懐中時計とチェーンの全貌は、このような形になっています チェーンの中間には「T字バー」が付くのがポイントです そして、スーツの下に着るベストのポケットに懐中時計を入れて、T字バーを引っかけていきます 一連の流れを紹介していきます ↓
まず、T字バーを釦ホールの中に入れ込みます (写真1、2) そして、釦をかけるのに邪魔にならないように端まで引きます (写真3) T字バーが落ちないように90度ひねって、固定します 裏から見るとこのようにセットされます (写真4) これが懐中時計とチェーンの、一連の流れになります
特に、T字バーから垂れ下がる「タッセル」は、スーツの中央で揺れ動くために、豊富なデザインが生み出されました 私が所有するものは、チェーンボールが連なった動きのあるタッセルです 中には宝石を埋め込んだものなどもあります 漆黒のスーツスタイルには欠かせない男の装飾だったのです
この僅かに見え隠れするチェーンが、19世紀の男たちにとって如何に重要な装飾品であったか? それはオー・ヘンリーの「賢者の贈り物」を読めばよく解ります 窪田等さんのYoutubeチャンネルで朗読されていますので、ぜひご視聴ください 美しい声に聴き入ってしまいますよ ↓ youtu.be/L6lsOYbJbcI
懐中時計にも注目してみましょう 古い機械式時計ですので、現代の時計に比べると、その重量に驚かれるかもしれません 6時の位置にある小さな文字盤は「スモール・セカンド」と呼ばれる秒針盤です 現代のように中心に3本の針を集約することが、技術的に難しかったために別で用意されているのです
メンテナンスがし易いように、裏蓋は簡単に開けることができます 基盤をよく見ると「SLOW」「FAST」と書かれています これは緩急針と呼ばれ、文字通り「時間の進みを遅くしたり早くしたりする」ために使います 機械式ならではの機構ですね 24時間を正確に刻めないので、緩急針で調整したのです
19世紀初頭 上流階級の紳士たちに欠かせないアイテムが、鹿革の乗馬ズボンでした ナレーション付きで解説しています 2分間の短い動画ですが、お楽しみいただければ幸いです
マリー・アントワネット や ナポレオン・ボナパルト が生きた時代の造形美に興味がある ↓ 当時の本物を、現地の美術館などから買い取る ↓ 分解し構造を研究し、また造形物に戻す ↓ それらの研究経過を一般公開し、生計を立てる #多分私しかやってない
1860年アメリカのクリノリンドレスを動画で紹介します 映画「風と共に去りぬ」の時代のドレスですね
19世紀イギリス陸軍の圧倒的な造形美 【肋骨服】を、1分30秒の動画で紹介します 簡単なナレーションも付けています 胸や袖口に縫い付けられたブレードの迫力に酔いしれてください
18世紀の「謎の粉」 1760年フランス貴族のコートを調べていたところ、ポケットの中から大量の白い粉がでてきました これは一体なんでしょう? 臭いはなく、舐めてみたところ舌がビリビリと痺れる刺激がありました 味の方は、初めに一瞬だけ強い甘さを感じました 体調は良好です
これまで18世紀から20世紀初頭の、さまざまな衣服や服飾小物を紹介してきました 過去Tweetのまとめをつくりましたので、ご覧ください 結構な量があるので、ちょっと読み込みに時間がかかるかもしれませんが情報量はタップリです Tweetまとめ↓ rrr129annex.blogspot.com/2018/12/m.html
1800年イギリスのシュミーズドレスを補修しています この時代の女性たちは、新古典主義の影響を受け、ありのままの身体の美しさを表現しました そのため衣服は、透けるほどに薄いコットンで仕立てられ、身体が露わになります あまりに繊細な生地のため、現存しているドレスは極わずかです
1790年~1800年のシュミーズドレスの文献を調べていると酷評の嵐です 裸同然のはしたない服 肺炎で死ぬ服 などなど その中でも「あれは空気の織物だ」と書かれているのを見て、思わず笑ってしまいました 写真左は、新たに所蔵品に加えた 1800年製のシュミーズドレスです 写真右はジョセフィーヌ
【半・分解展のアトリエ】を開催します テーマは「体感する美術史・文化史」です 当時の実物を用いて、18世紀から20世紀初頭を探検します 日程は、10月27,28,29の3日間 場所は渋谷になります 2時間半の熱狂的なプレゼンテーションをおこないます チケット購入はHPから↓ sites.google.com/view/dd--ateli…
以前、19世紀ヴィクトリア朝の【懐中時計とチェーン】についてTweetしました 近々、変わったタイプのチェーンも紹介します 装飾を削ぎ落とした当時の紳士服のなかで、懐中時計とチェーンは特別なアイテムでした 特に、表に露出するチェーンには、個性的なものがいくつも存在したのです
19世紀ヴィクトリア朝 【髪の毛でつくられた懐中時計のチェーン】を紹介します 大切な人への贈り物に、自身の毛髪を渡すのはいかがでしょうか? 現代の感覚ですと不気味に感じますが、100年ちょっと前はポピュラーな風習でした 今回は、ヘアジュエリーの文化と、毛髪チェーンに迫ります
ヴィクトリア朝においてヘアジュエリーは最盛期を迎えます ブローチにピンバッチ、ブレスレットに指輪などあらゆる装飾品が毛髪でつくられました 死後に腐敗することのない毛髪は、故人を悼む物質として最適でした 19世紀の紳士には欠かせない「懐中時計のチェーン」も、毛髪で編まれたのです
このチェーンは、1880年頃アメリカのものです 毛髪で編まれたチェーンは、耐久性アップのためか二重でつながれています そして中央に小さく付くチャームのなかには、妻とおぼしき婦人の写真が入っています (18世紀のフランスだったら愛人の肖像画だったでしょう)
このようなヘアジュエリーは、故人のみならず存命中の仲の良い友人同士で渡すこともあったそうです 写真のものは1850年ごろ「毛髪ブローチ」 V&A所蔵 ヘアジュエリーの需要は大きく、専門の業者までもが存在しました 業者は依頼主から髪の毛を預かり、保証書を付けて納品していました
紳士の懐中時計 第三弾 今回は、19世紀前半まで遡ります 新古典主義を生きた男たちの腰にぶら下がった謎の物体 一体これはなんでしょう 電子メールも電話もない時代だからこそ「己の証明」が必要でした 時を刻む懐中時計と共に、身分証明として欠かせなかった男の装飾品に迫ります
この物体の正体は「シグネット」と「ウォッチキー」です つまり、印章とゼンマイ回し 印章は、現代でいうところの印鑑 ゼンマイ回しは、その名の通り懐中時計のゼンマイを締めるための鍵です この2つはアッパークラスの紳士には必要不可欠であり多くの場合、懐中時計と共に繋がれました
では、こちらのシグネットはどのように使うのでしょうか 「血の石」と呼ばれ流行したブラッドストーンが埋め込まれ、イニシャルが刻印してあります 赤い斑点模様が、血の石と呼ばれる所以です これを、どう使用するかというと・・・
「封蝋」のために使います 当時の伝達手段であった手紙が覗き見されないために、自分自身が封をした証明のために、シグネットによる封蝋が行われました 現代でも「シーリングワックス」として雑貨に売っていますよね
こちらは「ボーブランメル」と呼ばれる、19世紀の紳士ファッションを築いた人物です 彼が履いているのは、鹿革のズボンです 腰に注目してください シグネットとウォッチキーが確認できますね このようなズボンには必ず「フォブポケット」と言われる懐中時計専用のポケットがありました