東畑 開人(@ktowhata)さんの人気ツイート(古い順)

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日記をエクセルで書くか、ワードで書くかによって、自己というものの作られ方は全く違うのではないか。エクセルは自己の帳簿化を、ワードは自己の物語化を推し進める。マルクス・アウレリウスが現代に生まれていたら、自省録をエクセルで書いたのではないだろうか。
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SNSをしていて改めて思うのは、モヤモヤやイライラを愚痴や陰口として世界に発信しても、結局自分に回帰したり、ときに増幅したりしてしまうことがあること。それらは信頼できる他者に受け取られることで、心に収まるものとして変形されていくのだな、と。心は心に受け取られないといけない。
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多くの職業が次善の策として選ばれる。幼き頃の夢の大半は破れるものだし、破れるからいい。その上である種の代替物として選びとられた仕事というのは現実的であるから、きちんと職業となりうる。よき妥協がなされ、夢と現実が水割りくらいの分量で混ざってるのが天職というやつなのかもしれないです。
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心を扱う援助職は、心理学だけでなく同時に社会論を必要とするはずです。心は社会の中で病んだり癒されたりするしかなく、そもそも「心を扱う」という発想そのものがある種の社会的環境を前提とするからです。だから、極力最新の社会学や人類学を踏まえた社会論が、臨床心理学には必要だと思う次第。
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SNSで愚痴を書くことについて、学生が行った調査では、書いた愚痴について多くの人が「そっとしておいて、何もしないでほしい」と回答していました。リアルで愚痴を言うと、アドバイスされたり慰められたりしてしまうけど、SNSだとスルーしやすいのがよい、とのこと。触れないことの価値。
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週末、レンタルなんもしない人との対談があるのだけど、この「傷ついた部分をそっと触れずに置いておいてほしい」というSNSに向けられたニーズを結晶化したのがレンタルさんだったよではないか、という仮説。 twitter.com/ktowhata/statu…
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フーコーがラカン派の人たちから糾弾されるような対談をしていて、最後に離乳についての話題で、哺乳瓶の発明の年代を教えられたときになした絶叫が最高だった。。。学者ってなんてカッコいいのだ。
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自己啓発や心理教育にもアッパー系とダウナー系がある。前者はアドラーの「課題の分離」みたいな切断系で、色々あるけど理性を使ってスパッと割り切っていこうぜ、という感じ。後者は接続系で「どうにもならないことあるよね。。」みたいな自分の中の非理性や他者といかに付き合っていくかという構え。
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「人生が劇的に変わる」という発想はまさに切断の原理です。過去、現在、未来が切断されることで変身する自己。これに対して「人はちょっとしか変わらないけど、そのちょっとが人生に多くのものをもたらす」というのは接続の思想。歴史を生きていく自己。 twitter.com/ktowhata/statu…
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上野千鶴子氏が「ケアという商品は価格とクオリティが連動しない」と書いている。確かに、大変評判がよくて超高額の介護施設も、スタッフが入れ替わると、評判が悪くて超高額の施設に容易に変わってしまう。ケアはシステムや施設ではなく、人に属す。そして人にはどうしても金に属せないときがある。
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北中淳子先生のエッセイ。とても興味深い。 「前世紀に求められたような重く、実存的な問いが影を潜めたかわりに、現在はストレスレベルを自己監視することで、より軽やかに、しなやかに自己管理をこなす「レジリエント」な主体が希求されている。」 gendai.ismedia.jp/articles/-/655…
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「居場所を見つけるにはどうしたらいいか?」と取材を受けていて、多動力ならぬ「受動力」というワードが降ってきました。他人からの誘いなり、働きかけについホイホイ乗ってしまう受け身の力。友達作りとかもそうだけど、積極的に声をかけるのではなく流されることで、人はうっかり親密になってしまう
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心を変化させるために、心に介入すべきときと、環境に介入すべきときとあって、環境を変えないといけないときに心を変えようとすると、ひどい暴力になってしまう。その見極めができるようになるのが、心の専門家の最低限の資質と思う。実際、環境が変わるとかなりの程度、調子は良くなるものです。 twitter.com/ktowhata/statu…
