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人間はどこか、「チヤホヤ願望」があるらしい。違う世界に飛び込んだら、「あなたはスゴイ!」と皆が驚き、チヤホヤしてくれるコミュニティを作れるのではないか、という幻想。アニメ「はなかっぱ」で出てくる、ちいかっぱがよくやってる妄想にそっくりな。
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でも、人間関係をつくる上で大切なのは、自分のことで相手に驚いてもらおうとするのではなく、まずは自分が相手に驚き、面白がることのようだ。考えてみれば、これは営業では定石。相手の話を聞き、驚き、面白がる。それによって相手の心を開かせる、テクの一つ。
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けれど営業マンも、仕事から離れると、自分が驚くのではなくて、相手を驚かせたくなるらしく、関係をこじらせる人もいる。人間関係はまず相手に驚くことから始めるものだ、と、仕事で学んでいるはずなのに。
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私の家の庭に、ビクともしない巨岩があった。それを八十過ぎのおじいさんがいともたやすく動かした。テコの原理を使うのは私も承知していたけど、今の重心に力点からの力が伝わるようにテコを動かさねば岩は動かない、というのを実地で教えられると、なんと経験値の必要な、難しいテクなのか、驚いた。
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丸太をくり抜いて蜂の巣を作ろうとしてる別のご老人。切り株をくり抜くには、下から削った方がよい、という理屈は、聞けばなるほどだけど、チェーンソーを巧みに操ってくり抜く手際に私は驚かされた。
私もYouMeさんも驚かされるばかり。驚いてばかりいたら、皆さんよくしてくださる。ありがたい。
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そして、私みたいな新参者の若造の話に耳を傾けて下さる。時折、驚きの声を上げて下さる。そうか、人間関係って、まずは自分の方から、相手の話に驚き、面白がることが大切なんだな、と気がついた。すると、相手もこちらに興味を持ってくれて、互いに驚き合える関係が作れるんだな。
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驚き、面白がる、というのは、人間関係を最初につむぎ出すのに大切な様式のように思う。文化人類学の研究者が、見知らぬ民族を調査する場合もこの姿勢。これは、人間心理に寄り添ったアプローチなのかもしれない。
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まとめました。
「よそ者」考 郷に入っては郷に「驚け」|shinshinohara #note note.com/shinshinohara/…
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数学嫌いになるのは「教えるから」だ、という仮説を持っている。解き方を自分で「発見」すると、とても嬉しくなる。パズルを解けたように。推理があたったように。私はなるべく子ども自身に「発見」してもらうように心掛けている。そっちの方が楽しいから。 news.yahoo.co.jp/byline/maeyats…
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育児不安というのは、お母さんの自分の存在自体に対する不安だと私は思います。人間のあらゆる努力の営みは、つまるところ「疎外や孤立を回避しようとするものである」といった高名な心理学者がいますが、人間関係の中で安らいで生きたいという感情は人間の本能なのです。
「子どもへのまなざし」p.34
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そんなふうに教師が期待してるのを承知して、
読む前の自分のダメさ
→本から衝撃受けた
→今後の自分の抱負
という王道の定型文で、小中と作文賞総ナメにしてきた大学生。「先生が望んでる通りに書けばいいんですよ」と本人談。
でもそれってどうなんだろ、と本人も言ってました。 twitter.com/oakleyfreak1/s…
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安倍元首相の国葬に賛成する人と反対する人に真っ二つに分かれている。賛成する人は、安倍元首相と政策で一致している部分が大きい人、反対する人は一致することの少ない人にスパッと分かれている印象。なぜこんなにもスパッと分かれるのだろう?
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これまでは、亡くなった人の悪口は言わないものだ、というのが不文律であり、中曽根元首相を国葬にするかどうかについても異論あったが、中曽根元首相のことを悪し様に言う向きはやや小さかったように思う。しかし安倍元首相にはどうも遠慮のない人が多い。なぜだろう?
