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今日は大阪で「表現の不自由展」を見てから、神戸で松井・吉村の維新ツートップが来る兵庫県知事選の候補者街宣を見に行く。どこに何を書くかも決まってないが、告示前から取材だけはしている。その時どきの当事者や関係者の話を聞き、現場を見ておくの大事。いずれ役に立つ。
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吉村氏が何度か「阪神間の成長を」と言うのが気になった。おそらく「兵庫=尼崎〜神戸」ぐらいの雑な認識で、府県一体の意味で言ってるのだろうが、阪神間とは、いわゆる「五国」からなる兵庫県の5分の1でしかない。都市部だから人口多く、維新は強いけど。
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実際、今回の選挙で、維新は神戸・阪神間でしか運動していない。彼らが都市型の政党であり、得意なエリアだけを担当する=衆院選候補を売り込む、という戦略なのだろうが。
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前2RT>これは、神戸大の小笠原博毅さんがずっと指摘している「どうせやるなら派」の言い草。「反対だったけど」「興味なかったけど」と前置きしつつ、「でもやると決まった以上は素晴らしい五輪にしよう。どうせやるなら、心を一つにしてレガシー残そう」みたいなやつ。五輪以外でもよくある。
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4年前に朝日新聞で語っていたこの人が典型。〈五輪が来ることが決まっちゃったんだったら、もう国内で争っている場合ではありませんし、むしろ足掛かりにして行かねばもったいない。だから、いっそ国民全員が組織委員会〉なんでやねんと言うしかない。lite-ra.com/2017/08/post-3…
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えらい低いな。まともな選挙戦になってもこれか… twitter.com/kobeshinbun/st…
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一つだけ取り急ぎ言っておけば、「兵庫も維新に取られた」「維新知事の誕生だ」みたいに見て、落胆している人がいるかもしれませんが、前も書いたように、そんな単純な構図じゃありませんので。
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兵庫県では、総務省(旧自治省)~副知事~知事という体制が59年にわたって続いてきた。金澤氏は、井戸知事の後援会組織や支持団体をほぼそのまま受け継ぎ、井戸知事の応援を受け、実働部隊は元副知事を筆頭とする県庁OBたちだった。これで「継承ではない」とは、どう見ても無理があるだろう。
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大阪維新の独裁的体制やパフォーマンス政治が目立つから、相対的に兵庫県政はマシだと(特に維新嫌いの人は)擁護したかったかもしれないが、県庁組織の硬直化・風通しの悪さはよく聞こえてきた。「井戸さんに物を言える人間なんていない。あれはあれで独裁だ」と。5期20年もやれば、そうなるだろう。
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仕方ないので県選出の国会議員を通じて進言することもあったという。「知事会に手土産で持参する陶器の細かな種類まで知事の了承が必要」という話も聞いた。そういう感覚のまま、旧来の選挙をやってしまった。井戸知事の意を受けた県議団が異論を排除して金澤支持を決め、一部議員が反発して離反した。
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支持団体が幟旗を立て、必勝ハチマキを巻き、演説に「その通り!」と声を上げ、候補者の妻が選挙カーの前で頭を下げ続ける…。最終日の街宣を見ていて、なんでこんなにオールドファッションなのかと正直あきれた。道行く人の目にどう映るか。「県民党」を掲げながら、政治から人を遠ざけていないか。
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金澤氏はすごく真面目な善い人だから、そんな設えの中でも懸命に訴えた。選挙戦序盤で声を枯らして兵庫への愛着を語り、「五国の多様性を守る県政」を語った。その姿には頭が下がる。けれども、応援弁士たちは「兵庫が大阪に乗っ取られる」「壁を作ろう」と維新の脅威を煽ることにばかり拘泥した。
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ネット上でも盛んに維新ネガキャンをやっていた。「齋藤は維新が送り込んだ」「神戸市を潰して兵庫都構想をやるつもりだ」…。経緯や時系列を見れば、そんな話ではないのに、維新が嫌いすぎて、維新をディスることばかりやっていた。「井戸多選と引き際の悪さが分裂の背景」と書いた俺も批判された。
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まあ、それだけ知事をはじめ県庁幹部や県議たちが維新を恐れていたのは確かだ。一昨年か、自分が県政担当だった当時(20年前!)の副知事に会うと、熱心に維新の動向を聞かれた。齋藤氏を担いで会派を飛び出た自民県議たちも、そもそもは「維新の知事を誕生させたくない」というのが大きな理由だった。
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維新に勝つには、後継の金澤氏が早く準備しないといけない。早く動けといろんな人が何年も前から働きかけた。でも動かなかった。井戸知事が許さなかったからだと言われる。ようやく知事が退任表明し、さあという時にコロナ禍。金澤氏は「対応に専念する」と、また時機を逸した。その真面目さゆえに。
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しびれを切らした自民県議の一部が、昨年夏に知り合った齋藤氏擁立へ本格的に動いたのは今年の年明け、1月のことだ。「このまま金澤を待っていては維新に勝てない」という焦りがあったからだ。もちろん齋藤氏の若さや清新さに期待するところもあった。だが、県議団の多数派はその動きを潰そうとした。
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国会議員団を含めた自民県連が候補者選定で揉めているところへ、維新がめざとく先手を打った。松井代表が齋藤氏支持を口にしたのだ。維新は完全なトップダウン組織だから、松井氏がやると言えば、そのまま動く。自民県議にすれば、大事に隠し持っていた「逸材」に、先に唾を付けられる格好となった。
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…とまあ、いろいろ経緯はあるが、これから取材なのでとりあえずここまで。一つだけ、よく言われていることを書いておけば、ポイントは4年前の前回知事選だったとの見方がある。あの時に金澤に交代しておけば…と。勝谷誠彦氏が出てきたので、井戸知事が譲らなかったと言われている。
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しかし、本人も含めて「後継含み」と衆目一致している状態で、副知事職を11年もやらせて「塩漬け」にするなんてひどい、金澤さんが気の毒だ…という声は根強くある。同時に、なぜもっと積極的に金澤氏は動かなかったのか、「いい人」だけでは選挙に勝てないぞ、という声もある。特に維新が相手では。
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今朝の連ツイについて、松本というやつは維新か反維新か、どっちの味方なんだというツイートを見たので書いときます。自分は維新の政治手法や考え方に一貫して批判的ですが、これでも記者なので、取材で得た事実や証言に基づいて考え、判断し、書いています。強いて言えば、「ファクトの側」です。
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悪いことはすべて維新のせい、偏向メディアのせいと書いておけば溜飲が下がる人もいるかもしれませんが、それは記者の仕事ではありません。記者は運動家ではありません。
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東京五輪をめぐる不祥事と不手際、政府や組織委の無策と無責任を見て思う。レーガノミクスとサッチャリズムと中曽根「民活」改革の1984年に開催され、商業五輪の嚆矢となったロス五輪以降の約40年で進んだ社会のネオリベ化と「公」の縮減が、どれほど腐敗と格差と停滞を生むか。その帰結なんだな、と。
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あと、イベント一発ぶち上げ型の景気浮揚策と「活性化」なるものがいかに刹那的で、危機や想定外に弱く、社会の各所に禍根を残すか。そんな中、大阪では「これからの行政は儲けることが大事」と党幹事長が言う維新が長らく行政を握って万博の旗を振り、公園の商業化をどんどん進めようとしている。