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被災地支援は、救援物資を送ることだ、と私たちは考えている。生活手段を失い、食事もままならない緊急時には、それは正しい。しかし生活再建を始めようという時に必要なのは、むしろ需要(消費)なのかもしれない。
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で、互いに自らの正義の根拠を説明しないまま、相手の行動を責め、反対するものだから、話にならなかった。私はそこのところの誤解を解いただけ。すると、市役所職員も「自分が救援物資にあれこれ口を出す権利はない」と理解してくれた。スムーズに話が済んだ。
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大阪の病院関係者からさっき聞いた話。救急車を呼んでも、たとえ緊急性の高い症状であっても、一時間以上病院に入れてもらえない状態。新型コロナの患者が多すぎて。しかし在阪テレビはこの実態をどこも報道していないとのこと。
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何を聞いても泉のごとく知識があふれ出てくるベテラン農家さんに「何でもご存知ですねえ!さすがベテラン!」と言ったら「わし、まだコメは50回しか育てたことない。ベテランなんてよう言わん。毎年条件が違うし」と言われて、脱帽したことがある。
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「私もこの電車乗りますねん。ほら、見てみなはれ。あの駅員、このホームで指示を出す要の人や。そんな人捕まえたら余計に遅れますやん。迷惑や」と言ったら、オッサン黙った。後ろの奥さんに袖を引っ張られたのをきっかけに、憤然として向こうに立ち去った。駅員は見事にさばき、電車はやがて動いた。
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ボランティアではなく被災者だけど、「私にはこれくらいしかできないから」と、毎朝ホウキで掃除していたおじいさん、いつも温かい飲み物を飲めるように火の番をしながらずっとお湯を沸かし続けてくれたおばあさん。何も言わず、寡黙だったけど、とても立派。こんな高齢者に、私はなりたい。
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私たちの身の回りに「どうせ」と思われているものは転がっていないだろうか。そのせいで蔑まれているものはないだろうか。それは「どうせなら」の心がけ次第で、ガラッと印象を180度変え、生まれ変わる可能性がある。「どうせ」を「どうせなら」に変えるイノベーションは、とても面白いと思う。
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私の父はいわゆる不良や非行少年の面倒を好んで見ていた。幼かった私から見れば気のいい兄ちゃんらで、私に乱暴したりちょっかい出したりすることはなかった。
父がふと漏らした言葉を覚えている。「教師と警察官の子は、どうもグレることが多いなあ」。
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ナイチンゲールが現れる前、看護師はあまり尊敬される職業ではなかったという。患者の吐いた物や血で汚れた格好をしていて、貧しい人しかなり手がいなかった職業だったから。ところがナイチンゲールが看護師のイメージをガラリと変えた。
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お金持ちや社会的地位の高い人は、「自分たちは大丈夫」とタカをくくるのをやめて頂きたい。あなた達も無事では済まないのが食糧危機であり、飢餓。あなた達には力がある。その力を善用し、そのような危機を回避できるあらゆる手立てを打って頂きたい。みんなのためにも、あなた達のためにも。
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とある大手スーパーで、1Lの牛乳が100円以下で販売されていることに衝撃を受けた。そのすーーぱーでは、プライベートブランドがいろいろ安く販売されている。豆腐1丁で30円しない。
私は心配になった。「これを生産する酪農家や豆腐屋は暮らしていけるのだろうか?」
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ところで冒頭の話に戻ると、市役所職員の正義、ボランティアの正義がぶつかりあって、全然話になっていなかった。それで私が調整役に入ったのだけれど、ケンカの様子を観察しているうち、市役所職員の方が何を根拠に「正義」としているのか、わかってきた。
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経済の軸足を「生産性」から「消費(需要)」にシフトさせる必要がある。いくら生産性を上げても、安値でしか買ってもらえないのなら、労働がきつくなる割に給料は増えない、という悲惨なことになりかねない。そんな状況がもう二十年以上も続いたのが日本。
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「配ってしまったらもう後がない、ということは、ご存じの通り。そこで、神戸職員の立場をフル活用して、物資を入手することに専念してもらえませんか。物資の配分は、私たちボランティアに任せてください。強みを生かした役割分担をしましょう」
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「違います。神戸市からは1個たりともインスタントラーメンの支給は受けていません。インスタントラーメンは、私たちボランティアが手分けして集めてきたものです。ですので、ラーメンの配分は私たちボランティアに任せてください。その代わり。」
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小泉ブーム以降、強いリーダーシップとやらが大流行、海外企業は決断が早い、日本は遅いと批判が続き、日本も決断を速める改革が進められた。その結果、組織全体で緻密に詰め、有機的に動け、臨機応変にも問題に対応できる柔軟さが失われた。欧米企業の劣化版になってしまった。
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3,4年前、悪天候のため、京都駅で電車が出なくなってしまった。駅員は無線でしきりに連絡を取り合いながら、必死に現場を収めようとしている中、奥さん連れたオッサンが一人、駅員にくってかかった。「電車出んのか!予定があるのにどうしてくれるんや!」おかげでその駅員、他の駅員に指示できず。
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その人に尋ねると、元大島紬の職人で、表彰されたこともあるという。単純作業は工夫次第でいくらでも技術を磨けることを知っており、それをストッキングの袋詰めでもいろいろ試行錯誤してやってみただけだ、という。私の両親はたまげてしまった。
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どうやら、コメを食べたくても食べられない、という貧困の問題が重くのしかかっている様子。外食産業をはじめとする、新型コロナで大きな影響を受けた産業では、雇用が維持できなくなっている。この人たちは所持金も底を尽き、その日の食べるものにも事欠くようになっている。
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まとめました。
タダや安売りは働く労働者の生活を破壊する|shinshinohara #note note.com/shinshinohara/…
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ボランティアたちに、私に任せてほしいといって引き取った。公務員の方の話をまず聞いた後、「公平に配りたいというそのお気持ち、素晴らしいと思います。ところで、インスタントラーメンはどこから来たか、ご存じですか?」と尋ねた。すると、神戸市から、という答え。
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だから、今の農薬は、かけて数日くらいは効果を示すけど、二週間もすると効果を失う。分解されてしまうから。分解されやすいように設計してあるから。
ただ、レイチェル・カーソンらが指摘した農薬のイメージが強すぎて、いまだに体内に蓄積する、という理解のままの人は多い。
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古代ローマは奴隷労働に支えられてきた。現代文明は石油に支えられてきた。石油は奴隷の代わりに働く機械を動かし、人間の労働のかなりを代替するようになった。過酷な農作業から多くの人々を解放し、農業人口は全人口の8割に達したのに、今や日本もアメリカもわずか1%。石油のおかげ。