これは、 感情のセルフコントロール → 感情の自律 → 自立した人格 へとつながっていきます。 実のところ、誰かに機嫌を取ってもらわないとならない人は、その誰かに依存しているということです。 依存する方はラクでいいですが、依存される方からするとたまったものではありません。
もし、大人であるあなたが、 「そんなことしたことないのでできな~い。だれかぼくのためにやって~」 という人であったら、その人は自立していない人なのだと周りはみなします。
たとえかわいい我が子であったとしても依存されるのはしんどいものです。それがましてや本来、自分と対等の配偶者がというのでは耐えられるものではありません。 この耐えがたい状態を経済支配、子供への愛情論などで束縛してきたのが、これまでの家庭、社会の構造でした。
◆生活者としての自立 あなたは洗濯をしないで一生着られる魔法の服をもっていたり、水だけ飲めば健康にすごせる身体をもっていますか? そんなことはないですよね。 食事をしたり、洗濯をしたり、掃除をしたりそうした生活の要素があってはじめて人は生きていられます。
しかし、いまの祖父母世代くらいの価値観は、それが「当たり前」とされていました。 男性は、仕事をして家庭のことは女性がやる・・・と。 もし、あなたが家庭のロールモデルをそうした祖父母世代を基準に考えていたら、パートナーとの信頼関係は構築されません。
かつてはそうであったかもしれませんが、今はもはやとっくに違うのです。 かつてはこうだったと強弁しても余計に女性からは距離をおかれるだけです。 現在はこうなっているというところを基準に考えましょう。
下手でもいいからやってみるのです。 できないならできないなりに。買ってきたお総菜を並べたりするのだっていいです。 あんぐり鳥の雛のようにご飯ができるのを口を開けて待つ大人になるのは避けましょう。
男性であるあなたとまったく同じように、料理や家事や子育てや近所づきあいや子供の学校のこと将来のことはわからないのです。それで普通なのです。 ・男性だから家事ができない ・下手だからやらない とった言葉は、いいわけにならないどころか、百年の恋もさめる言葉になってしまいます。
少し視野を広げて考えてみます。 「花嫁修業」「家事手伝い」といった言葉が死語になってずいぶん長くたっています。 現代の女性は、男性であるあなたと同じように教育を受け社会に出てきています。 「女性だから、家事や育児が上手にできる」 などということはないのです。
この状態は男性が自分の必要なことを自分でできないというものです。 これは「当たり前」ではなく、現代の価値観では妻、母に依存する自立できない異様な大人の問題です。
僕のかつての同僚にこんな人がいました。 職員全員が残業をして職員会議をします。終わるのは20時~21時です。 女性のその同僚は、急いで帰らなければと言っています。聴けば、家で夫と大学生の息子がご飯を待っていると・・・。
◆NOの尊重=人格の尊重 「すみません」が口癖になっている人が周囲にいるのに気がついたことはありますか? 男性にもおりますが、女性にはさらに多いです。 これは「不機嫌さ」のところでも述べましたが、女性は周囲の機嫌を損ねないように振る舞うことが社会の中ですり込まれてしまうためです。
「女性はおいしい肉じゃがが作れるべきだ」のようなファンタジーはしまっておきましょう。 もし、おいしい肉じゃがが食べたいのであれば、ぜひご自身で作ってみるか、パートナーと一緒に楽しみながら作ることを強くお勧めします。
こうした中で、女性は自分の感情や意見を抑圧されていたり、そもそも長い間そういう習慣を持てなかったためにできなくなっています。 特に他者の意見にそぐわない自分の意見が出せません。 女性はNOを言うことが怖いのです。 逆に、男性はNOを言われることを恐れています。
こうした中で仮に女性が勇気を振り絞って、パートナーに何らかのNOを表明したとします。 (例:子供の熱でお休みしなければならないけど私は私の仕事でどうしても明日は休むことができないの。あなたがお休みを取って下さい。など)
それに対して男性が、不機嫌さを醸し出したり、その言葉を押しつぶそうとしたり、ましてや「お前には子供への愛情がないのか」などのモラルハラスメントをすれば、関係性の発展は望めません。
NOは恐れなくていいのです。 NOの上に対話を積み重ねていきましょう。 このNOを押しつぶすのではなく、互いの対話を重ねる方法を上手でなくとも互いに取り組んでいくことで、パートナーとの信頼は深まっていきます。
また、仕事における対人関係などでも、このスタンスを理解しておくことで、人間関係が円滑にいったり同僚間での信頼関係が構築されやすくなります。 子育てでもとても重要なファクターになります。(こっちが僕の専門なのでいずれどこかでまとめましょうね)
もしパートナーであるあなたが、NOを表明されてもそこに対話ができる人であると相手の女性が理解したしたら、その女性はきっと大きな安心感と信頼感を感じることでしょう。
このNOを表明しても不機嫌にならない、相手の意見を押しつぶさないというスタンスは、さらに性的な関係でも重要です。
性的な行為を求めたとき、それを女性に拒否されることもあるかもしれません。 そのときは、それを最大限尊重するべきです。 不機嫌さを醸し出しながらしぶしぶなどではなく、素直にひっこめられることで女性はこの人は信頼に足る人だと理解します。
現在の日本では性教育がまったくの不備ですので、多くの人が自身の性的な問題について表すことが難しい状態におかれています。 表したり対話ができないので、性的関係における相手の支配を目指してしまいがちです。 またアダルトビデオ等は、それが普通のことであると錯覚させすり込んでしまいます。
本当は相手の支配をする必要はありません。 性的関係においても対話と同意を大切にすることで、パートナーとの関係はプラスになっていきます。
◆世間に流布する誤解 女性との関係を危惧する男性にとって、もしかすると世の中には間違った情報がたくさん流れているかも知れません。
ネットなどで一部に流れる、「女性は高収入の男性でなければ見向きもしない」という言葉は、女性蔑視を強化しようとする人達のデマと思っていいでしょう。もちろん、中には高収入でなければというそういう人もいるでしょうけれども、それはあくまで個別にであり、総体ではありません。