26
授業で出たロケットというドイツのインキュベータが凄まじい。「成功例をパクれば簡単に成功できる」との理念の下、米国ベンチャー企業を常に監視し、米国で成功者が出た途端に自らの出資先企業に製品を丸パクリさせ、EU等で本家の進出前に迅速に展開。本家に勝つケースもあり、色々考えさせられる。
27
スタンフォードの周囲の人達は学生の微妙なアイデアも随分親身に聞いてくれるのだが、昔授業で「多数の起業家は、特に起業初期に周囲に無下に扱われたり無視された経験を、それが誰だったかも含めて意外と長年克明に覚えている」と聞き、そういうことかと思ったし、話を聞く側に回る際は注意したい。
28
周りの米国人を含め周囲の起業で成功している人達を観察すると、夫婦いずれかが安定高収入の職業に就き、もう片方が起業で一攫千金を狙う形が多く、起業が失敗しても余裕で豊かな生活ができる状態が下地にあるので躊躇なく大胆にリスクが取れており、夫婦関係が継続する限りは無敵のスキームである。
29
以前マイクロソフトのCEOが学校で講演したが、今でこそ世界最強企業に返り咲いた同社もほんの少し前まで縦割り部署や官僚主義で苦しみ、若手はすぐ辞め、画期的アイデアは捻りつぶされ閉塞感が蔓延していたそうで、日本企業の悩みを彷彿とさせて、我々は同社の再起から特に多くを学べそうだと感じた。
30
以前「ジョブズでも替えがきくのだから代替不能な人材などいない」との呟きを見たが「替えがきく人になるには知見の日頃の共有等の高度な管理が必要で、一般人には能力的にも意欲的にも難しく、なので割と多くの人は替えがきかない」と昔授業で教わった。
ジョブズは凄い人材だから逆に替えがきいた。
31
以前の授業で「人前で話す時、緊張を解くために『落ち着け』とよく言われるが、HBSの実験では、落ち着くよりワクワクした状態が遥かに上手く話せる。人前で話す時は自分を奮い立たせろ」と言われて以来、平静さを求めず無理にでもワクワクするようにしてから、前よりずっと人前で話せるようになった。
32
MBA課程が始まって2回目位の授業で唐突に「皆さんに残酷な真実を伝えます。様々な研究では、外見が良い人は、それだけで他人から、賢くて仕事ができ誠実で友好的だと判断されます。社会では外見が恐ろしく重要です」と告げられていきなり世の残酷さに絶望した経験は、数年経ってもまだ忘れられない。
33
以前後輩が「留学の授業はOtterという自動文字起こしアプリで書き起こし、それをDeepLで邦訳しています。日本語で授業が受けられて最高に効率が良いですよ」と教えてくれたが、渡米当初からこんな物凄いチートツールの組み合わせがあったら私は留学しても一ミリも英語が上達しなかったに違いない。
34
キャリア論の授業で刺さった話。
「一分野で上位1%に入るのは才能が必要だが、複数分野で上位30%になるのは凡人も可能だ。そしてその複数を掛け合わせて繋ぐように動くと、競合がいない領域で容易に一番になれる。凡人が才能溢れる者に勝利するためには、キャリアを複数分野の掛け合わせで構築しろ」
35
読書家で博識な友人に読書習慣化の秘訣を聞いたら、「良さげな本は全て買い、少し読んで微妙なら容赦なく次にいく。これを繰り返して面白いと思える本だけ読む。面白い本さえ発見できれば永遠に読み続けられる。本は安い。ケチるな」と言われてその後実践しているが、これマジで無限に読書ができる。
36
MBAで起こりがちなのが、学生時代に数学を頑張り数的素養を付け、理系就職後にMBAに来た者は全てを備えた最強ビジネス人材として引っ張りだこな反面、数学を無視してきた者は「機械学習!Python!」と上辺をなぞった挙句数学の高い壁に阻まれ入門レベルを超えられず、雰囲気DX人材として卒業に至る。
37
スタンフォードで有名なスピーチの授業を受けた際、何か特別な技術を学ぶと思いきや「スピーチやプレゼンは観衆の分析が全てだ。観衆が何を求めているかを徹底的に考え抜け。他の要素は全部二の次だ」とひたすら教わったが、ゼレンスキーの各国用にテーラーメイドされた演説でまさにその真髄を見た。
38
3/29までのKindle本最大80%オフセール、結構良いビジネス書が対象になっていたのでnoteに雑な解説付きでまとめました。
個人的に今回の掘り出し物は『イノベーターのジレンマの経済学的解明』です。重いテーマなのにエッセイ感覚で夜お酒を片手に気軽に楽しく読めます。
