1900年ヴィクトリア朝 驚くべきギミックが隠された【サイクリング スカート】を紹介します 産業革命の影響により、女性たちは続々と社会進出を果たします ヴィクトリア女王が娘たちに自転車を買い与えたことにより、新たなスカートの開発が進みました まるで袴のようなデザインに隠された意図とは?
一見ただのスカートに見えますが、構造的には「袴のようなズボンの、前側にスカート布が付いている」状態です 写真2の通り、前を持ち上げてみると、中からズボンが出てきます こうすることで自転車に跨っても、布が垂直に落ちて " 足を隠しながら " 快適にペダリングすることが可能になりました
サイクリングスカートは別名「スプリットスカート」とも呼ばれ、さまざまな種類が発明され特許が取得されました なかには複雑怪奇なものも多く、とても不思議な構造をしています 例えば写真3は、1895年5月28日に特許を取得した「ニッカーボッカーズと合体したスカート」の型紙です 地獄です
1892年イギリス ジャパニーズスリーブの異名を持つ上着【ヴィジット】 袖の部分に、手刺繍を施しました 同年代ヴィクトリア朝の直物モチーフを参考に刺しました 生地と同色のフランス刺繍糸を使っています 厚いウール地に負けないよう、太い糸で立体的に刺しています とても上品に仕上がりました
Instagramの【分解図鑑】を更新しました @kohar1nezu3 さんが製作した「ヴィジット」をアップしています ヴィジットを和装アレンジして、被布衿にデザインしています 分解図鑑では【半・分解展の型紙】を使い、皆さんがつくった作品をアーカイブしています ↓ instagram.com/demi.deconstru…
1880年フランス 女性用外套【ケープコート】を紹介します 上品でしなやかなウール素材でつくられたコートです 19世紀末の女性たちのあいだで流行った、お尻を膨らます「バッスル」 その分量を覆うために、背中の布が贅沢に使われており美しいドレープがなびいています
1880年イギリス お尻を膨らます補正下着【ロブスターテイル・バッスル】を紹介します 1880年ごろから、お尻部分を膨らましたスタイルが大流行します その造形を実現するため、スカートの下に装着したのが「バッスル」です 実はこれ「ちょうちん」みたいにパタパタと折り畳めるんですよ
19世紀末ヴィクトリア朝 淑女の便利グッズ【スカート リフター】を紹介します 1860年ごろから、乗馬やクリケットなどスポーツに励む女性が増えてきました しかし、丈の長いスカートは女性の動きを制限します そこで開発されたのが「スカートリフター」です スカートを「たくし上げて」解決しました
特に、乗馬においては「極端に長いスカート」が好まれました 乗馬時に美しく脚を隠すためです しかし、馬から降りれば大量の布が邪魔で歩行ができません しかたなく女性は片手で、自らのスカートを持ち上げて行動しなければなりませんでした
そんな煩わしさを一掃したのが、スカートリフターなのですね ウエストに引っ掛けておけば、馬から降りてすぐにスカートをたくし上げることができます スカートリフターは、真鍮や銀メッキで製造され、機能性はもとより【装飾性】にも富んだ便利グッズでした
1870年ごろは直接生地にピンを刺して留める構造だったようですが、生地が傷むと不評でした そこで、ゴムパッキンで挟む構造に修正されてから大流行したといいます また、側面には溝が掘ってあり「カチャッ」と音を立て、しっかりと生地を固定することができます 乗馬用の生地は、ぶ厚いですからね
19世紀ヴィクトリア朝の便利グッズ 【シャトレーヌ】を紹介します 洋裁道具にメモ帳、ペン そして大切な鍵まで、全部ひとまとめになった装飾品です 労働者から上流階級まで幅広い層が、用途に合わせて装着しました 機能性よりも「装飾美」を追究した贅沢なアクセサリーを、詳しく紹介します
私が所有するシャトレーヌは真鍮製で、すごく重いです 意匠も凝っており、上流階級のシャトレーヌで間違いないでしょう 例えばメモ帳とペンを見てください(写真2,3) 皆さんのメモ帳は紙ですか? 19世紀お金持ちのメモ帳は「象牙」です 象牙を薄く切ってメモ帳にするって、誰が考えたんですか
シャトレーヌは持ち主の仕事や嗜好によって、付属品を付け替えることができました 私が探し求めていたのは、洋裁に特化した【ソーイング シャトレーヌ】です この3点セットがソーイングシャトレーヌの基本構成です まあ、ハサミはわかりますよね では、残りの2つは何だと思います?
