1
今日、母より葉書を頂く。忘れよう忘れようとして、なかなか忘れられない家のこと。このなつかしいわが家も、国家あってのわが家。国家なくして何のわが家ぞ。今正に国家危急存亡の秋、この祖国を護るのは誰か。我々をおいて他に誰があろう。
―海軍少尉 諸井国弘(第五筑波隊 S20.5.11)
2
俺たちの苦しみと死とが
俺たちの父や母や弟妹たち
愛する人たちの幸福のために
たとえわずかでも役立つものならば
―陸軍少尉 長谷川信(誠第三十一飛行隊 S20.4.12)
3
神風特攻隊の隊員は、全世界そして次世代の全人類のために、彼らの人生を記録として残してくれたのです。彼らは自分の命を生きている偉業としてささげ、人間はどこまで自国を愛することができるか、ということを提示してくれました。
―ダニエル・H・ディソン(フィリピン神風戦没者協会設立者)
4
日本の国民学校の子供達へ。
幸光は今、日本の子供たちの為に死んで行く。日本の可愛い子供たちよ!立派な国民になりなさい。
(中略)幸光が、先生と呼ばれたのは僅か半年だった。かわいいなあ、日本の子供たちよ。俺は子供達が一番好きだ。
―海軍中尉 富澤幸光(第十九金剛隊 S20.1.6)
5
世界が正しく、良くなるために、一つの石を積み重ねるのである。なるべく大きく、据りのいい石を、先人の積んだ塔の上に重ねたいものだ。不安定な石を置いて、後から積んだ人のも、もろともに倒し、落すような石でありたくないものだと思う。
―海軍少尉 佐々木八郎(第一昭和隊 S20.4.14)
6
私は一足先に死んでゆきますが、私が、あの弱かつた私が國に殉ずることを喜んで下さると思ひます。長い間御世話になり何一つ喜んで頂く様なことも致しませず相済まぬと思つて居ります。私の死はせめてもの恩返しと思つて下さい。
―海軍少尉 旗生良景(八幡神忠隊 S20.4.28)
7
日本は危機にある。それは言うまでもない。それを克服し得るかどうかは疑問である。
しかしたとえ明日は亡びるにしても、明日の没落の鐘が鳴るまでは、我々は戦わなければならない。
―海軍少尉 林尹夫(八〇一空 S20.7.28)
8
はっきり言ふが俺は好きで死ぬんぢやない。何の心に残る所なく死ぬんぢやない。国の前途が心配でたまらない。いやそれよりも父上、母上、そして君達の前途が心配だ。心配で心配でたまらない。
―海軍少候 大塚晟夫(第三草薙隊 S20.4.28 妹達へ)
9
勝たないまでも負けない。それが日本を亡国から救う道である。
そのためにはどうしても特攻が必要なのだ。
国民全部が特攻精神を発揮すれば、たとえ負けたとしても、日本は亡びない。そういうことなのだ。
―海軍中将 大西瀧治郎(第一連合基地航空隊司令官 S20.8.16自決)
10
上空通過、我が家ははっきり見えました。物干し台の上で黒いものが動いている。母さんが見送っているのかと思うと、いかに日本男子と言えどもこの時ばかりは悲しくなって、大声で「お母さん、お母さん」と叫び、五月雨のように涙が流れ出ました。
―海軍一飛曹 宮崎勝(第五神剣隊 S20.5.4)
11
今の危機を救ふ者は私達です。この誇りをもって必らずやります。すでに戦友がやってゐます。今の今でも私の戦友は、後に続く者を信じてぶつかっているのです。
黙ってゐられるでせうか、これが黙って見てゐられるでせうか。
―陸軍少尉 富澤健児(第六十二振武隊 S20.4.6)
12
お父さん、さようなら、僕は、明日、日本のために死にます。(略)口答え一つしたことはなかったけれど、お父さんを好きだなんて言ったことはありませんでした。最後だから、言わせてください。
僕はお父さんが大好きです。
―海軍少尉 佐々木八郎(第一昭和隊 S20.4.14)
13
実に日本の国体は美しいものです。古典そのものよりも、神代の有無よりも、私はそれを信じた祖先達の純心そのものゝ歴史の姿を愛します。美しいと思ひます。国体とは祖先達の一番美しかつたものゝ蓄積です。
―海軍少尉 山口輝夫(第十二航戦水偵隊 S20.6.21)
14
國なくして何の人間ぞ、人間として生活は國家故にである。
―海軍大尉 若麻績隆(第一八幡護皇隊艦攻隊 S20.4.6)
15
16
あの時、お母さんと東京を歩いた思い出は、極楽へ行ってからも、楽しいなつかしい思い出となる事でしょう。
あの大きな鳥居のあった靖国神社へ今度新平が奉られるのですよ……。手を繋いでお参りしましたね。
―陸軍曹長 佐藤新平(第七十九振武隊 S20.4.16)
17
今春、靖国神社に参って見て下さい。そこでは幾多の戦友と共に、私が桜花となって微笑んで居ることでせう。
私は笑って死にました。どうか笑って下さい。泣かないで私の死を意義あらしめて下さい。
―海軍一飛曹 嶋村中(第一神雷桜花隊 S20.3.21)
18
君が代を 犯さんとする 夷らに 大和男子の 意気見せん
―陸軍伍長 坂本清(第六十二振武隊 S20.4.6)
19
沖縄は日本と同じです。私は故郷を侵すものを撃たねば止みません。沖縄は今の私にとっては揺籃です。あの空あの海に、かならず父や母が私を迎えて下さるでしょう。私はだから死を悲しみません。恐しいとも思いません。
―海軍少尉 山口輝夫(第十二航戦水偵隊 S20.6.21)
20
叔母さんに一つだけお願いがありますが、台湾にいる両親に「十二郎は子として親を思う点で人には負けぬと考えるが、しかしそれ以上に国を思っている」と、これだけ伝言してもらえれば、他に思い残すことはありません。
―海軍少尉 北村十二郎(回天轟隊 S20.7.16)
21
誰がやる 彼がやるでは はじまらぬ 我さきがけて 国をまもらん
ー陸軍伍長 木谷豊二(義烈空挺隊 S20.6.15 ※戦死認定日)
22
素子、素子は私の顔を見てよく笑ひましたよ。私の腕の中で眠りもしたし、またお風呂に入つたこともありました。素子が大きくなつて私のことが知りたい時は、お前のお母さん、佳代伯母様に私の事をよくお聴きなさい。
―海軍少尉 植村真久(大和隊 S19.10.26)
23
俺たちの苦しみと死とが
俺たちの父や母や弟妹たち
愛する人たちの幸福のために
たとえわずかでも役立つものならば
―陸軍少尉 長谷川信(誠第三十一飛行隊 S20.4.12)
24
次の日本を背負って起つのはあなた達だということもよく分かっていますね。私達が特攻隊として御国の為喜んで散ってゆけるのは、後に数多くの皆さんが続いてくれるのを堅く信じているからです。今の皆さんであれば必ず出来る。
―陸軍大尉 渋谷健一(第六十四振武隊 S20.6.11 学童へ)
25
お父さん、さようなら、僕は、明日、日本のために死にます。(略)口答え一つしたことはなかったけれど、お父さんを好きだなんて言ったことはありませんでした。最後だから、言わせてください。
僕はお父さんが大好きです。
―海軍少尉 佐々木八郎(第一昭和隊 S20.4.14)