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恐い話をしますね.
以前,教科書に載っていたと思う話を,出典を確認しなままポロッとツイートしたことがあります.するとある専門家の方から「出典を教えてください」と引用RTがあったのです.恐い話はここからです.
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しかし我々はすでに反省という行為を知っている.
「反省だけなら猿でも出来る」というのは嘘です.反省は極めて高度かつ文化的で,魂と自己の動揺と分裂を経験する崇高な行為なのです.だから「謝ると死ぬ人」がいれば,その人が何に怯えているのかを考えてあげましょう.
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「反省は自己と魂の対話がなくては起こりえない」とはスネル『精神の発見』の訳者あとがきにある言葉ですが,つまり「反省」というのは時として,自己と魂を烈しく動揺させる行為といえます,それが他者から「強制」されたものであればなおさらでしょう.公衆の面前で自己と魂を動揺させねばならない.
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『イリアス』では,例えばアガメムノンはアキレウスに「償い(apoina)」をします.この償いは相手が被ったものを(回復するために)数倍にして返す,そういう性質のもので,「謝罪」ではありません.謝罪というのは「自分の非を認め詫びる」という意味で,「反省」と深い関係がある行為です.
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それほどに謝罪というのは覚悟を要する行為であるといえそうです.ここまで来ると「謝ると死ぬ」という心の働きが理解できます.それは自己の魂の分裂・動揺に関わることなのだと.ホメロスの世界には「魂」はなく,ゆえに自己と魂の対話はありません.ですから彼らに出来るのは「償い」だけなのです.
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ギリシャ人が「微積分を発明できなかった理由」はかつて熱心に研究されたことがありました.こちらはその論文で,今ではフリーで読めるようです.古代ギリシャの数学者は二次式の積分に帰着できる問題を,なぜ統一的に解かなかったのか?という「謎」への一つの回答です.
jstage.jst.go.jp/article/jhsj/2…
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昆虫食を嫌悪する心に進化的な基盤があるというトンデモ話で,進化心理学がトンデモ学問扱いされると切ないので少し呟きます.進化心理学の成果として有名なのは「エディプス・コンプレックス」の定量的な否定に成功したことです.フロイトによれば男児は父と母親を巡って性的な葛藤があるとされます.
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やはりタイムマシンに乗って「過去の何か」を確かめたい人もいるようですが,本能寺の変が起きた理由は明智光秀に直接聞けば分かると考えているのだと思われます.裁判で例えると絶対に嘘をつけない被告が存在しその「被告が語る動機」により事件発生の原因を知る事ができるという立場なのでしょうね.