧乏ったらしくていつも単線だが、これは複線ならではの趣向だ。やられたと思いつつも、楽しく見られるぼくは幸せだよ。(くそっ)
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昭和二十年八月十五日を思い出す。「畏し、終戦の詔勅」の文字にキョトンとした。そんな言葉知らなかったよ。昭和二十年五月二十日に七版が発行された明解国語辞典(金田一京助編)にも存在しない。神国不敗を絶叫した政府の即製日本語か。戦争は自動的に終わらない、日本は焼野原となって負けたのだ。
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コミケでは体調に用心しながら、至近距離の5ブースのみ巡回、あれこれ買う。「宗教アニメと人権アニメから見る京都アニメーション」「ぼくたちの雑破業クロニクル」「エロマンガ先生5話は何を描いたのか?」「映画・アニメ業界のホンネを暴く!」「新用語ラノベハスラー大辞典」「石ノ森ノーツ6」。
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「Fate Zero」14 完結編を読む。1巻を新宿のアニメイトで手にとってから、なん年たつのだろう。とある男の物語として始まり、何者にもなれなかった男が生涯を閉じたとき、終わる。作画も傑出していたが、高い調子で貫かれた文章にひきずりこまれた。王者問答の一幕、いつまでも忘れ難い。
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緊急告知です。明日9月9日(土)夜の文化放送「エジソン」に出演いたします。なにをしゃべるのかよくわかりませんが、お時間のある方どうぞ聞いてやってください。joqr.co.jp/agson/
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アニメ「レ・クリエーターズ」20・21話再度観了。感動する。クリエーターの端くれという自分に関係なく、流行りのメタ視点も勘定にいれた上で、スタッフと被造者と視聴者すべてをひっくるめ、おのれを鏡に映す経緯を確認させられました。なんて批評もどうでもいい、ぼくは勝手に酔いました。感謝。
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アニメ「アビス」13話まで観了。原作は最初から読んでいたが、原作のエスプリそのままに、原作の域を超えた稀な結実だ。設定の基本である垂直の大探検行に、色と音と動きがタフな小島演出、誠実で着実な倉田脚本、いっそう愛らしくなった黄瀬キャラ、すべてが異世界創造に貢献して毎回楽しまされた。
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アニメ「ナイツ&マジック」観了。ストーリー、キャラ、世界観、まことに行儀がいい。主婦の友のセンスだろうか。こういう楽に見られるアニメがあっていいが、でもこういうアニメばかりでは詰まらない。といいつつ最後まで見たのだから、文句をいうな。へい。
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アニメ「少女終末旅行」1・2・3を見る。4以降も見よう。可愛く幼い風貌の女の子がダークな世界で奮闘するのが、今のアニメの流れのひとつとなるみたい。それが若いユーザーの見果てぬ夢なのかな。でも千編一律、手が届く舞台の矮小な物語より面白い。石田彰がこの役か。さすが存在感を醸している。
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アニメ「宝石の国」今ごろ捜し当てた。取り急ぎ1・2話を見る。率直な感想は「色がある,音がある、なんてすばらしいんだろう」。原作市川春子の詩心に岡田史子の面影を見て、ぼくはついて行きにくかった。でもアニメは、往年の総天然色の冒険「赤い靴」「天国への階段」を想起して素直に感服できた。
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手塚ファン大会で、ぼくのツイッターの読者(失名すみません)のご質問に、遅まきながらお答えします。テレビアニメで全話纏めての感想という枠にせばめれば、1番は「電脳コイル」です。構成の緻密さと逞しさ。他に部分的な印象ながら、「ブラクラ」「シゴフミ」「灰羽連盟」「氷菓」などに脱帽です。