26
さう簡単に勝てるなどとは思つてゐません。
しかし、負けたとしても、その後はどうなるのです……。
おわかりでせう。
われわれの生命は講和の条件にも、その後の日本人の運命にもつながつてゐますよ。
さう、民族の誇りに……。
―海軍中尉 西田高光(第五筑波隊 S20.5.11)
27
今春、靖国神社に詣って見て下さい。そこには幾多の戦友と共に、桜花となって微笑んで居ることでせう。私は笑って死にました。どうか笑って下さい。泣かないで私の死を意義あらしめて下さい。
―海軍一飛曹 嶋村中(第一神雷桜花隊 S20.3.21)
28
歴史の蹉跌は民族の滅亡ではありません。父上たちの長命を御祈りいたします。
かならず新しい日本が訪れるはずです。国民は死を急いではなりません。
では御機嫌よう。
輝夫
―海軍少尉 山口輝夫(第十二航戦水偵隊 S20.6.21)
29
俺には君は過ぎた妻だつた。もつたいない位な妻だつた。最後に当り感謝する。俺も女は君一人しか知らなかつた。俺もずつと守り通した君一人が、世界中の女の様な気がする。君も俺の心と同じと信ずる。
―陸軍少尉 大平誠志(第二十振武隊 S20.4.12)
30
はっきり言ふが俺は好きで死ぬんぢやない。何の心に残る所なく死ぬんぢやない。国の前途が心配でたまらない。いやそれよりも父上、母上、そして君達の前途が心配だ。心配で心配でたまらない。
―海軍少候 大塚晟夫(第三草薙隊 S20.4.28 妹達へ)
31
今迄お世話になった父母上様を始めとし、上官の方々及周囲の人の御恩で胸が一杯です。
どうか大東亜戦争の勝抜く日迄達者でゐて下さい。私も体はなくなつても魂だけは残つて父母上様の元気なお顔を靖国の空より拝見させて戴きます。
―海軍二飛曹 井上信高(第三草薙隊 S20.4.28)
32
【管理人より】
安倍元首相の訃報に際し謹んで哀悼を捧げます。
我が国の民主主義の根幹を揺るがすテロ行為は断じて許されるものではありません。政治家の暗殺という卑劣な形で人間の命が奪われたことに、断固として反対の意を表します。
33
なぜ若い命を特攻で…と疑問を抱く者もいる。そういう人達に私はいつも言う。
「母や姉、妻の生命が危険にさらされるとき、敢然と暴漢に立ち向かうのが息子の、弟の、夫の道である。愛する者が理不尽に殺されるのを黙って見過ごせるものだろうか?」と。
―アンドレ・マルロー(フランスの作家)
34
沖縄は断じて敵にゆずらず。
生命もいらず、名誉も地位もいらず、ただ必中あるのみ。深山のさくらのごとく、人知れず咲き、散るべき時に潔く散る。何の雑念も含まず。
―海軍中尉 西田高光(第五筑波隊 S20.5.11)
35
死するとも なほ死するとも わが魂よ 永久にとどまり 御国まもらせ
―海軍中尉 緒方襄(第一神雷桜花隊 S20.3.21)
36
君が代を 犯さんとする 夷らに 大和男子の 意気見せん
―陸軍伍長 坂本清(第六十二振武隊 S20.4.6)
37
たとえ途中にて墜されることがあっても、戦果はなくとも、二〇代の若武者が次から次へと特攻攻撃を連続し、ますらおの命をつみ重ねつみ重ねして、大和島根を守りぬくことができれば幸ではありませんか。
―海軍少尉 大石政則(八幡神忠隊 S20.4.16)
38
身はたとい 煙とともに 消ゆるとも 七たび生まれ 君に尽くさん
―陸軍中尉 山本達夫(富嶽隊 S19.11.7)
39
日本の後輩へ
来るべき時は今だ 何が何でも勝つのだ
我々は一足先に征く
ついて来い、死しても護るぞ!
如何なる困難は困難の中にはあらず
日本の後輩よ、頼む
―海軍上飛曹 山本平造(第六金剛隊 S19.12.14)
40
愈々お別れです。大いに頑張りますから御安心下さい。小さい時に皆さんとけんかしたことが楽しい思ひ出に成ります。三人で力を合せて私の分までお母さんを大切にして下さいね。お願いします。皆様に多幸あられん事を祈って居ます。
―海軍上飛曹 小松武(第二御楯隊 S20.2.21 弟妹へ)
41
泣きつぽい母上ですから一寸心配ですが泣かないで下さい。私は笑つて死にますよ。
「人が笑へば自分も笑ふ」て父上によく言はれたでせう。私が笑ひますから母上も笑つて下さい。
―海軍少候 大塚晟夫(第三草薙隊 S20.4.28)
42
私は今より爆弾を抱いて、硫黄島に来襲せる敵艦に対して体当りを敢行致します。私には、何の未練もありません。ただ国家あるのみです。かくの如き覚悟あるをもって、近く戦死の報あるも決してお歎き下さらないよう、切にお願い致します。
―海軍二飛曹 清水邦夫(第二御盾隊 S20.2.21)
43
散る桜 残る桜も 散る桜
我々は、皇国最後の勝利を確信し、後に続く者を信じ、ここに春四月桜花の散ると共に散華いたします。
咲いた花なら散るのは覚悟、見事散らすぞ国の為。
―陸軍中尉 小澤大蔵(第二十四振武隊 S20.4.29)
44
いよいよ今日出撃する。この期に及んで、何も言うことなし。よく尽くしてくれたお前の心を大切に持ってゆく。君ありて我れ幸せなりし。体を大切に静かに平和に暮らしてくれることを祈る。
―陸軍少尉 林義則(第一〇五振武隊 S20.4.22 恋人へ)
45
君がため 御楯となりて この命 捨つべき秋の 来るうれしさ
―海軍中尉 田中正喜(徳島第二白菊隊 S20.5.28)
46
私達にも若い血は流れてます。
好きな人も、思ふ人も、忘れ得ぬ思ひ出も多々あります。然しそれでは戦争には勝てません。美しい日本を何時迄も発展せしめ、米英の魔手から開放すること、それが吾々の喜びであり、又命日でもあるのです。
―陸軍少尉 鈴木重幸(第五十六振武隊 S20.5.11)
47
自分みずから必殺の特攻となってその範を示す。希わくは志ある後輩われに続き、この危急存亡に当り護国の大任を果されんことを望む。
―海軍少将 有馬正文(第二十六航空戦隊司令官 S19.10.15)
48
大空の雲染む屍と散るは此の上も無い名誉であり、男子の本懐これに過ぐるものはありません。
決戦場に出たからには、生きて再び故国の地を踏まうなどとは毛頭考へません。今度皆々様と会ふ日は、必ず九段の桜花咲く下であらうと思ひます。
―海軍二飛曹 新井春男(第七建武隊 S20.4.16)
49
【管理人より】
本日は77年目の終戦記念日です。
昭和19年10月25日から昭和20年8月15日まで300日間続いた特攻隊の戦没者は、海軍2431名、陸軍1417名、計3848名(航空特攻のみ集計)となりました。
特攻隊員およびアジア太平洋戦争(大東亜戦争)の戦没将兵の御霊に謹んで哀悼の誠を捧げます。
#終戦記念日
50
【管理人より】
なお、記録上は正式な特攻として扱われていませんが、最後の特攻隊出撃としては昭和20年8月19日に満州のソ連軍地上部隊に対して行われた「神州不滅特別攻撃隊」の出撃があります。