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なお、米には「警戒態勢を上げる」という概念がないのは昨日書いた通り。「ロシアが警戒態勢上げたのに米は弱腰でなにもしなかった」と考える人がいたらそれは間違い。
なお。米ロの戦略核にはもう1つの大きな格差がある。それは再搭載能力。これはまた改めて。
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実はヘルソン反攻の主力は歩兵で、だからこそ進撃が遅くて、機甲戦力はハルキウからドネツク方面の戦線に集中していたとかだったら凄い戦略的欺瞞だな。
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単純化して言えば、そもそも冷戦が終わったことで、東欧諸国や旧ソ連には、「ヨーロッパの一部」になるか、「旧ソ連の一部であり続けるか」という選択が生まれた。東欧諸国は「ヨーロッパの一部」になることを選択し、ロシアは揺らぎながらもプーチン政権において「旧ソ連の後継」の道を選んだ。
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直前の備蓄の話はあの思い込みのフェイクニュースアカウントと違ってロシアの同業者から聞き取った情報だからな。フェイクニュースアカウントは適当なこといい散らかすのやめろ。
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政策シミュレーションって、「シミュレーション」という言葉を使っているから未来予測的に受け取られがちだが、そういう意味でのシミュレーションではない。
大事なのは、そこで事態がどう展開したかということではない。参加者が「想定外」な仮想的な状況での頭の体操をして「気付き」を得ること。
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このあたりを合わせて考えると、ウクライナ陸軍は防勢には備えていたが、攻勢的な機甲突破戦術を実施するには準備不足なのかもしれない。装備だけでなく、連隊戦闘団をまるごと3つ4つ作るような、教育訓練を含む支援が必要なのではないか。
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このあたりをより分かりやすく、今は「ウクライナの社会、経済、市民生活の破壊」が目的と言うようにしている。民間人は「巻添え」にされているのではなく「ターゲット」そのものなのだと。
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北朝鮮の衛星に関連して、市場で売っているフルサイズセンサーのカメラとレンズとでどの程度の解像度が実現できるかということが気になっていたので計算してみました。というのも、北朝鮮がイメージセンサーとレンズを国産できるとは思えないので。
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だいぶ前のどこかの番組で話したと思うけど、ヘルソン反攻について。
1.戦線の長さは300km近くあり、どこかにロシア側の防備が弱いところはある。
2.ウクライナとしてはそこを探して突破を図るのではないか。
3.補給線を切ることができている以上、消耗戦に持ち込むための攻勢という選択もある。
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劣化ウランについてまとめておきます。昨日書いたように、2022年12月7日に総会決議が出ています。
国連の決議文は、「全体でワンセンテンス」というものだし、切り取りはしたくなかったのですが、リプ見る限りちゃんと読んで頂いた方はあまりいないようなので、項目だけ逐語訳します。 twitter.com/SugioNIDS/stat…
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まだ2日目だし、再補給も必要になるし、ロシアの機動防御も考えなければならないが、少なくともいままではウクライナの進撃速度は凄い。
評価を見直さなければならないかな。
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結局今日ちゃんと話せなかったし、一週間前の出来事についてまとまって話す機会はもうないだろうからここで。
そもそも台湾関係法が存在することからわかるように、台湾について議会は自律的アクターだし、当事者意識も強い。 twitter.com/SugioNIDS/stat…
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2つめは、下流で実際にウクライナ軍が渡河しており、それを妨害するため。3つめは、ヘルソン撤退の頃から、何らかの状況に備えて爆発物を設置していて、何らかの理由で現場指揮官が爆破してしまった可能性。ロシアにもダメージがあるわけで、周到に準備された作戦とは思えないのですよね。
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気球について。議会のブチ切れっぷりがポイントか。
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ホームだったら「自分達のスタジアムを汚くはできない」って思うし、アウェイ遠征の時なんかは、「あのチームのサポが来るとスタンドが汚くなる」なんて言われたくないし。観戦文化の1つになっていると思う。
ちなみにラグビーでもそう。特に2019W杯では全員にゴミ入れ用の袋配ったし。
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気球、起きたら撃墜されてた。大西洋に出てからと言うのは↓で話した予想通り。
政治的な意図について深読みしようとする向きもあるみたいだが、個別の情報活動は単なるルーチンとして行われている可能性があるので注意が必要。私は単なる情報活動と理解する。
youtu.be/J9N3UUHARhY
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私の学部時代の恩師はモーゲンソー専門家なのですが、モーゲンソーは地政学を「エセ科学」と断じているのですよ。
その批判に応えずに、あるいはむしろ増幅する形で「地政学」という語を使う同業者とかシンクタンクの多いこと。
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そもそも、「パワー」だけで因果関係を説明しようとするのも、「アイデンティティ」だけで因果関係を説明しようとするのも「価値」だけで因果関係を説明することもできない。人間社会にはそれらすべてが併存し、人間の営みに作用しているのだから。
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昨日は時間の関係かお話しを振っていただけなかったのですが、この戦争における兵士のPTSDは深刻な問題で、すでに昨夏に負傷して除隊したウクライナ兵士のPTSDについての報道があった。おそらくロシア側にも同じ問題は起こっているはず(帰還したワグネル囚人兵の例)。
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しかし待ってほしい。本来リアリズムの論理にアイデンティティは含まれない。ここでコンストラクティビズム的にアイデンティティを説明に取り入れるなら、それはラカトシュの言う「アドホック性」であり、この時点で説明はリアリズムに基づくものにならなくなってしまう。
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本当にダーティボム使うなら、一切事前情報なしに使って、同時に「ウクライナのものだ」というフォレンジックデータも公開するのではないか。偽旗作戦は、そういう形で実際のアクションと組み合わせた方が有効だからだ。
番組では説明し損なったのでここで。
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ロシア側の情報統制下で起こった赤外線発生というのは実は重要なポイント。ウクライナから、精密誘導で原子炉を外して攻撃を行うことは不可能ではない。しかしそれが実際に行われていたなら、遅くても8/24にはロシア側から発表があったはず。
それがなかったということは留意すべき事項。
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フォーマルセオリーを含む定量手法が国際政治学の中心になっていく中で、イズムと離れた形で定性手法を再建させようとして進んできた道なのです。
以上、リアリズム研究の大畠秀樹先生のゼミ出身で、留学中にベネットの講義を取った(Aをちゃんと取ってます)現代軍事戦略の専門家の私見です。