26
俺には君は過ぎた妻だつた。もつたいない位な妻だつた。最後に当り感謝する。俺も女は君一人しか知らなかつた。俺もずつと守り通した君一人が、世界中の女の様な気がする。君も俺の心と同じと信ずる。
―陸軍少尉 大平誠志(第二十振武隊 S20.4.12)
27
いよいよ今日出撃する。この期に及んで、何も言うことなし。よく尽くしてくれたお前の心を大切に持ってゆく。君ありて我れ幸せなりし。体を大切に静かに平和に暮らしてくれることを祈る。
―陸軍少尉 林義則(第一〇五振武隊 S20.4.22 恋人へ)
28
私は今より爆弾を抱いて、硫黄島に来襲せる敵艦に対して体当りを敢行致します。私には、何の未練もありません。ただ国家あるのみです。かくの如き覚悟あるをもって、近く戦死の報あるも決してお歎き下さらないよう、切にお願い致します。
―海軍二飛曹 清水邦夫(第二御盾隊 S20.2.21)
29
日本の国民学校の子供達へ。
幸光は今、日本の子供たちの為に死んで行く。日本の可愛い子供たちよ!立派な国民になりなさい。
(中略)幸光が、先生と呼ばれたのは僅か半年だった。かわいいなあ、日本の子供たちよ。俺は子供達が一番好きだ。
―海軍中尉 富澤幸光(第十九金剛隊 S20.1.6)
30
お父さん、さようなら、僕は、明日、日本のために死にます。(略)口答え一つしたことはなかったけれど、お父さんを好きだなんて言ったことはありませんでした。最後だから、言わせてください。
僕はお父さんが大好きです。
―海軍少尉 佐々木八郎(第一昭和隊 S20.4.14)
31
沖縄は日本と同じです。私は故郷を侵すものを撃たねば止みません。沖縄は今の私にとっては揺籃です。あの空あの海に、かならず父や母が私を迎えて下さるでしょう。私はだから死を悲しみません。恐しいとも思いません。
―海軍少尉 山口輝夫(第十二航戦水偵隊 S20.6.21)
32
君が代を 犯さんとする 夷らに 大和男子の 意気見せん
―陸軍伍長 坂本清(第六十二振武隊 S20.4.6)
33
死するとも なほ死するとも わが魂よ 永久にとどまり 御国まもらせ
―海軍中尉 緒方襄(第一神雷桜花隊 S20.3.21)
34
次の日本を背負って起つのはあなた達だということもよく分かっていますね。私達が特攻隊として御国の為喜んで散ってゆけるのは、後に数多くの皆さんが続いてくれるのを堅く信じているからです。今の皆さんであれば必ず出来る。
―陸軍大尉 渋谷健一(第六十四振武隊 S20.6.11 学童へ)
35
素子、素子は私の顔を見てよく笑ひましたよ。私の腕の中で眠りもしたし、またお風呂に入つたこともありました。素子が大きくなつて私のことが知りたい時は、お前のお母さん、佳代伯母様に私の事をよくお聴きなさい。
―海軍少尉 植村真久(大和隊 S19.10.26)
36
実に日本の国体は美しいものです。古典そのものよりも、神代の有無よりも、私はそれを信じた祖先達の純心そのものゝ歴史の姿を愛します。美しいと思ひます。国体とは祖先達の一番美しかつたものゝ蓄積です。
―海軍少尉 山口輝夫(第十二航戦水偵隊 S20.6.21)
37
君がため 御楯となりて この命 捨つべき秋の 来るうれしさ
―海軍中尉 田中正喜(徳島第二白菊隊 S20.5.28)
38
お父さん、さようなら、僕は、明日、日本のために死にます。(略)口答え一つしたことはなかったけれど、お父さんを好きだなんて言ったことはありませんでした。最後だから、言わせてください。
僕はお父さんが大好きです。
―海軍少尉 佐々木八郎(第一昭和隊 S20.4.14)
39
歴史の蹉跌は民族の滅亡ではありません。父上たちの長命を御祈りいたします。
