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時々、こんなことを思うことがある。子供の頃から絵を描いていて、それが職業になってしまったけれど、もし絵など1枚も描いていなくって、今の83才に突然絵を描いたら、どんなによかったかなと思うことがある。きっと今以上に面白い絵が描けるはずだ。
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政治家が病院などの実態を見に行こうとしない。自分が感染を避けるためで、実際の患者の受けている苦しみや恐ろしさを見ることを避けている。だから危機感が全然ない。本当に危機感があるなら、あんなのんきな動画は流さない。
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最も長い友人のひとりだった三宅一生さんが、僕を追い越して先きに逝ってしまいました。死ぬために生まれてくるこの理不尽さにどう対峙すればいいんでしょうね。
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評論家もキュレイターも、作家も読者も鑑賞者もコレクターもメディアも、真面目過ぎませんか。「表現の不自由」展に対しても真面目です。真面目になればなるほどアートから離れていきます。
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心筋梗塞の手術はこれ以上ないという最高の結果で、先生共々ホッとしています。運がよかったようだ。
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今は余生だと思って絵を描いている。初めて絵の自由がわかったような気がする。今回の大病はいい経験をさせられたと思う。野望も野心も欲望もどこかに忘れてしまった。さあこれからが本番!
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昨日、みうらじゅんさんに偶然会ってお茶を飲んだ。正確にはアイスココアだけれど。みうらさんはぼくの知らないこと忘れていることを、ポイントをついて話してくれる。そのアクセントが的確だ。「知り過ぎた男」かも知れない。彼に自伝(伝記ではない)を書いてもらうと面白い。
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おとといオノ・ヨーコさんがアトリエに遊びに来た。おしのびだけれど、彼女は近くのコンビニに行く感じで、会いましょう、と言ってやってくる人だ。この気軽さはちょっと真似できない。東京とニューヨークの差などない人だ。
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ぼくは3才から画家です。模写専門の画家です。85才までの作品の変化を見て下さい。絵を描くことは変化することです。と同時に人間も日々変化しています。その変化を見てもらいます。
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正和さんは近所同志。ここ5〜10年はいつも散歩でよく出会う。100メートル先から、スター田村正和だからすぐわかる。散歩にしては歩くのがのろい。「散歩になるの?」とよく聞いたもんだ。ニッコリ笑う。
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体力と寿命を考えると、もうこれ以上の展覧会は不可能です。まあ、最後展でしょうね。冥土の土産の見納め展です。
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猫も犬もそーだけど、死んだ途端にウヮーと愛情が吹き出すんですよね。生きている時より、死んでからの存在が何百倍にもなります。生きている間に、死んだと思って可愛がればいいんですかねえ。
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俳優の満島真之介さんアトリエに来訪。お姉さんの満島ひかりさんとぼくの個展を美術館に見にいって、作品を見て笑い過ぎて係りの人に追い出されたそーだ。それはよくないが、笑ってくれたのは嬉しい。これからも笑って、また追い出されて下さい。お姉さんによろしく。
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老齢になると面白いほどアチコチが故障し始める。五感はほぼ全滅。残るは第六感だけ。これで勝負するしかない。
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この間、ある美術大学から作品評の依頼を受けましたが、お断わりしました。自作は自分で評価するべきです。他人はいろんなことを言います。先ず自分を信じることです。bit.ly/1Xgurj
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実はコロナが中国で発生する寸前に、神戸で「兵庫県立横尾救急病院」展を開催した。そしてオープニングの出席者全員にマスクを装着してもらうパフォーマンスを行った。その異様さに笑われたが、今、現実にその異様なパフォーマンスがそのまま日常風景になって街を歩いている。
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これからの絵は全て遺作のつもりで描く覚悟!
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何もしないことをすることを忘れていませんか?
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30年がかりの絵が、やっとこさ完成。30年間毎日描いていたわけではない。30年間放置していた絵を完成。もっと前に完成させれば、今と全然違う絵になってたはず。今日描くか、明日描くかで絵は全く違うものになる。
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