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この前聞いたいい話。親密性とは何か?それは震度2の地震があったときに、「地震あったね、大丈夫だった?」「大丈夫、そっちは?」「こっちも大丈夫」と絶対大丈夫なのに、気遣う話ができる関係性。逆に孤独だと、震度2の地震は、なにも起きなかったのと同じことになってしまうのだとのこと。
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これ、僕も大学に入学して一番最初に教えてもらったことです。百科事典には、その分野についての権威が信頼できる情報を集約して書いているから、まずそれで全体像を見渡せ、その次に語源辞典を引いて、問題の広がり深まりをイメージするのだ、と。 twitter.com/morinoshita03/…
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「アスペルガー医師とナチス」とても面白い。フロイトを含めて精神分析家が国外に脱出したあと、ナチスは心理療法家たちを組織し直すのだけど、彼らは心理療法の目的を体制の価値観に順応することに置いたので、精神分析とは違って過去ではなく現在に焦点を当てたとのこと。
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読了。ナチスが政権をとって以降、社会への同調圧力が極端に高まる中で、社会に同化できない人を選別する役割を精神医学が担っていて、そこにアスペルガー氏の仕事があったという話。精神医学と社会がいかに密接に絡まりあってるか、発達障害が注目される社会とはいかなるものかを考えさせられました。 twitter.com/ktowhata/statu…
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グロスマン「戦争における「人殺し」の心理学」、敵に向かって発砲できる兵士が15%しかいないことから始まり、人は殺人に非常に深い抵抗があること、そしてスキナーやパブロフの行動療法的な技術が兵士の訓練に使われて発砲率が大幅に上がったことなどが書かれていて、心理学と社会を考えさせられる。
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臨床心理学概論の試験で「次の20年の臨床心理学の最重要テーマは何か、日本社会の未来を踏まえてあなたの考えを論じなさい」的な問題を出したら、高齢者とか災害とか自助グループとかも多かったが、最多回答は「孤独」だった。大学生は次の20年の臨床心理学のユーザーでもあるわけだから、説得力ある。
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インタビューの記事が出ていました。「「意味がないこと」に意味はないのか?」的な話です。 なにもしていない人はダメ"という人の苦しさ(プレジデントオンライン) - Yahoo!ニュース headlines.yahoo.co.jp/article?a=2019…
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心理士の世界では「承認欲求」という言葉はほとんど使われなくて、同じ現象が例えば「自己愛の傷つき」などの言葉で語られているように思う。「欲求」だと「抑えましょう」というニュアンスが漂ってしまうのに対して、「傷つき」だと「ケアが必要」というニュアンスになるからかな、どうだろう。
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レンタルさんとの対談が記事になっております。「遊び」がいかに人生を支えるか、あるいはガチとエンタメなどについて話しています。 この社会はガチすぎる…「レンタルなんもしない人」が求められる理由 @gendai_biz gendai.ismedia.jp/articles/-/664… #現代ビジネス
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「当事者研究をはじめよう」。三部作の完結編だとのことで、これから始める人のための手引きになっている。個人的には専門家の利用の仕方を書いた信田論文と、メディアと当事者の問題を扱った荻上チキ・細見明日子対談が興味深かった。あと圧巻の熊谷さんのまとめ!なにより3冊揃うと色が綺麗でよい。
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「失敗の本質ー日本軍の組織論的研究」合理性を突き詰めざるを得ない戦争において、日本軍においては「本質にかかわりのない庶務的仕事に没頭する」ことが起きたとのこと。パワポの細部やエクセルのセルの調整などがそうだけど、我々がいかに庶務に癒されるかをよく示すエピソードである。
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さらに考えると、「文系の学問はどう役に立つのか」という問いに対しては、「いかにお金儲けに役立つか」という資本のロジックで答えるのではなく、「資本の暴風の中での個としての自由にいかに役立つか」で答えればよいということになる。現代にあって文化とは基本的にそのためのものなのではないか。