袖の構造には目を見張るものがあります ケープ状の袖かと思いきや、内側に「隠し袖」が設けられます これは「ピボットスリーブ」と呼ばれる狩猟服に見られた設計です この隠し袖があることで可動域は抜群に広がります 3枚目の写真が、当時の実物です
3枚の写真から、袖の構造を探ります 腕を上げれば、この通り ケープの中から隠し袖が出てきます 例えば、お茶会でティーをすするとき、好みの紳士にお辞儀をするとき... この隠し袖が「所作を最も美しく魅せる」ことは間違いないでしょう 狩猟服の設計を、社交服に上手く落とし込んだ好例です
1860年アメリカ南北戦争 NY州民兵第7連隊「シルクストッキング」 歩兵隊のコートを紹介します 「上流階級」を意味するシルクストッキングは、民兵ながらも装飾美に凝った軍服を身に付けました コートには50個あまりのメタル釦と、銀糸のブレードが縫い付けられた贅沢なつくりです 細部を見ると...
まるでモップのように膨らんだエポレートは、鉄板のようにガチガチに固いです 裏返してみると、綿が幾重にも合わさり想像以上に厚みがあることが確認できます 先端には釦が付き、その裏に真鍮金具が縫い込まれ、肩のポケットにジョイントし固定します
4月13日から東京で開催する【半・分解展】では「フランス革命の紳士服」「ヴィクトリアンの婦人服」 そして「軍服の造形美」と、3つのテーマで展示をおこないます ただ見るだけでは知り得ない「感動」を、直に触れることで味わってください sites.google.com/view/demi-deco…
1855年創業 ルーヴル美術館の向かいにあるルーヴル百貨店が製作した19世紀の召使いの服「フットマン/リヴァリー」を紹介します 実は、貴族の服以上に目まぐるしくデザインが変化した召使いの服装 フランス革命を過ぎると、仕える主人よりも派手な服を着て「人間アクセサリー」の役割が与えられます
フットマンに求められた人材は、背が高く格好いい青年です 見栄えする人間に、さらに見栄えする衣装を着させて従わせることが、貴族のステータスのひとつでした コートやベストには金糸のブレードが縁取りされ、釦には仕える貴族の紋章が刻印されます
同じ召使いでも、例えば馬の世話など身の回りのことを任せれた者は「コーチマンズ」という制服を着ました シンプルな見た目ですが、衿の縞飾りと、お尻に並んだ釦が特徴です コーチマンズと違い、人前にでるフットマンが、如何に「魅せるためのアクセサリー」だったかは服装からも解ります
フランス革命を起こした市民たちが着用した18世紀の上着 「カルマニョール」の仕様書を無料公開します 貴族の服とは違って、なかなか日の目を見ない市民の服 ところが分解研究を進めるうちに、機能性を追究した市民の創意工夫が見えてきました 下記URLよりご覧ください rrr129annex.blogspot.com/p/spec.html
例えば、腕を通す「アームホールの設計」です 貴族は、優雅に乗馬やダンスをするために小さくつくります しかし、小さいアームホールは着用できる人が限られます 市民の服は、大きくつくることで「誰もが着られる」設計にしています 各寸法の比率から割り出しても明らかです
例えば「裾のプリーツ」 貴族の服は贅沢に布を使い、揺れ動くプリーツを設けます ところが市民の服にあるのは「プリーツ風の折り目」だけです 一見するとプリーツがあるように見えますが、実は内側で縫い込まれており、貴族のように風になびかせることは叶いません
「ポケット」も貴族と市民では大きく異なります 貴族の服は、胸の造形を崩さないために「お尻にポケット」をつくりました ところが、市民は実用性を重視し「胸の内側にポケット」をつくっています フランス革命を過ぎると造形美の変革が起き、貴族の服にも市民同様に胸の内ポケットが付き始めます
4月13日から渋谷で開催する【半・分解展】では、衣服の変遷250年分を展示します 当時の実物に、直に触れ、袖を通し、その美意識と機能性を「ご自身の身体」で味わってください 入場チケットは明日30日(火)より販売開始となります sites.google.com/view/demi-deco…
