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昔友人が、乾燥わかめ一袋おやつの代わりだとそのまんまポリポリ食べて、完食後うまかったーとか言いながら水一杯飲んで病院に運ばれてった。
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冷えたグラスに熱々のお湯を入れると
割れてしまうように。
心が衰弱して落ち込んでいるひとに、熱々のポジティブを送り続けると、
壊れて元に戻らなくなります。
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「誰が宿題を出していないかのチェックを子どもにしてもらう。」「出していない人の名前を黒板に貼り出す。」
これかなり危険です。
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教育実習の時、本当に自分勝手で3歩歩けばトラブルを起こすような子がいた。落ち着きがなくて、机はいつも散らかって、授業に意識が向いたと思ったら邪魔するわ、物は壊すわですごく疎ましかった。「この子がいなければどんなに楽か」情けないけれど、そんな風にも思ってしまった。
つづく
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季節は初夏。じりじりと日差しが強まる頃、その子と一緒にクラスで栽培している畑の草抜きをすることになった。爪に土が挟まる。手が切れる。抜いても抜いても終わらない。「ああ、邪魔くさい雑草。」きっとあの子も、今に面倒くさくなるに違いない。そう思いながらその子に目をやると、
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その子は一生懸命、擦り切れた手で、何か喋りながら、丁寧にその雑草を抜いていた。
「これはススメノカタビラ、これは…」
「その雑草、名前があるの?」
「うん。あるよ。これはメヒシバ。」
「へええ、植物、好きなの?」
「うん、すき。おじいちゃんが好きだったから。」
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聞くと、小さい頃からおじいちゃんと山に行っては山菜をとって、その度に草木の名前を教えてくれたんだと。その頃から植物が好きになったんだと言っていた。あと草を抜きながら、昔のゲゲゲの鬼太郎も好きだと教えてくれた。今のリメイク版は?と聞くと、ネコ娘が可愛すぎる。と。
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嬉しかった。はじめて、その子の心が知れた気がした。
同時に、ぼくは小学生の頃、庭の畑の手入れをする、祖母の言葉を思い出していた。
「雑草なんて名前の植物はないんだよ。ひとつひとつ、ちゃんと名前をもってる。雑草という名になるのは、呼ぶ人のその心次第さ。」
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はっとした。
その子の内側を知らないまま「いなくなれば」なんて思っていた自分が恥ずかしくなった。その子を雑草だと決めつけ扱っていたのは、紛れもない自分だった。
「教えてくれて、ありがとう」
そう伝えると、その子は笑った。
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先日、そんなことがあったと故郷にいる祖母に伝えると、ひとしきり笑ったあと
「あなたは、本当によく覚えているね。ありがとう。あなたはやっぱり、先生に向いているよ。」と言ってくれた。
間違えてばかりの日々だけど
少しは祖母に近づけたのかな。
また漫画にしよう。
おしまい。
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教育実習の頃の話。
どれだけ教えてもやる気を出さない、むしろどんどんやる気を見せなくなっていく児童に対して「これだけ教えてあげてるのに!」と愚痴る私に、祖母が一言。
「どれだけ教えたか以上に、その伝え方がどれほどその子のやる気を削いでいるかに気付けなければ、教育者とは言えないよ。」