『小説 アナと雪の女王』が「中身が字ばっかり!」だと怒っている書き込みを見かけて困っている。すんません、小説だから字ばっかりなんです。でも、『思い出のマーニー』原作のとき「勝手に舞台を北海道からイギリスに変えるな!」と怒られたのよりはずっとましかも。
こんな状況で書くのもなんだけど、きのう観たテレビで計3人が「~ざる・おえない」と発音していた。ネットの書きこみでは「~ざるおえない」だけでなく、「~ざる終えない」「~ざる負えない」まで見かける。めまいがしそうだ。
「新文化」最新号にあった、書店員のかたの近況と読者の皆さんへのメッセージ。ふだんは記事の全部を載せることはしないんだけど、これは多くの人に最後まで読んでもらいたいから載せます。
いま辞書サイトがどの程度使えるかを @baldhatter さんが無料・有料に分けてまとめてくれました。翻訳関係者必読。 無料 baldhatter.txt-nifty.com/misc/2020/06/p… 有料 baldhatter.txt-nifty.com/misc/2020/06/p… 現状ではまだ「メインはこれで決まり!」というものはなく、個々の判断で適宜組み合わせるしかないのかな、と感じました。
1960年ごろの翻訳書から。なぜ彼は14ほど「ああ」と言ったのか。原文は about ten times だった。当時はこの種の誤植がどのくらい生き残ったんだろうか。
いまだと「訳注」が「ヤク中」に化けるほうがこわいんだけど。以前、ぎりぎりで歴史を書き換えずにすんだこんなのもあった。 twitter.com/t_echizen/stat…
翻訳者としては、もし自分がこれを食らったら一生立ちなおれなかったかもしれません。
なんか大騒ぎになってしまったので、補足すると、これは1970年代のサンリオ文庫の巻末目録で、伝説の誤植とされているものです。川本さんの Wikipedia でも少し言及されています。
「in fact、indeed は "事実" や "実際" より "それどころか" がぴったりであることが多い。これはしつこく繰り返します」と、はるか昔に伊藤和夫先生から少なくとも20回は聞かされたと思う(2浪したんで)。いまは自分がしつこく繰り返すから、長くいる翻訳クラス生は20回以上聞かされたかもしれない。
仮面ライダーセイバーの本業は小説家かつ書店主だそうだが、これを見ると、担当編集者も登場するし、本の守護者とか、本の魔神(物語のジャンルを司る)とか、うじゃうじゃ出てくる。これは本気で観たほうがよさそうだ。 tv-asahi.co.jp/saber/#/%E4%B8…
だれか、読書がコロナに効くという学説を発表してくれないものか
もし軽症状でホテル療養の立場になったら、『失われた時を求めて』と『源氏物語』を読破するか、なんて考えてるけど、かつてクモ膜下出血での手術後療養中、同じ目標を立てたにもかかわらず、読破したのは『美味しんぼ』と『ブラックジャック』だけだったから、今回も似たようなことになるだろう。
「ほとんどの場面で文法が必要でない」境地に至るための膨大な量の経験を積むあいだ、まちがいなく文法は必要。翻訳者の立場で言えば、ぐちゃぐちゃに混み入った文、逆に省略だらけの文、常識はずれの内容の文などを読み解くときの最終兵器が文法。死ぬまで不要になんかならない。
そう、電子書籍は絶版にならないと思ってる人がけっこういるんだけど、紙と同じで、原著者との契約が切れたら絶版です(すでに購入済みのものは変わらず読めます)。だから、気に入った本はなるべく早く買ってください。 twitter.com/futami_romance…
以前、ゲラでミスに気づいて、危うく世に出ずにすんだ恥ずかしい誤入力の例(校正者も編集者も見落とした)。 「……が放った銃弾は、肩を貫通して血染めの男根を残し……」 銃弾のきわめてアクロバティックな動きで読者を翻弄するところだった。
翻訳者20人がお薦め本を全力で紹介する「#はじめての海外文学 スペシャル」が11月1日(日)14時からいよいよ開催(無料、予約不要)。 今年は5人ずつの4部構成とし、プレゼンテーション後にQ&Aやフリートークの時間を設ける予定。 よかったらチャンネル登録をよろしく↓ youtu.be/ch4hv_7FlpU
『〈敵〉と呼ばれても』(ジョージ・タケイ、作品社)読了。有名俳優が子供時代に日系人強制収容所で過ごした日々をくわしく語るグラフィック・ノベル。終盤の父親とローズヴェルト夫人の「すれちがい」が圧巻。『MARCH』『マッド・ジャーマンズ』などと併せて、特に10代の人に読んでもらいたい。
いま、クラス生の人たちにエラリー・クイーンの作品をどれか読んで感想を言ってもらっているんだけど、圧倒的に好評なのが『九尾の猫』。デマがデマを呼び、街がパニックに陥って深刻な分断が生じていくさまが、いまのコロナ禍や大統領選の混乱を生々しく思い出させるからだ。
鬼滅の入手困難とは別次元で恐縮ですが、翻訳書のシリーズ作品も、完結してからとか、つぎが出てからまとめてとかではなく、好きなシリーズであれば発売後数か月以内に購入して読んでいただけるとありがたいです。翻訳刊行がいったん打ち切りになったものを復活させるのは、きわめてむずかしいので。
翻訳学習の市場というのはすごくて、翻訳力を伸ばすには「大量の原文を深く読みこむ」「力のある日本語の文章に大量にふれる」「大量に翻訳して修正を繰り返す」しかないのだが、「なんとかそれをやらずにできない?」という願望により新しい学習法が生まれ続ける…のは困ったものです。
オバマさんの鳩山さん評はA pleasant if awkward fellowだったのか。そりゃ褒めてますよ。 The coming of clocks caused a grave if gradual change in our social life. 時計の出現は、徐々にではあるが重大な変化をわたしたちの社会生活に及ぼした。 (『日本人なら必ず誤訳する英文 決定版』A-06)
あせってるときも喜んでるときも全部「やばい」と言う若者と話しながら、ちょっと辟易していたが、古語の「いみじ」もそうだったことを思い出し、急に楽しくなった。
たとえばsighはよく「ため息をつく」と訳されるけど、「ため息」はふつうマイナスの感情を表すから、状況に応じて「深く息をつく」「ほっと息をつく」などと訳し分ける。感情を見定めるには、原文の隅々まで手がかりを求めて読みこむしかない。訳出によって深い読解力がつくのはそういうからくりです。
エラリイ・クイーン『フォックス家の殺人[新訳版]』の書影が公開されました。12月17日ごろ発売。 これにつづく『十日間の不思議[新訳版]』は来年2月中旬刊行予定。 はじめて読む方は、可能なら『災厄の町』『フォックス家の殺人』『十日間の不思議』『九尾の猫』の順に読んでもらえるとうれしいです。
英文の9割ぐらいをざっと理解できる程度の語学力がある人は、日本じゅうに何百万人もいます。一方、英和翻訳というのは、残りの1割を調べたり考えたりするために9割の時間を使い、英文を読めない人が一読で理解できる文章を作りあげる仕事です。そういう作業を心から楽しめる人にとっては天職です。