このカップみたいなものは「指ぬき」を入れる専用ケースです 指ぬきとは、指先に装着し針を縫い進めるために使います 縫い物をする人なら、なくてはならない道具です ケースのなかに緑色のフェルトが仕込まれており、その中に指ぬきが鎮座しています こんな待遇の指ぬき、現代にあります?
そして、この丸い物体が「ピンクッション」です 洋裁で使用する針を刺しておくものですね 構造は、フェルトを真鍮でサンドイッチするという単純かつ、見栄え重視なつくりです なんたって、側面にしかフェルトが露出しないので、普通に使い辛いですからね ただ針を刺そうと思うと真鍮が邪魔します
ソーイングシャトレーヌには、別添えで「ニードルケース」が付く場合があります あの使い辛いピンクッションには刺しきれない針を保管しておくためのケースです 画像1枚目の左側にある筒状のものがそうです 蓋がチェーンと一体化しているので、蓋が外れて針が散乱しないようになっています
鍵も3つ付いています まさに「シャトレーヌ」の歴史は、鍵にあります 大抵宅の女主人が「鍵束を腰をぶら下げていた」ことから、シャトレーヌが誕生したといいます ゲストをお招きする女主人を象徴する鍵束は、若い女性の憧れの対象でもあったようです
そして最後に、フックとナイフ?です 実はこれもヴィクトリア朝を表すアイテムです フックは、当時流行した「ボタン着脱のブーツ」を着脱するために必須でした ナイフは、サバイバルに使うわけもなく「マニキュアナイフ」としてポピュラーでした どちらもシャトレーヌには良く付けられていました
ぜひ、半・分解展で本物のシャトレーヌを味わってください 贅沢で機能的で重く美しい、興味深いアクセサリーです 20世紀に入り女性の「ハンドバック」が普及すると、お世辞にも実用的とは言えなかったシャトレーヌは姿を消します 歩く度にジャラジャラして、まあうるさいんです
19世紀ヴィクトリア朝 上流階級の女性が装着した【スペクタル ケース】を紹介します これ何だと思います? 実は【眼鏡ケース】なんです 18世紀から眼鏡は徐々に一般化し、19世紀半ばには「腰にぶら下げる眼鏡ケース」が流行しました なんで腰かというと、細いウエストに視線を集めるためでした
銀メッキが施されたケースには、緻密な模様が刻印されています 外側はとても固く丈夫につくられており、内側は眼鏡を守るために「真紅のベルベット」生地が仕込まれています 博学のシンボルとされた眼鏡は、ヴィクトリア朝のマダムによって、贅沢なアクセサリーへと変貌しました
生活必需品を腰にぶら下げることは、クリノリン期(1850年頃)から流行します クリノリンの特徴は、まさに「細く締め上げたウエスト」なんですね もちろん腰から下げることは利便性もありましたが、アッパークラスからは「装飾美」としての役割が求められました パンチ誌の風刺対象にもなっています
紳士のあいだでは片眼鏡や鼻眼鏡が流行し、淑女のあいだでは柄付き眼鏡「ローネット」が流行しました また香水眼鏡、扇子眼鏡など謎の産物が多数生まれます この眼鏡ケースは、耳に掛けるオーソドックスなタイプを収納するものです 眼鏡がオーソドックスな分、ケースにお金を掛けたのでしょうか
3日連続で、ヴィクトリア朝のさまざまな「腰からぶら下げる装飾品」を紹介しました 皆さんは、どれが気に入りましたか? 本物を実際に見たい、触りたいという方は、ぜひ【半・分解展】にお越しください 本日13日で早割チケットが販売終了となります 購入はHPより↓ sites.google.com/view/demi-deco…