かならず新しい日本が訪れるはずです。国民は死を急いではなりません。
では御機嫌よう。
輝夫
―海軍少尉 山口輝夫(第十二航戦水偵隊 S20.6.21)
40
自分みずから必殺の特攻となってその範を示す。希わくは志ある後輩われに続き、この危急存亡に当り護国の大任を果されんことを望む。
―海軍少将 有馬正文(第二十六航空戦隊司令官 S19.10.15)
41
私達にも若い血は流れてます。
好きな人も、思ふ人も、忘れ得ぬ思ひ出も多々あります。然しそれでは戦争には勝てません。美しい日本を何時迄も発展せしめ、米英の魔手から開放すること、それが吾々の喜びであり、又命日でもあるのです。
―陸軍少尉 鈴木重幸(第五十六振武隊 S20.5.11)
42
私は男として最初で最后の涙が出ました。母上様が雪のホームを走りましたね。その時です、私の名を呼びました。私は見えなくなるまで汽車の中で、とめどもとめども涙が流れてしかたがありませんでした。駅が二ツ三ツ通りすぎた事も知りませんでした。
―陸軍少尉 西長武志(第二十二振武隊 S20.4.6)
43
はっきり言ふが俺は好きで死ぬんぢやない。何の心に残る所なく死ぬんぢやない。国の前途が心配でたまらない。いやそれよりも父上、母上、そして君達の前途が心配だ。心配で心配でたまらない。
―海軍少候 大塚晟夫(第三草薙隊 S20.4.28 妹達へ)
44
勝たないまでも負けない。それが日本を亡国から救う道である。
そのためにはどうしても特攻が必要なのだ。
国民全部が特攻精神を発揮すれば、たとえ負けたとしても、日本は亡びない。そういうことなのだ。
―海軍中将 大西瀧治郎(第一連合基地航空隊司令官 S20.8.16自決)
45
上空通過、我が家ははっきり見えました。物干し台の上で黒いものが動いている。母さんが見送っているのかと思うと、いかに日本男子と言えどもこの時ばかりは悲しくなって、大声で「お母さん、お母さん」と叫び、五月雨のように涙が流れ出ました。
―海軍一飛曹 宮崎勝(第五神剣隊 S20.5.4)
46
私がいなくなったからとて、別に改まって考えないで下さい。(略)生きて居た時と同じ気持で私を取り扱って下さい。其れが只一つのお願いです。私は常にお母さんや皆と一緒に居たいのです。いや必ず必ずお母さんの胸の中に帰って来ます。
―陸軍中尉 小澤大蔵(第二十四振武隊 S20.4.29)
47
たとえ現代日本が実に文化的に貧困であろうとも、
また健全なるよき社会でなかろうとも、
欺瞞と不明朗の塊であろうとも、
我々日本人が、日本という島国を離れては、歴史的世界を持ち得ぬ人間である以上、泣言を言ってはならないのだ。
―海軍少尉 林尹夫(八〇一空 S20.7.28)
48
実に日本の国体は美しいものです。古典そのものよりも、神代の有無よりも、私はそれを信じた祖先達の純心そのものゝ歴史の姿を愛します。美しいと思ひます。国体とは祖先達の一番美しかつたものゝ蓄積です。
―海軍少尉 山口輝夫(第十二航戦水偵隊 S20.6.21)
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散る桜 残る桜も 散る桜
我々は、皇国最後の勝利を確信し、後に続く者を信じ、ここに春四月桜花の散ると共に散華いたします。
咲いた花なら散るのは覚悟、見事散らすぞ国の為。
―陸軍中尉 小澤大蔵(第二十四振武隊 S20.4.29)
50
たとえ途中にて墜されることがあっても、戦果はなくとも、二〇代の若武者が次から次へと特攻攻撃を連続し、ますらおの命をつみ重ねつみ重ねして、大和島根を守りぬくことができれば幸ではありませんか。
―海軍少尉 大石政則(八幡神忠隊 S20.4.16)