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竹宮恵子さんから「少年の名はジルベール」を戴く。「風と木の詩」に至るまでのざっくばらんな内輪話。少女マンガ家のビッグネームが大勢出てきて楽しいが、それだけではない。あの時代の少女マンガ界の鬱積と高揚が、間近に迫ってくる。当時の事情を多少は知るぼく、苦くて甘い追憶にひたりつづけた。
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「蒼穹のファフナーEXODUS」観了。第一作の主題曲に痺れ、冒頭のサプライズに感嘆、龍宮島のコア姫の存在に驚いて、劇場版も見た。思えば遠くにきたもんだ。「エイジ」「種」と平井キャラにも馴染んだが、アクション描写は最後まで磨かれていた。ドラマ世界の広がりと深み、勉強させられました。
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謹んで水木さんのご冥福を祈ります。「悪魔くん」「河童の三平」も書いたが、やはり「鬼太郎」だ。まだ題名が「墓場の鬼太郎」時代だった。スポンサーが気にいるよう、申し訳ないが第一話は話も妖怪もぼくのオリジナルだ。お化けと子供たちが墓地で野球をやる健康的?なアニメでした、ゲッゲッゲッ。
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以前ここで名をあげた「だがしかし」のアニメ化が決定したらしい。脚本演出しだいで伸びる内容だけに、スタッフのご健闘を祈ります。昔ぼくは「おろち」「ザ・ムーン」「漂流教室」「タンクタンクロー」「マカロニほうれん荘」などのアニメ化に失敗している。ビッグチャンスをぜひモノにしてほしい。
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「西崎義展の狂気」を読む。虫プロ商事に現れた直後の彼は知っている。「海のトリトン」は彼の制作だがぼくは富野監督とのおつきあいに止まり、一度もじかに接しなかった。「狂気」を感じさせるPDの存在が必要悪?とは理解するが、凡器で正気のぼくには遠くから眺めるだけが分相応だったと思う。
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藤田和日郎さん「黒博物館 ゴーストアンドレディ」上下読了する。濃密ないっときを堪能した。「うしおととら」以来のお家芸、クライマックスで持ち駒をフル回転させるこれでもか感、大長篇とはいえぬ二巻完結だが、字余りも端折りもない十全ぶり。胸のすく読後だった。キャラたちの輝きにひれ伏す。
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安倍吉俊の「リューシカ・リューシカ」10を読む。最終巻である。ぼくがこの作者を知ったのは「灰羽連盟」だ。テレビアニメであんな純ファンタジーが創れるなんて。リューシカの底が抜けたような空想力も大好きだ。いつかもっと大人になってから読み返したいのに、もうぼくは爺さんなのか。哀しい。
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「がっこうぐらし!」第5第6話と進むにつれ、やっと膝を打つのろまな視聴者であった。タマネギの皮を一枚一枚剥いてゆく物語進行の手つき、定石の女の子のキャラと声技を逆手にとるしたたかさ。若い、あるいは幼い視聴者には、天地も揺れる感動を与えたのでは?と、甘い爺が恥ずかしそうに呟く。
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九井諒子「ダンジョン飯」2を読む。ゴーレム畑だのコイン虫だのよくまあネタがあるものだが、それがそのままグルメ話になるのは凄い。宮廷料理というお題から、どんな話になるかと思ったら、想像の真上を行かれてたまげた。こういうマンガがあるから、読むのがやめられない。
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少年サンデー連載の「だがしかし」、シニアマンションの食卓で話題にしてみた。老いたみなさん、駄菓子というキーワードにするりと乗ってきた。ぼく自身このマンガは楽しいし、痛いヒロインにも萌える。魅力的なアニメ制作は大変だが、世代を横断した視聴者を狙えば、新しい家庭番組にできるかも。
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「ユリ熊嵐」観了する。講義をもっているデジタルハリウッド大学で、学生に尋ねられられたことがある。「どんなアニメを見ているんですか」「たとえばユリ熊嵐とか」答えると彼はニヤリとした。どういう意味の笑いであったのか。説明しにくいが、シンの通った感覚的アニメと思っている。
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「君は淫らな僕の女王」は原作のみ岡本倫。そこを狙って不見転の買い。当たった。設定といい話の発展といい、作画の初々しさも効果的で一気読み。70年前のぼくだったら堪らなかったろう。「ナナとカオル」と「奈々子さん」の間に介在する、こんなマンガを読める若い読者を、羨みつつも同情した。
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「SHIROBAKO」配信終わる。観了とはいえない。初期に芦辺さんから教えてもらって飛び飛びに見たに過ぎないからだ。身につまされて見つづけるのが辛かった。だが最終回、一緒に乾杯したい気分に変わりはない。ああ、アニメの楽屋裏をテレビ化できる時代がきたんだ。信じられない、泣ける。
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「四月は君の嘘」観了した。この種の泣きメロは決して得手ではないが、山場のピアノ演奏場面に感動。昔、「別れの曲」で初対面のショパンとリストが連弾するシーンがあった。実写らしい人間ドラマが強調されたが、これはアニメだからこそのスペクタクル。俯瞰移動幻想と味わい深い。演出うまいなあ。
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「プラネテス」観了する。あの台詞がとか、このカットがとか、そういうレベルではない。ハチマキとタナベに焦点を合わせつつ、壮大で深い主題を絵にした。脇役敵役まで行き届いた描写に、つい膝を前に進める。映画ではなく「テレビ」アニメの寸法を熟知したスタッフの、熱く凝縮された作品だと思う。
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見損ねた「プラネテス」を配信しており、やっとこ1・2を見た。原作に感心したので、アニメ化で壊れやしないか躊躇ったのを後悔した。大河内脚本、谷口監督、いい仕事だと思ったからには、最後まで見よう。モタモタしていると、自分がデブリになってしまう。
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終活で書類を整理していたら、ソノラマ時代の「代筆・進学殺人事件」だの、永井豪原作・辻真先脚本・雨宮慶太監督の「忍法ハルマゲドン」等々のプロットが出てきた。どういう経緯でポシャッたか記憶にないけど、一読者として目を通してみよう。大掃除で畳の下から出た古新聞を読む気分です。
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今期のアニメ、二番煎じと思わせて土俵際で視聴者を押し返す作品が、目について嬉しかった。裏返しのヤッターマンがそうなら、新味のあるアクションでグイグイ見せるファフナーもそうだ。「寄生獣」も原作に負けない力のこもった展開だし、「マリア」も楽しく見ているし、アニメはやはり面白いです。
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[CM] 2月21日放映の「名探偵コナン」はぼくのシナリオです。「灰原哀監禁事件」、絵になりにくいアリバイ破りものを、ご存じのあのネタを使ってこうあしらってみた。脱稿後はスタッフに丸投げだったからぼくも未見。面白かったら演出や声優さんのおかげ、つまらなかったら脚本のせいだ。
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幾原邦彦「ユリ熊嵐」1・2を見る。カクゴはしていたがぶっ飛んだ怪設定。ペンギンがクマに代わった程度のものじゃない。進撃のクマですか、これは。ただし壁の内部は宝塚だ。螺旋階段を使った映像演出の冴えなど、悪酔いを用心しながら、酒を飲みつつ配信を楽しんでおります。
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平井和正さんが亡くなった。昨日は赤旗・朝日新聞・共同通信の人たちが℡をくれた。ここしばらく疎遠であったが、ぼくをはじめてアニメ脚本へ誘ったのも、SFの世界に目を開かせてくれたのも、平井さんであった。改めてあの時代の縁を思い出す。さよなら、平井さん。近い内にむこうで逢いましょう。
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