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ボランティアたちに、私に任せてほしいといって引き取った。公務員の方の話をまず聞いた後、「公平に配りたいというそのお気持ち、素晴らしいと思います。ところで、インスタントラーメンはどこから来たか、ご存じですか?」と尋ねた。すると、神戸市から、という答え。
402
つまり、今の日本で飢餓が起きたら、食糧危機が起きたら、無事で済む人間はいないということ。しかもその混乱のあとは、極端な思想と政治体制に支配される可能性が高い。だから決して飢餓は起こしてはならない。食糧危機を起こしてはならない。それは安寧を絶滅させてしまうことになる。
403
自分が高学歴で勉強ができたと思っている人は、「自分は勉強についてはそんじょそこらの教師や塾講師よりも分かっている」という自己イメージを抱きやすい。で、学校の教師をバカにしたり、品定めする人を結構見かける。しかし名選手名監督ならず、とはよく言ったもので。
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被災地で無料散髪は、消費者としてはありがたい。そのぶん現金が浮くのだから。しかしそれにより、現地の消費が減り、現地がデフレ経済となり、現地が貧しくなってしまいかねない。「善意の安売りはデフレスパイラルへの道の舗装」になりかねない。
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大型予算の研究プロジェクトになると、研究の進行を監督し、アドバイスする人を配置する。そのアドバイザーになったことがある。
そのプロジェクトは、早い時点で計画が破綻していた。そのためか、全員が頭真っ白になっていることがよくわかった。もうどうしたらよいかわからない。
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「交差点で飛び出しちゃダメ!」と何度言っても聞かない子どもたち。その子どもたちにある課題を与えた。目隠しした親と一緒に交差点を渡ってほしい、というもの。すると、子どもは必死に左右を確認し、安全であることを念入りに確かめて、親の手を引いて道路を渡った。もちろん手を挙げて。全員が。
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耳鳴りの少なからずが、自分の血流の音だったりするという。通常、自分の血流は脳がキャンセルし、感じないようにしているのだけど、ふとした拍子で血流が音として聞こえると、どんどん気になって、ついにやかましくて他の音が聞き取れないようになってしまうという。
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お風呂にしばらく浸かっていると、体毛に微細な気泡がたまる。その不思議について息子(小4)と語り合いながら観察していたところ、靴下をはいていた部分に特に気泡が多い事を発見。靴下の線でくっきり境界線。なんでだろう?
いつかこの不思議の理由がわかると面白いな。
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バブルの頃、仕事から帰ってくると、母親と子どもたちの楽しそうな団らんの輪の中に入れず、居場所をなくした男性の話をよく聞いた。
同じ頃、定年退職した男性が「濡れ落ち葉」になる話も。会社という居場所を失った男性が、濡れ落ち葉のように妻にベッタリまとわりついて離れなくなる現象。
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どうも2000年代に入ってからの日本の経営者は、現場からの声に耳を傾けず、ただ命令だけすればよい、という独裁的なやり方をする人が増えた気がする。しかしそれでは現場がついていかない。まるで、五感からの情報を遮断した脳のようなもの。五感の情報なしに体をうまく動かせるはずがない。
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FB で面白い投稿があった。オーストラリア人のピアノ教師と結婚した人の話。その人は子どもの頃、6年間もピアノを習っていたが、つまらなさ過ぎてやめた経緯があった。ところがあることがきっかけでピアノの面白さに気が付き、夫に教えてもらうことに。そのときの話が衝撃的。
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日本では、勝ってスポーツが大好きになった人以外は、大嫌いになる傾向があります。若年層からの全国大会の勝ち抜きシステムが、勝てない子にとって楽しくない仕組みだからです。子どものときに、勝ち負けではないスポーツのおもしろさを感じていることが大事だと思うのです。
為末大氏 朝日新聞220328
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結果的に言語化したのが、工夫、発見、挑戦、努力、苦労に驚き、面白がる、だった。特に最初の3つが大切だと感じている。