4月13日(火)より、渋谷にて【半・分解展 2021】を開催します 「フランス革命の紳士服」 「ヴィクトリアンの婦人服」 「軍服の造形美」 3つのテーマで展示します 本物に触れることでしか味わえない感動を体感してください 入場チケットはHPよりお求めください↓ sites.google.com/view/demi-deco…
「フランス革命の紳士服」では、革命前後でおきる「美の大転換」を表現します ロココの装飾美から、新古典主義の造形美へと移り変わる紳士服 華麗な刺繍が消え去り、逆三角形の誇張造形がもたらす構造の変化は、異質です 着心地も、現代衣服とは全く違い「気を付け」の姿勢ができません
「ヴィクトリアンの婦人服」では、貞操故の歪んだ美意識に着目します 「動けない」ではなく「動かない」ために設計された婦人服は、袖を通した瞬間に感じたことのない違和感に包まれるでしょう あらゆる手段で女性を縛る「静止の美」が、儚くも美しく映ります
「軍服の造形美」では、圧倒される異常構築を表現しています ただ戦うためだけの服ではなく「魅せるための服」としても機能する軍服は、内部構造に秘密が隠されます 分解して露になった異常とも思える服のつくりこみ 縫いが生み出す造形は、袖を通す全ての人を勇ましく仕立てあげるでしょう
1890年フランス 外交官が着た制服「ディプロマティック/コート」を紹介します まず目を奪われるのは、贅沢に施された「金モール刺繍」です 衿とカフスには、わざわざ「ベルベット生地」を重ねて刺繍をし、背面は腰全体に大迫力の刺繍がのります 外国に赴く重役ならではの美しい制服です
明日3日(土)は【 器 】がオープンします 器とは、毎月第一土曜日に渋谷にオープンする小さなコンセプトショップです 今回は「十九世紀の着心地」をテーマに、展示や販売をいたします 器は入場無料ですので、渋谷にお越しの際は覗いてみてください 器の詳細は↓ sites.google.com/view/dd-utsuwa…
軍服には「軍服特有の着心地」があります 現代のようなストレッチ性や柔らかさはありません 袖を通した瞬間に起こる「姿勢の変化」と、内面に起こる「感情の高ぶり」 実物に触れることでしか味わえない体験ではないでしょうか このコートは、NYのメトロポリタン美術館にも所蔵されています
半・分解展4月19、20日の2日間は「18世紀の婦人服 -ロココに溺れて-」という特別展示をおこないます @bibide_babide33 アトリエSHIONEが手掛けるロココ時代のドレス2点を展示します しかも20日の13時からは、代表の汐音さんがコスチュームを着て会場を闊歩するというカオス空間になります
半・分解展 4月14(水)、15(木)、24日(土)の3日間のみ特別展示【男たちの軍服展】をおこないます 3名の軍服マニアから、貴重なコレクションをお借りして展示します 金モール刺繍が美しいこちらは @ColonelStechkin さんの「フランス第一帝政 陸軍中将 大礼服」です sites.google.com/view/demi-deco…
1900年フランス 当時、多くの人々が日常着として着用した「フレンチ スモック」の型紙を無料公開します ダウンロード期間は12日(月)までとなります 和服にも通じる「直線裁ちの構造美」をぜひ自らの手でかたちにしてください 春夏物にピッタリの1着です DLは下記より↓ rrr129annex.blogspot.com/2021/04/fs.html
半・分解展の会場では、1770年~1940年までの衣服を3Dモデリングした映像を流します これは19世紀のイギリスの乗馬用スカート「サイドサドル」のモデリングです 特殊な乗馬の構造が、より深く理解できるかと思います もちろん試着もできるので合わせてお楽しみください sites.google.com/view/demi-deco…
1890年イギリス 紳士たちが着た「ケープコート」を紹介します こちらは私の服づくり教室「デミデコラボ」で、生徒さんが縫ったものです 着物に合わせて製作されました 1890年の製図書を基に、一緒につくりあげた一生モノです 本格的な服づくりは初めてとのことでしたが頑張って完成させましたね