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「5人発言」について。さんざん自分の論文に書いてきたことの要旨再掲。
安全保障論は、核戦略を中心に発達してきたが、核戦略は「核戦争で世界が滅ぶかもしれない」という危機意識のもとで、文字通りのベストアンドブライテストが集って作り上げた知的枠組み。その中にはノーベル賞受賞者もいる。
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ちなみに進撃速度を制約するのは敵の抵抗だけでなく補給も大きい。
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いま死物狂いで最後のギャンブルとして第二次攻勢の準備をしているのだとすれば、その効果を最大化するために、攻勢発起のタイミングで使う、あるいは準備段階で補給線への攻撃を排除するために化学兵器を使う(具体的な地名は控えます)オプションが頭から離れない。
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ただし、核攻撃は一瞬で破壊をもたらすため、死傷者の数は圧倒的に大きくなります(破壊に時間がかかれば避難できる)。放射能もあります。その意味で、膨大な数の通常弾頭の砲弾を打ち込んだときと核兵器の違いはありますが。
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2.本命はベルジャンスク周辺の奪回によるアゾフ海までの前進。ノヴァカホフカダムの破壊によりクリミアの水源を断ち
、アゾフ海沿岸からクリミア大橋を攻撃し、クリミア半島を孤立させる。
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第一次ハルキウ反攻の時も、「勝ちきれなかった場合」(補給線を切れなかった場合)には膠着するとちゃんと言っていた。
それはそうと、今回、ドンバス奪回まで繋がるか。現段階では予想は難しいと考えている。理由は以下の通り。
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ちなみに米では、徴兵を廃止したこともあって軍と社会との距離が遠い。
米国人とイラク戦争の距離の遠さの1つの原因。この点について大規模なサーベイを元に分析したのが以前も取り上げたこの研究。軍に対するリスペクトは高いが、距離は遠いというのがファインディング。
twitter.com/SugioNIDS/stat…
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先日のワイドスクランブルの時に調べたウクライナのドローン軍(Army of Drone)、非常に面白い組織だ。「軍」と付いているが、陸海空軍のような存在ではない。参謀本部、デジタル省、政府の通信部局から構成されており、資金はUnited 24からの寄付でまかなう(100%なのかどうかはわからない)。
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相変わらずウクライナ軍の状態がわからないが、内線の利を生かした反攻の機会であるように思える。ミコライウからヘルソンを狙うか、ハルキウ包囲を破りに行くか。ヘルソン案は兵站への負担が小さく、成功すればクリミア半島を狙う位置まで進出できるのでロシア軍の行動を難しくすることができる。
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人員はこれまで最大だったマリウポリ攻略戦のピークを大きく上回っている。戦車は過去最大だったハルキウ反攻の時期には及ばないが近い数字。火砲はやはり過去最高だったハルキウ反攻時を大きく上回る。
やはりロシア側に出血を与えることを重視している戦いかたに見えるな。
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ちなみにいまそのコアなメンバーでペーパー書いているところ。年内には出せるといいが。
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このときに呼吸が合わずに話せなかったこと。
多くの兵器が無人化された時代でも、無人兵器を使い尽くしたら有人兵器使って戦い続けるだろう。戦争は政治的現象なので、政治的問題が解決しない限り戦いは終わらないからだ。 twitter.com/SugioNIDS/stat…
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つまり徴兵の延長と部分動員を同時にやると言うことになるのか?部分動員の対象は徴兵とは被らないから、だとすると合計で約43万の増員になる。
まあ、深く考えてのことではなく、その場その場で意思決定している可能性もあるが。
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これ以上強力な攻撃は通常兵器ではできませんわねえ。 twitter.com/MichitoTsuruok…
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プライムニュースで紹介された「ムギン5」の性能を見ると、番組中で話題になったように、ウクライナからモスクワまで爆装して飛行することも可能。ただし爆薬は25kg程度。映像に映った飛行物体の飛び方と爆発規模はこの数字と合うのですよね。
巡航速度:120km
ペイロード:25kg… twitter.com/i/web/status/1…
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話題のchatGPT、実は3月半ばの日米安保セミナーで使った。シンクタンクの会議では、ディスカッションクエスチョンが示され、パネリストはそれに沿ってキックオフのプレゼンをして、議論を始めるのが基本スタイルだが、自分のパネルのキックオフに使ってみた。
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ここ何日かまとまったお話しをしてないのでツイッターで。
ウクライナ側の情報チェックしてみると、ハルキウの北方や東方での交戦が行われているようだ。そして4/20以降、ベルゴルドやクルスク方面でロシア側が警備強化や陣地構築、防空能力を行っているとのこと。これをどう評価するか。
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先日仕上げた原稿、早速アップしていただきました。現在進行中のドンバス会戦についてのフラッシュレポート的な分析です。
今朝の情報でもイジューム南方では相当激しい戦闘が行われている様子。
fsight.jp/articles/-/488…
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核戦略とは倫理と切り離すことはできないことを改めてはっきりと確認させられた時間だった。
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ハルキウ案は、ハルキウを解放し、イジュームからスラビャンスクに進撃しているロシア軍の兵站を脅かすことができるが、ウクライナ側の兵站への負担も大きい。
そう考えるとやるならヘルソンかな。もちろん反攻せずにロシアの第二次攻勢に備えるオプションもある。
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米兵の派遣は求めない。ウクライナ兵がアメリカの戦車を操作する
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一方で、武装反乱まではいたらず、むしろこれを機に戒厳令や総動員に踏み切る可能性も否定できない。この点を評価するにはワグネルの行動とロシア政府の行動に関する正確な情報が必要。
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バフムト、市街の完全制圧はまだだが、スロビャンスク方面への幹線道路は制圧できている。突破用の機甲予備戦力があるなら投入すべきタイミング。けれど姿を現さない。
冬季攻勢の限界か、むしろウクライナの春季攻勢への防御に使うつもりなのか。
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ウォーファイターとは、フォースプロバイダーが作り上げた戦力を使って戦うのが仕事。作戦を立て、実行するのはフォースプロバイダーではなくウォーファイター。
そしてウクライナ軍でウォーファイターを担うのがウクライナ統合軍司令官のNaiev中将。
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1点補足。バイデン政権発足後1年の外交展開を俯瞰的に見れば明らかだが(2021年にどんな外交していたか時系列的に整理すればわかる)、バイデン政権にとって対ロシア戦略は対中国戦略の従属変数だったと言う視点は忘れないでほしい。バイデン政権は欧州外交を始める前にアジアを固めているのです。 twitter.com/SugioNIDS/stat…