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劇団やってくってのは
ホントにホントに大変なんだよ。
好きでやってんだろ、って言われりゃ
まったくその通りなんだがね。
俺は、日本文化における、国土を守る、米作農家みたいなものだと思ってるよ。
2
潰れるのは、ゼッタイにうちが先だと思ってたけどねぇ。
実は以前、知ったのよ。何万人も集めるキャラメルも、三千人でヒーヒーしてる、扉座も結局、同じようにヒーヒーしてるという事実に。
おそるべし、演劇経済。涙。
3
今の演劇界を支えてるのは、劇作家も演出家も役者も、劇団で研鑽積んだ人たちなんだよ。 義務教育の科目に、舞台芸術がない我が国で、それらを生み育ててるのは、劇団なんだってば。潰しちゃイカンのよ。
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まだまだヤル気に満ちてた老舗劇団が、こんな風に活動中断しなきゃならないこと、演劇界はもっと深刻に受け止めた方が良い。経済の論理だけで処理したら、ダメなんだって。 資本主義では語れない価値なんだって。
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潰れるのは自己責任だけどさ、そもそも無茶なことを、情熱と呼んでる狂気と、夢と呼んでる思い込みだけで成立させてる、幻しの花みたいなものなんだよ。
咲いてる姿はほぼ奇跡だよ。
その値打ちに、世の人々にもっと気付いて欲しいんだ。
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義務教育の科目に演劇がないという問題は、教育的な側面での損失であると同時に、演劇界にとって演劇人の生きる道が、狭すぎるという問題なんだ。音楽界、美術界には学校の先生たちという裾野が豊かに広くある。演劇界だけが、超越した者しか食っていけない世界になっている。
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うちだって、メンバーがそれで食えてる訳じゃないしな。
生活をみつめ直して、辞める者もいる。
若い頃は、何とも思わなかったよ。
弱肉強食の世界で良いし、ショービジネスの世界を勝ち残った者だけがギャラを手にする世界で結構、って。
でも今は違うんだ。
才能を、見殺しにするのがツライ。
8
俺らが芝居を始めた頃、エンゲキは青春の光だった。
生活なんかどうでも良いし、収支も気にしたことはなかった。
ひとときの輝きだからな。
でももはや、青春じゃなく人生だからさ。
業界全体、この先どうすべきか、考えたいんだ。
9
たとえば、演劇科とか持ってる専門学校、大学などは、今ある劇団一個ずつ抱えるべきだ。
学校でほんの2、3年経験して、使える役者なんかになるはずないんだから。
その先の用意もなく、学費だけ吸い取って投げ出してんだから。
使えるように鍛える劇団の仕事も手伝いなさい。
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新国立の研修所も、国立劇団を作る気がないなら、せめて今ある劇団のひとつを丸抱えすべきだ。
学校みたいなレッスンだけで、役者が育つはずないとみんな分かってるはずなのに、おかしいだろ。
国立の研修所から、芸能事務所に送り出すのが目的で、良いのかよ。
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お客が少なくても、演劇的に優れたものには助成金がつく。いつからか、集客より助成取りが大切な活動になった。客ウケより、批評家ウケ。小さな小屋で長く公演するものばかりになった。批評家に来て貰う為にもね。
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そんななか、助成金などあてにしないで、ほぼ自力で頑張ってたのがキャラメルボックスだったんだ。
だからこそ、胸が痛い。
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ただ言っとく。文化庁の調査が出てて、助成金スタート以来、落語や音楽などが観客を増やしているのに、演劇だけが減少してると報告されてる。文化庁もそこを問題視してる。
審査員にだけウケりゃ良いって時代はもう終わりだよ。
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演劇人てプライド高くてシャイだから。営業が苦手だよな。頭下げてチケット売るより、企画書の言葉こねくる方が上手いし、得意だ。
でもなあ、特にこれからの若者諸君。芝居は客を呼んでナンボだぜ。まず隣人にちゃんと見てもらおう。
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小劇場ブームの凄さは、みんながお客集めを競い合って。全体のパイを画期的に増やしたことだ。
客がいるのが、良い芝居だ。。
言い訳なしで、みんなそこで勝負してた。
お客の呼べる芝居をしよう。
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でも、野田さんは当時から圧倒的にお客さん集めてた。
難解と、集客を両立させてた。有名人ゲストなんかに頼らず、劇団員たちだけで。
お客集めは、必ずしも大衆向けにしろってことじゃないんだよ。
今も、あの時の野田さんの声覚えてる。
四谷のバーだった。
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80年代小劇場ブームの頃、anan、non-no に演劇のページがあったんだよ。そこではテレビの人じゃない、シモキタの演劇青年たちが、続々紹介されていた。
みんなが、社会と観客に向いて芝居をしてた。
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台風被害の心配は限りなく大きい。まずは安全確保だが、
経済的打撃もな。興行をもつ皆さん、さぞ青ざめていることだろう。
うちも、ツライよ。でも頑張ろうな。
みんな資金なんか持たぬ、自転車操業だもんな。
明日、明後日、元気だったら、演劇愛好家の皆さん、ぜひ劇場へ!
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三木シン の本気に触れたよね。50歳で引退を考えた、彼がもう一度、再起動して新たな世界を築く、そのパッションにあふれてた。是非、ライフワークにしてほしい。
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公演を始めるという発表に対して、そんなに金が欲しいか、金の亡者め、みたいな反応を見かける。
演劇という営みを知らない人たちの言葉だと思うけどね、
寂しいね、そんなだから演劇が必要なんだと言いたいよ。
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今、やるという決断も、止めるという決断も、その責任を、もし我が身が背負うとしたらと、想像するだけで病みそうだ。
もう少し優しい言葉をかけ合うことは出来ないかね。
病死と同じく自殺者が心配だよ、私ゃ。
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いよいよ、明日、稽古場とサヨウナラ。
一周廻って、新時代を担って先頭を征く俳優。
辰巳と浜中。
力強く且つ、繊細に、一座をリードしてくれた。
彼らの頑張りが、報われますように。
#舞台版スマホを落としただけなのに
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乃木坂46の早川聖来が出演するんだが、まあ、フツーは知らないだろう。私も知らなかった。4期生と言う、新人チームだし。
19歳で、20代後半の役を演じる。
いくら何でも無茶だろう、何考えてんだよ、とプロデューサーに文句を言ったことを、今、深く反省します。
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去年、扉座にも出てくれた、AKB48 チーム8の 横山結衣とか、乃木坂46の 早川聖来、とか。
驚くべき才能が出現して来る。
停滞の時間が惜しい。
劇場を開けたい。