工夫、発見、挑戦に驚き、面白がる人がいると、今度はもっと面白い工夫、発見、挑戦で驚かそうとワクワクする楽しいからのめり込む。のめり込むけど同じところにとどまらない。
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いわゆる「理系」は2種類の人材に分けることができるように思う。「数学が得意だから理系」と、「数学が苦手だけど理科が好きだから理系」。私は残念ながら後者。数学は相当に頑張ったが、とうとう得意にはならなかった。数学が苦手だから物理も苦手。
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気になることを聞いた。とある地域で水路が古くなり、国が改修費20億円のうち19億円を負担、地域の人は1人7万円の負担で済むという。この破格の条件でも反対の人が多く、水路を修理できなさそうという。もしそうなれば、その流域数百haの水田がダメになる恐れがあるのに。
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みんな、財布の中身を減らしたくないから、無料だったり安値販売されていたらそれについ手を出してしまう。しかしそれが連鎖するとデフレスパイラルが始まる。真面目に働く人が生活できる、妥当な価格での購入が、どうしても必要となる。
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「能力のある人間しか要らない」考。
株主資本主義者やそれに影響されている人は、よくこのことを口にする。では、能力者だけ集めようとしてうまく回るかというと、うまくいかないと思われる。そんな職場は安心ができないからだ。
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他方、トップダウンで決める企業の場合、確かに決断は速いのだけど、決められてから各部署への説明がなされるから「え?この問題が起きたらどうすんの?」という疑問も差し挟めないまま事業がスタート、案の定、現場がアタフタしながらやってるものだからトラブル続出、仕事が遅々として進まない。
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同じものを見ていても、私とは違う着眼点や表現で答えてくれることが出てくる。「それには気づかなかったな。他にも気づいたことがあったらどんどん大きく言ってね」指導者も気づかなかったことを指摘できたという達成感で少し嬉しくなるのか、オズオズしたところがなくなり、積極的に発言するように。
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食糧危機がきても、お金も社会的地位もある自分たちは大丈夫、と考えていたら、甘い。飢餓を背景とする暴動は軍隊でも止められないことが多い。軍隊のその家族も飢えているからだ。むしろ銃口は逆に向くことが多い。
戦前の五・一五事件、二・二六事件は、ともに国民の貧しさに怒りを発して起きた。
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辻由起子さんによると、「現在の生活保護の制度は復帰を想定していない」そう。いったん生活保護になったら、ずっと生活保護でい続けることを想定しているんじゃないか、ってくらい。生活保護の間、貯蓄が許されない。仕事が見つかり、生活保護が切れる際、貯蓄ゼロで放り出される。
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「これから競争社会になる」と言えば竹中氏に非はなく、世の中が勝手にそうなるのだと、世界のせいにできる。
こうした構造を作った上で、派遣会社の会長におさまり、派遣社員から上前をはねて自分の収入にする。実に賢い。
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店を出たあと、父とその友人が、私に解説してくれた。「京都人になるには3代かかる、と言われている。初代、二代目はまだよそ者。三代目の、生まれた時から京都に住んで、ようやく京都生まれと認定される。偉そうなよそ者は、丁寧にあしらわれつつ、バカにされる。けど、謙虚な姿勢の人には優しい町」
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肝腎なことは、指導者が難問を見事に解いて見せて「先生すごい」と言ってもらうことではない。肝腎なのは、生徒の中に観察力が生まれ、理解力が増進し、解決しようという意欲を生み出すこと。そのためなら、こちらがみっともない姿を見せても構わない。
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「自分の言葉で話す」とは、「相手の反応を見て、相手の理解できそうな言葉を選んで言葉を紡ぐ」ことだとは!「自分」なんてフレーズあるから勘違いしかけていたけど、実は相手の語彙力に合わせることが「自分の言葉」だったなんて!