amazonの書籍レビューについては、何よりまず、「梱包がひどい」とか「届くのが遅い」とかいうやつを即座に排除する(配送へのレビューとはっきり分離する)仕組みを作ってもらいたい。最初のレビューがそういうやつで★ひとつだったときに本の作り手がこうむる損害はけっこうなものなんだから。
エラリイ・クイーン『ダブル・ダブル』再校ゲラ作業中。あと何十年修業しても、これは自分には見破れないだろう(この赤字は編集者による)。
ところざわサクラタウンの武蔵野坐令和神社では、「締切守」が販売されています。全国の著者・訳者の皆さん、ぜひおひとつどうぞ!
翻訳者としては、もし自分がこれを食らったら一生立ちなおれなかったかもしれません。
『小説 アナと雪の女王』が「中身が字ばっかり!」だと怒っている書き込みを見かけて困っている。すんません、小説だから字ばっかりなんです。でも、『思い出のマーニー』原作のとき「勝手に舞台を北海道からイギリスに変えるな!」と怒られたのよりはずっとましかも。
英文の9割ぐらいをざっと理解できる程度の語学力がある人は、日本じゅうに何百万人もいます。一方、英和翻訳というのは、残りの1割を調べたり考えたりするために9割の時間を使い、英文を読めない人が一読で理解できる文章を作りあげる仕事です。そういう作業を心から楽しめる人にとっては天職です。
大学の翻訳クラス(2年生・3年生が半々ぐらい)では、余った時間に「誤訳しそうな英文クイズ」を出しています。 きのう、13人のうち、ひとりも正しく読めなかった文。 All the people that admire a person who paints like Renoir.
この手の話、定期的に何度もツイートされているんだけど、知らない人がまだまだ多いので広めましょう。 紙でも電子でも事情は同じです。 自分の場合、これまでの訳書100冊近くのうち、おそらく半分ぐらいが、絶版もしくは事実上の絶版です。早ければ3年程度で絶版が決まります。 twitter.com/futami_honyaku…
仕事中に萎えたシリーズその2。 某書店のサイン会で。 越「お名前は入れますか?」 客「あ、いりません」 越「(贈り物にするとか、事情はいろいろだと思いながら)そうですか」 客「名前がないほうが、ヤフオクやメルカリで売りやすいって聞いたんで」 越「……そうですか。つぎの方、どうぞ」
エラリイ・クイーン『十日間の不思議』の書影が解禁となったようですね。2月17日ごろ書店に並びます。 いまから読む人は、可能なら『災厄の町』『フォックス家の殺人』『十日間の不思議』『九尾の猫』の順に読んでもらえるとうれしいです。
もし軽症状でホテル療養の立場になったら、『失われた時を求めて』と『源氏物語』を読破するか、なんて考えてるけど、かつてクモ膜下出血での手術後療養中、同じ目標を立てたにもかかわらず、読破したのは『美味しんぼ』と『ブラックジャック』だけだったから、今回も似たようなことになるだろう。
あせってるときも喜んでるときも全部「やばい」と言う若者と話しながら、ちょっと辟易していたが、古語の「いみじ」もそうだったことを思い出し、急に楽しくなった。
こんな状況で書くのもなんだけど、きのう観たテレビで計3人が「~ざる・おえない」と発音していた。ネットの書きこみでは「~ざるおえない」だけでなく、「~ざる終えない」「~ざる負えない」まで見かける。めまいがしそうだ。
「ぼったくり男爵」が今年の流行語大賞に輝くかも。いや、Baron von Ripper-off をそう訳した人に名訳大賞でもいい。
「in fact、indeed は "事実" や "実際" より "それどころか" がぴったりであることが多い。これはしつこく繰り返します」と、はるか昔に伊藤和夫先生から少なくとも20回は聞かされたと思う(2浪したんで)。いまは自分がしつこく繰り返すから、長くいる翻訳クラス生は20回以上聞かされたかもしれない。
だれか、読書がコロナに効くという学説を発表してくれないものか
『推し、燃ゆ』を読んだんだけど、文の「体幹」みたいなものが強固だから、ちゃらいことが書いてあっても、逆に2行ぐらい読点なしの文になっても、ぜんぜんぶれないんですよ。リズムがいいし。これって、小説の翻訳において自分がめざしているものでもあるわけで、この人の書くものをもっと読みたい。
翻訳学習の市場というのはすごくて、翻訳力を伸ばすには「大量の原文を深く読みこむ」「力のある日本語の文章に大量にふれる」「大量に翻訳して修正を繰り返す」しかないのだが、「なんとかそれをやらずにできない?」という願望により新しい学習法が生まれ続ける…のは困ったものです。
以前、ゲラでミスに気づいて、危うく世に出ずにすんだ恥ずかしい誤入力の例(校正者も編集者も見落とした)。 「……が放った銃弾は、肩を貫通して血染めの男根を残し……」 銃弾のきわめてアクロバティックな動きで読者を翻弄するところだった。
そう、電子書籍は絶版にならないと思ってる人がけっこういるんだけど、紙と同じで、原著者との契約が切れたら絶版です(すでに購入済みのものは変わらず読めます)。だから、気に入った本はなるべく早く買ってください。 twitter.com/futami_romance…
「ほとんどの場面で文法が必要でない」境地に至るための膨大な量の経験を積むあいだ、まちがいなく文法は必要。翻訳者の立場で言えば、ぐちゃぐちゃに混み入った文、逆に省略だらけの文、常識はずれの内容の文などを読み解くときの最終兵器が文法。死ぬまで不要になんかならない。
フィルムアート社から『サスペンス小説の書き方』(パトリシア・ハイスミス、坪野圭介訳)をいただきました。60年近く読み継がれている伝説の創作指南書の本邦初訳です。表面的なノウハウ本ではなく、堂々の本質論だけど、堅苦しさはなし。ロバート・マッキー3部作の翻訳の参考にもさせてもらいます。
翻訳の仕事をするための資質として、わたしが「英語が好き」をあげないのは、英語を正確に読めなくてもいいということではなく、「なんとなく英語が好き」というレベルでは話にならないという意味です。正確に読めるという当然の条件を満たした上で、日本語や読書や調べ物が大好きな人が向いています。
「英語のsomeは4から6を表す」とかなんとかいうツイートに「わかりやすい!」「nice!」といった感想がたくさんついているのを見て、げんなりしている。
金原瑞人さんが、出版翻訳報酬の「最低保証額制度」導入を提案していらっしゃいます。 英文ワード数か原稿用紙枚数かはともかく、自分の感覚でもこのあたりの金額かな、と思います。 ハーパーコリンズ・ジャパンについて補足すると、「あとがき料」が出ることも大きいです。 blog.kanehara.jp/?eid=716