高橋 杉雄/Sugio(@SugioNIDS)さんの人気ツイート(古い順)

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ちなみに米では、徴兵を廃止したこともあって軍と社会との距離が遠い。 米国人とイラク戦争の距離の遠さの1つの原因。この点について大規模なサーベイを元に分析したのが以前も取り上げたこの研究。軍に対するリスペクトは高いが、距離は遠いというのがファインディング。 twitter.com/SugioNIDS/stat…
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さっそく昨日の日曜スクープがアップされました。核をめぐる問題について、これまで控えていたことを含め、言いたいことはほとんど話せました。 twitter.com/scoop_BSA/stat…
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第二次ハルキウ反攻についてまとめてみました。 fsight.jp/articles/-/492…
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大事なことなので繰り返す。戦術核と戦略核の区別に意味はない。戦術核の方が「より使いやすい」ということもない。 違いは政治的効果を狙って使うか軍事的効果を狙って使うか。
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核抑止のコアな専門家は世界で20人はいない。線引きにもよるが10人を上回る程度だろう。英文メディアが報じているからと言って金科玉条扱いはしないように。
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ちなみにいまそのコアなメンバーでペーパー書いているところ。年内には出せるといいが。
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北部戦線でのロシア軍の指揮の不統一の問題を見るたびに、ウクライナが民兵組織などをみな内務省に組み入れ、その上で総司令官の下に付けた軍制改革の価値がわかる。だからこそマリウポリでアゾフ連隊に時間稼ぎを託すことができた。 twitter.com/SugioNIDS/stat…
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リマンも、補給を絶たれようが死守して予備役動員による援軍を待つ選択もあり得たし、逆に部隊保全を優先することもできた。明確な選択をできずに単に兵力を消耗させてしまったのは指揮系統の問題だろう。
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北朝鮮についてはこのときまとめたものと考え方は変わっていない。 fsight.jp/articles/-/485…
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米政府から、「核の態勢を変えるような兆候はない」というメッセージが出てきているが、この文章を読み解くには実は相当な専門知識が必要。 いま話すと番組に申し訳ないので、プライムニュースでお話しします。終わってからツイートします。
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米の核態勢について。米露には、新STARTに基づいて1550発の「配備弾頭」がある。これは文字通り「すぐ撃つことのできる弾頭」だが、例外がある。戦略爆撃機は1機=1発とカウントされるが、実際にはすぐ撃つことはできない。米は約100機の戦略爆撃機を配備しているから、配備弾頭は1550マイナス約100。
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うち400が単弾頭のICBMなので、残りの約1000がSLBM。 そして米の戦略核戦力にはデフコンという概念はなく、常に最高度の警戒態勢にある。そのため、いかなる危機的状況にあっても、アメリカは核の態勢を引き上げる必要はない。オバマ政権期に警戒態勢引き下げの議論があったが、採用されなかった。
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その最大の理由は、危機時に引き上げるとエスカレーションになるから。それを避けるために平素から最高レベルの態勢を取っておくという考え方だ。 特にヨーロッパには核共有取り決めに基づいて弾頭も戦術DCAもすでに配備されている。そのため追加的にできる措置自体がほとんどない。
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あるとすれば戦略爆撃機の常時上空待機の再開くらいだが、すでにヨーロッパでは、常時ではないが適宜B52の哨戒飛行が行われており、それも必要ない。 そもそも1400発の弾頭が即時発射態勢にあるのだから、そのままでロシアの核関係の行動には十分対応できる。
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アメリカが「核の態勢を変えるような兆候はない」というのは、上記を前提とした、過度の不安を払拭するためのメッセージである。 逆に言えば、態勢を変えるような兆候というのはすさまじく巨大なものであるし、いま懸念される程度の核使用の準備があったとしても米は核の態勢を変更する必要はない。
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核の警戒態勢続き。 ロシアは、平素は即時発射可能な弾頭数はアメリカに劣る。理由は2つ。1つは、ICBMのかなりの割合が路上移動式であること。路上移動式は非脆弱性は高いが、常に発射態勢にあるわけではなく、平素は格納庫に置かれている。
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格納庫に待機している状況だと即時発射は不可能だし、第1撃を食らえば撃破されてしまう。 もう1つの理由は、SSBNの即応性が低いので、洋上で即時発射可能なSLBMが少ないこと。 昨日書いたように、米の即時発射可能な戦略核弾頭はだいたい1400。
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上記の理由で、ロシアは平素では即時発射可能な弾頭は1000をかなり割っている可能性がある。タイミングによっては500程度になる可能性もある。そのため、アメリカが突然第1撃を行った場合、かなりの部分が撃破される可能性がある。この戦争が始まったときの核バランスがまさにそうだった。
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その状況を変えたのがこれ。これは単なる核恫喝ではない。実はこのニュースを聞いて私は心の底から安心した。これによってロシア側の即時発射可能な弾頭数が1000を越え、米ロの相互核抑止が安定するからだ。 jp.reuters.com/article/ukrain…
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なお、米には「警戒態勢を上げる」という概念がないのは昨日書いた通り。「ロシアが警戒態勢上げたのに米は弱腰でなにもしなかった」と考える人がいたらそれは間違い。 なお。米ロの戦略核にはもう1つの大きな格差がある。それは再搭載能力。これはまた改めて。
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このリスクをロシアが深刻にとらえた場合、第1撃を受ける前に撃つ、という選択があり得る。これをshoot it or lose it situationと呼ぶ。 このように、核の世界では、片方が第1撃で有利にたてる可能性があるときは双方に第1撃のインセンティブが生まれてしまう。
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なので、ロシアの警戒態勢強化は、米側の第1撃のインセンティブを低下させることで、ロシアの第1撃のインセンティブも低下させ、危機における安定性を高めた。 安定不安定の逆説を双方向に働かせることにもなったが。
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米ロの再搭載能力について。 米ロの戦略核戦力は、新STARTに基づいて運搬手段600-700、配備弾頭1550と決まっている。米はこのうちICBMが400、戦略爆撃機が66(前の書き込みで約100と書きましたが、現在は66でした。訂正します)、SLBMが234。
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ポイントは、最大搭載能力を大きく下回る弾頭しか積んでいないこと。例えばICBMのミニットマンⅢは3発の弾頭を積めるが今は単弾頭化されている。SLBMのトライデントD5も8発積めるので最大1872発積めるが配備されているのは1000発程度。
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米は、ICBMの「空き」を埋めるだけでプラス800、SLBMの「空き」も埋めればさらにプラス800積める。特にICBMの再搭載は数ヵ月でできる。 実際には予備弾頭の整備状態を考慮する必要があるが、新STARTが失効した場合、米は数ヵ月で約2300、その後の数ヵ月で約3000以上に配備弾頭を増やすことができる。