note.com/hiroshi9985767…
39
「成功者は『自分が努力して実力で勝ち取ってきた』と思いがちだが実は運や環境要因が大変大きい」ことを論じた本としては、サンデル教授の下記が有名でお勧めですが、この本と関係なく、私の学校では最近割と一貫して「驕るな、環境に感謝しろ」と教えられている印象です。
amzn.to/3CTDUaE
40
授業で投げかけられた言葉。
「ウォール街アナリスト対象のハーバードの研究では、エースが他社に移籍した場合、移籍先での成績は多くがその後平凡だった。成功なんて特定の環境に紐づき周囲に強く支えられたものだ。今たまたま成功していても驕るな。うまくいっていなくても自分を蔑む必要はない。」
41
こういう死ぬ気で努力して勝ち残ってきた学生達は、だいたい20代後半になると真の幸せとは何かを考え始めるので、今の米国大学院では「幸福学」という何が幸せかを追求する学問が人気です。概ね下記の本に書いてあるようなことを学んでいます。興味がある方はどうぞ。
amzn.to/3w7JHI7
42
スタンフォードのアジア系米国人学生、幼少期から死ぬほど勉強・習い事・慈善活動・留学・スポーツや芸術に全方位で打ち込んでいて、皆人生を逆算したような全く隙が無い経歴を必死で作り上げており、超学歴社会である米国の競争の激しさが伝わってくると共に、幸せの意義について考えさせられる。
43
起業の授業では、「創業チームにマッキンゼー、外銀IBD...と典型的エリートを集める例は多いが、彼らは上流階級のみに囲まれてきたので起業に不可欠の泥臭い対応ができず、かつ当初雇える人材も彼ら基準では全員微妙なので社員と軋轢が生じ易く、エリートを揃えたチームは大変脆い」と釘を刺された。
44
米国人同級生は授業の傍ら起業もし、仕事に慈善活動に毎日夜中までパーティー全出席と「どこにそんな時間が...スーパーマンか...」と思っていたのだが、先日DeepLを宿題に初投入したら文字通り一瞬で宿題が終わり、期せずして今まで知らなかった非ネイティブが背負うハンデの巨大さが鮮明に分かった。
45
最近の米国のエリート界隈は「多様性」を連日嫌というほど強調しまくり、多様性の研修や授業だらけだが、いざ差別事件が起こると被害者や周囲が莫大な労力をかけ余程粘り強く声を上げない限り「被害者が主張しないのが悪い」と大体は事なかれ主義で黙殺され、結局ここでは皆、ただ建前を語っている。
46
授業に来たPEの幹部が「ワークライフバランス?20代半ばなんて多くは結婚もまだだし子供もいない。バランスを取る対象がない。仕事以外に特段価値があることがない。まず死ぬ気で働け。職務経験という名の貯金を作れ。それが将来生きる」とMBAの学生達に助言していた。金融はいつの時代もマッチョだ。
47
米国では最近、企業が政治的な主張を明確に示すのが徐々に当然になりつつあるが、以前そうした企業のCEOにそれでは客を失わないかと尋ねたら、「うちの価値観と合わない奴はそもそも客じゃない。ビジネスは八方美人になったら終わりだ。価値観が合う層に深く愛される企業こそ生き残る」と返ってきた。
48
ウクライナに直接寄付したい方はぜひ以下に。こちらは軍事支援に回りうるので、私個人は一つ前のUNHCR等の人道支援のほうに寄付しますが、人それぞれ異なる正義がある。
本体のツイートはどうでもいいから、むしろこのツイートと一つ前のツイートをリツイート等してほしい。
twitter.com/UKRinJPN/statu…
49
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)宛の寄付窓口です。寄付金使途は「ウクライナ及びヨーロッパ地域での救援活動」と明記。人道支援であり、軍事支援には回りません。税控除の対象です。1000円から可能。ふるさと納税の代わりにぜひこちらに。
japanforunhcr.org/campaign/ukrai…
50
自分が10代の頃などは、「外野が戦争反対と叫んだって何の役にも立たない」と穿った目で世を見ていたが、元々門外漢だった行動科学等を留学してじっくり学んだ結果、こういう時に人々が戦争反対と声を上げることがいかに効果的かが今では明確に整理できるようになり、新しい学問を学ぶのは楽しい。