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これは私の仮説なのだけど、安倍氏は「自分と異なる意見を嘲弄冷笑する」ことを、国のリーダーとして初めて実行に移した人だからかもしれない。
安倍氏以前のリーダーは、自分と異なる意見でも真摯に耳を傾けるポーズを大切にしてきた。しかし安倍氏は明らかに愚弄するタイプだった。
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異なる意見に対し平気で愚弄するといえば、トランプ前大統領がダントツにあからさまだったが、世界を見渡しても、先進国では日本が一番最初に「異なる意見は嘲弄冷笑する」を実践したのが安倍氏であり、その点でイノベーターであった。
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安倍氏は言論を弾圧していない。例えば安倍氏を悪し様に言う言論をかなり野放しにしていた。しかし安倍氏の「嘲弄冷笑」は、論敵に対して、もしかしたら弾圧するよりも効果的にその説得力を奪うのに成功した。安倍氏の周りには、一緒になって嘲弄冷笑する仲間がいたからだ。
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しかも、一体どういう動員をかけたのかかけてないのか、ネット、特にツイッターでは安倍氏の主張に敵対すると思われる意見に対しては嘲弄冷笑の集中砲火を浴びせる輩が大量発生した。どうやら同一人物が複数アカウントでそれをやっていたようだが、そのエネルギーが実に執拗だった。
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それは、文化大革命での紅衛兵に動きが似ていた。毛沢東はスローガンを口にしただけ、扇動しただけで、紅衛兵への直接的命令系統は無かったにも関わらず、毛沢東の言葉を背景に紅衛兵は中国全土を暴れまくり、毛氏に逆らう人間をことごとく吊し上げた。
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安倍氏には、文革における毛沢東と同じように、不思議な魅力があった。安倍氏が嘲弄冷笑する人間なら、いくらでも攻撃して構わない、その行為は愛国的である、と解釈するのを許し、論敵を寄ってたかって嘲弄冷笑する現象があちこちで起きた。
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人間にとって、嘲弄冷笑は、批判されるよりも怒りや恨みを買うことになる。やられた人は、毛沢東が紅衛兵をそそのかしたのと同じように、安倍氏がそそのかした、あるいは暴威を振るうのを見て見ぬフリをした、と恨んだ。安倍氏が憎まれるのは、日本版紅衛兵による恨みがあるように思う。
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他方、安倍氏と意見が似ている人には紅衛兵の被害はほぼ皆無。だから、嘲弄冷笑の嵐を受けた人間がどれだけ腹を立て、恨みに思っているかがわからない。それはあたかも、いじめの対象になったことのない子どもが、いじめられた同級生の屈辱、恨みにいま一つ鈍感なのに似ているかも。
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なぜ安倍氏以前の為政者は、論敵を嘲弄冷笑するという、安倍氏の行ったイノベーションをやらなかったのだろう?それは恐らく、リーダーが行う嘲弄冷笑は尋常ではない恨みを買い、時に殺意を生む原因となりかねない、という歴史を知っていたからだろう。
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学校という狭い世界でも、クラスの人気者が特定の人間を嘲弄冷笑すれば、それはクラス全体に伝染し、「コイツは嘲弄冷笑しても構わないんだ」という空気が支配的となり、対象となった子どもは激烈な孤独感と、激しい憎悪を抱くことになる。
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では安倍氏はなぜ、嘲弄冷笑は論敵を迫害するよりも効果的に相手の力を奪うことができるというイノベーションが可能だったのだろう?それは恐らく、日本が平和だったからだろう。どれだけ恨みを抱いても、どれだけ怒りを募らせても、暴力を振るうほうが悪いという平和な国のルール。
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このルールが生きている国でリーダーが嘲弄冷笑をする場合、最強となる。
クラスの人気者が特定の子どもを嘲弄冷笑し、もし恨みに思った子どもがたまりかねて暴力を振るったとしたら、暴力を振るった子供が罰せられることになるのと同じように。