176
いわゆる水際対策は、政府はいつも「徹底」を口にする割に、どうしてこっそり緩むんだろう? 緩和することについて、きちんとしたアナウンスを聞いたことがない気がするのだけれど。
www3.nhk.or.jp/news/html/2021…
177
感染者数はたしかにすごいペースで減っているけれど、これで月末、緊急事態宣言を全国的に一気に解除、みたいなことをやると、勝利宣言みたいな間違ったメッセージが飛びそうなのが怖い。
178
「きちんと話し合えば仲良くなれる」
「ネット人格と社会人格は一貫している」
「議論することで相手の考えかたは変えられる」
こういう誤解を持ったまま、なれない人がSNSに接すると、かなり高い確率で狂人になる。
179
けっこう無理やり気味に見える全国一斉緊急事態宣言解除、あれをあえて推し進める理由は、「菅総理に男の花道を」的な、感染症対策としてはけっこうどうでもいいことが原動力に思えるのだけれど、どうなんだろう?
180
医師の評判というのはつまるところ、「患者さんを叱らない」「他科のドクターと丁寧に接する」の2つができていれば、かなり高い確率で「あの人はいい先生」の評判を獲得できる。バカみたいだけれど、これが両方できていない人がとても多いのがこの業界。
181
「日本の怪異は能力を持った人以外には見えず、一般人はひたすら恐れる。西洋のモンスターは見える驚異として集落を蹂躙、能力を持った人が脅威に対処する」的な文化の違いが、感染者が減少トレンドに入った状況での、マスクを継続する/すぐ外すの違いに影響しているのかなと思う。
182
初めて入ったラーメン屋さんで「いつもの」とだけ注文、出されたものが「チャーシュー麺の半ライスセットではなかった」と怒る人は単なる狂人だけれど、組織内の強者はこれに近いことをけっこうやらかす。
183
昔は「医師免許を持っている人は、よほど頭のおかしな人でない限り、なにか発言をするときには、それが医学的に妥当なものなのか、迷惑する患者さんは出ないのかを考える」みたいなことを無邪気に信じていたのだけれど、ここ2年でその信念は間違っているとよく分かった。
184
処方できる医薬品に欠品が目立つ問題は、最近むしろ悪化している。
これは不祥事をおこしたジェネリック医薬品メーカー単独の問題ではなく、構造的に限界が来ていた業界全体が、不祥事を契機にクラッシュしているのではないかと思う。
185
小林化工と日医工の問題は、たしかに大きかった。でもあの問題がニュースになった当初、個人的には「流通は数ヶ月単位でもとに戻るのだろう」と考えていた。むしろあれ以後、不備を指摘された会社の流通も戻らず、競合他社も薬剤の流通を増やすこともなく、じりじりと処方できない薬が増えていった。
186
結局の所、そもそもの薬価が安く設定されすぎて、不備を指摘された会社が今さら品質を向上しようにも資金的な体力はなく。海外からの薬剤原末を調達しても、医薬品用途ではなく、サプリメント用途のほうが圧倒的に調達価格が高く。今は薬剤の流通が減少、でも病院の薬剤調達価格は保険で固定され。
187
結果として今までなら当たり前に処方できた各種内服薬が、新規処方が困難になりつつあり、そうした薬剤はむしろ増えつつある。改善を望むなら、不祥事をやらかした企業に国のお金を注入、薬価を上積みしてそうした企業を潤さないといけないのだろうけれど、世論がそれを許すんだろうか?
188
市場原理を導入するのなら、病院ごとに内服薬の調達価格を自由化すればいいのだろうけれど、それをやるとたぶん、生きる/死ぬの問題が一番シビアな市中基幹病院から、調達できる内服薬が枯れていく。それを回避するのなら、米国みたいに、大病院に受診するコストが100万円からになったりする。
189
今のところ、変化はまだゆっくりだけれど、漸進的だという体感。ドルミカムに処方制限がかかった、という話を今日聞き、これはとても怖く感じている。
こればかりは政治の問題で、対処してほしい。
190
看護師の月収が医師の4割という話題、竹中平蔵の月収をベースにすれば、医師の月収は0.06竹中平蔵、看護師さんの月収は0.024竹中平蔵で、ほぼ誤差。
財務省はああいうところから首狩ってきてほしい。
191
「お金を配ってもどうせ貯金される」みたいな言い回しはなんだか国民が悪いようにも聞こえるけれど、雇用や政治の先行きに安心感があれば、お金が入れば使う。みんな不安だからこそ貯金する。
192
財務省のプランが「みんなで貧乏になれば支出が減る」一択なのを、本当にどうにかしてほしい。
国に政府がある理由というのは、そもそも「みんな豊かになりたい」じゃないのか。
193
次の波に備えるコロナ対策、今度こそ大手医薬品卸の人たちを、対策チームの中核に加えてほしい。一つの波を超え、どの薬剤をどれだけ使い、どれが不足し、代替品として手配できるのはどれなのか、あの人達はだいたい把握している。
194
薬局に処方箋を回しても、「この薬はありません」と返される機会が日常になりつつあるけれど、これは20年以上この仕事をやっていて初めてのこと。
自分が卒業してからごく最近まで、薬というのはあるのが当然で、「ありません」という返事は、たぶん離島勤務のドクターですら、聞いていなかったはず。
195
医師の給与を下げる話題、単純に診療報酬を減らしていくと、病院内で真っ先に割りを食うのは医事課の人や厨房の人、次にリハビリに関わる職種、その後看護師さんの順番で給与が下がるだけなんだと思う。医師の給与にたどり着く頃には、たぶん病院が維持できなくなってる。
196
今の診療報酬は、内容のほとんどが、医師が手を動かすことで報酬が発生する仕組みになっている。ようやく看護師さんが、病床あたりの人員体制を整えることで報酬が発生するようになったぐらい。
197
医事職員を大量に動員すればサービスは良くなるし、書類仕事の処理速度も向上する。でもそこをどれだけ充実させても、直接的に病院の診療報酬が向上することはない。
このあたりの仕組みから手を付けないと、医師の給与を削る、という目標は達成できない。
198
極論すると、医師がたくさんいて、一生懸命手を動かすと、それに見合った報酬が病院に発生する。
看護師さんは体制に見合った人数を揃えると報酬につながるけれど、一生懸命働いても、働かなくても、発生する報酬には差が出ない。
199
担当している施設が、昨年より次亜塩素酸の噴霧を開始、さらにフェイスシールドが義務化、さらに唾液抗原検査キットが義務化され、と迷走を続けていたのだけれど、ここに来て全部中止になった。本当に良かった。
200
「会議室で馬を目指すとラクダになる」的な警句があるけれど、合議の席で、善意に基づいた提案を排除すると、提案者の人格を排除することに繋がりかねない。善意は利益より難しい。馬を目指して馬を生み出すためには、「私はそれは嫌いです」と言える個人を置かないといけない。