76
勝たないまでも負けない。それが日本を亡国から救う道である。
そのためにはどうしても特攻が必要なのだ。
国民全部が特攻精神を発揮すれば、たとえ負けたとしても、日本は亡びない。そういうことなのだ。
―海軍中将 大西瀧治郎(第一連合基地航空隊司令官 S20.8.16自決)
77
はっきり言ふが俺は好きで死ぬんぢやない。何の心に残る所なく死ぬんぢやない。国の前途が心配でたまらない。いやそれよりも父上、母上、そして君達の前途が心配だ。心配で心配でたまらない。
―海軍少候 大塚晟夫(第三草薙隊 S20.4.28 妹達へ)
78
日本は危機にある。それは言うまでもない。それを克服し得るかどうかは疑問である。
しかしたとえ明日は亡びるにしても、明日の没落の鐘が鳴るまでは、我々は戦わなければならない。
―海軍少尉 林尹夫(八〇一空 S20.7.28)
79
私は一足先に死んでゆきますが、私が、あの弱かつた私が國に殉ずることを喜んで下さると思ひます。長い間御世話になり何一つ喜んで頂く様なことも致しませず相済まぬと思つて居ります。私の死はせめてもの恩返しと思つて下さい。
―海軍少尉 旗生良景(八幡神忠隊 S20.4.28)
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世界が正しく、良くなるために、一つの石を積み重ねるのである。なるべく大きく、据りのいい石を、先人の積んだ塔の上に重ねたいものだ。不安定な石を置いて、後から積んだ人のも、もろともに倒し、落すような石でありたくないものだと思う。
―海軍少尉 佐々木八郎(第一昭和隊 S20.4.14)
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日本の国民学校の子供達へ。
幸光は今、日本の子供たちの為に死んで行く。日本の可愛い子供たちよ!立派な国民になりなさい。
(中略)幸光が、先生と呼ばれたのは僅か半年だった。かわいいなあ、日本の子供たちよ。俺は子供達が一番好きだ。
―海軍中尉 富澤幸光(第十九金剛隊 S20.1.6)
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神風特攻隊の隊員は、全世界そして次世代の全人類のために、彼らの人生を記録として残してくれたのです。彼らは自分の命を生きている偉業としてささげ、人間はどこまで自国を愛することができるか、ということを提示してくれました。
―ダニエル・H・ディソン(フィリピン神風戦没者協会設立者)
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俺たちの苦しみと死とが
俺たちの父や母や弟妹たち
愛する人たちの幸福のために
たとえわずかでも役立つものならば
―陸軍少尉 長谷川信(誠第三十一飛行隊 S20.4.12)
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今日、母より葉書を頂く。忘れよう忘れようとして、なかなか忘れられない家のこと。このなつかしいわが家も、国家あってのわが家。国家なくして何のわが家ぞ。今正に国家危急存亡の秋、この祖国を護るのは誰か。我々をおいて他に誰があろう。
―海軍少尉 諸井国弘(第五筑波隊 S20.5.11)