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「ウイルスを怖がってた人が緊急事態宣言が解除された途端街に繰り出して密になっているの、怖がってたのはウイルスでなく他人の目だったのでは」という話、以前は本気でウイルスが怖かったし、今は本気で怖くなくなったのだと思うんだよな。社会の雰囲気に合わせて本気で怖くなり本気で安心するのだ。
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上記インタビューを読むだけでも、「同じ中年男でも自分はこんなに高い倫理観で身綺麗にしているのに、お前らみたいな教え魔おじさんがいるおかげでこの素晴らしいソロキャンプという趣味の世界に女性がなかなか増えないんだ」と怒り心頭なのではないかということが伝わってくる。
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そしてあのCMには、例えば「スポーツできる子とできない子の格差」「卓越した身体能力のエリート主義」「海外に移住するような意識の高さと能力のある親世代」「日本人同士のいじめ」みたいなものは描かれないわけです。NIKEはスポーツ用品を扱う国際企業なので。
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「謝る」ということを無意味にしてしまった結果がいまの日本政治の「意図的に見当違いの答弁で押し通す」手法の蔓延とそれによる停滞や専横だと思うのだが(考えてみれば本邦の政治は30年前にキャンセルカルチャーが吹き荒れていた)、学問も政治と同じ道を辿ってしまうのかね。
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仮想水という概念があるよな。農作物の輸出入は、その作物の育成に必要な真水をも実質的に取引きしている(この真水を仮想水と捉える)のだ、という考え方だ。子供への投資はこの仮想水に似ている。子供を納税者に育てるコストそれ自体が実質的に国へ納税しているようなもの、仮想税なんじゃないのか。
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しかしなあ、そうした心の動きを自覚して、抑制するなり、そうした状況を避けるなりしない限り、恋愛はあっという間に「好きを人質にした搾取」という認識に落ち込み自由意志など無くなって(無いとしか感じられなくなって)しまう。気持ちに流される「だけ」の人間に自由意志を持つことはむつかしい。
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自分はもともと不適切な比喩で更迭されるという流れには賛同しないのだけど、もはや不適切な比喩を使ったら更迭するものという慣例が成立してしまい、それ自体が力を持って後続の例を作り続けてしまっている。また、言葉から内心を推し量った上でその内心を裁く、というやり方も恐ろしいものに思える。
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「母と息子のお泊まりデート」「息子はママの小さな彼氏」は冗談だからセーフでも「父と娘のお泊まりデート」「娘はパパの小さな彼女」は冗談でもアウトになるのだろうな。
しかし息子を小さな彼氏に仕立てたがる女性ほど、異性としてのマザコン男に対する攻撃性が高そうな気がするのは偏見だろうか。
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この件でキャンセルに一斉になだれ込んだ人たちへ向けて反省しろみたいな意見が出ているけど、キャンセルしてやった側にしてみれば、正義が為されたのに何を反省する必要があるものかと思ってるのではないのかな。まあ、自分の「危なそうな記事」をしれっと消すくらいには後ろ暗い人もいるようだけど。 twitter.com/aruto250/statu…
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『よつばと!』の新刊を読んだが、読み始めた頃は気が付かなかったこと…つまりこの漫画が都市型リベラルのための作品であるとか、描かれる世界の高文化であるとか、経済的な豊かさであるとか、そういう格差みたいなことばかりが見えるようになってしまい、もう純粋には楽しめなくなってしまったな。
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「BL/百合にも色々ある」という意見も多いけど、それならもうそれはBL/百合と呼ばなくていいじゃん…と思うのだが、みんなどうしても名前を付けたいのだな。名前のないモヤモヤしたものを名前のないモヤモヤしたもののまま取り扱うのは疲れるのだろう。BL/百合という箱に入れてスッキリしたいのだ。
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だから陰謀は、たぶん無いのですよ。コツコツと積み上げられた「正義」の勝利なのですよ。もちろんトランプ支持者も同様のことを、チャンスがある限りやったでしょうが、「賢さ」「有能さ」「社会的地位」みたいな点で圧倒的に勝てなかった。そういう戦いだったのだと思いますね。
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校則について「おしゃれを禁止する校則は、校則で禁止されたくらいでおしゃれを諦めるようなバイタリティの低い個体をふるいにかけるためにある」という話があったが、反出生主義はまさに「生殖を禁止する校則」のようにバイタリティの低い個体を選別するふるいとして作用している。
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新成人や中高生は新型コロナウイルス感染症を恐れてはいないんだよな。彼らが外出や外食を控えるのはひとえに「犯人捜し」を恐れるのと、同時にそれが「社会貢献」なのだと思う生真面目さからで。この我慢や「貢献」に報いがなかったと彼らが感じたとき、社会不信が世代の記憶・性質になるのだろう。
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キャンセルカルチャー全般に感じるのが、この動物みたいな興奮状態なんだよな。何をどこまでやると何処にどの程度影響が出るか、みたいな思慮が感じられず、ただ問題の見つかった人間をそのつど追放していけばいつか社会が変わるんだと、性交のチャンスを目前にした男子のように知能が低下してしまう。
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また続くツイートを見るに、この父親は暗に「賢い方がえらい」という判断もしており、その上で「女子の方が男子より賢い、むしろ全年代で女性の方が賢い」とお考えのようで、「息子を産んだ母親が反フェミになる」の逆で「娘を持った父親がフェミ騎士になる」のパターンなのかなあとも思わされる。
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下の世代の不満もそれなりの部分が「(俺たちより数が多い)氷河期世代が社会を変えておいてくれれば俺たちがもっと報われる社会になっていたろうに」という他力本願に由来するように思え、そういう意味では世に流されただけの氷河期世代のメンタリティと同じで、同類を批判できるのかという気はする。
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「例え面白くてもフェミニズムへの理解が足りない人の創作は評価できない」という話に対し「そういう文化的コードで足切りするのは階級しぐさでは」と批判したら「フェミニズムを攻撃してもあなたの人生は良くなりませんよ」と返されたの、これ相当な色眼鏡で失礼なことを言われたのではないか。
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どちらが「正しい」とか以前に、これは日本でもどこでも、現代的価値観というやつが都市型生活者に有利になり過ぎるわけですよ。これは現実問題として解決されなければならないはずなのだけど、転居の自由をたてに「なら都市に引っ越せば良いのにその努力をしないのが悪いだけ」にされてしまう。
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だけど「自分らしく生きなければ生きる意味がない」「自分らしく生きなければ自分の人生を生きたことにならない」「自分の人生は一度きりなのだから自分らしく生きなければ取り返しがつかない」と、焦りを植え付けてくるんだよな。あなたは自由なんだから、自由を最大限使わなきゃいけないんだよ!と。
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自分は世界の複雑さに耐えられないので、「陰謀論にハマるのは世界の複雑さに耐えられない人間である」という単純な図式に飛びついてしまいたくなる。バカなあいつらとバカに困らされる思慮深い自分、みたいな陰謀論者への軽蔑ありきの図式には甘い蜜のような誘惑を感じる。
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そして旧エヴァでは庵野監督がシンジ君になっていたけれど、今回は完全にゲンドウが監督ですね。自分はこんなダメ人間だったけど理想の伴侶が突然降ってきて幸せになりました、って、そんな監督の幸運な人生を作品に仮託して語られてもどうしたらいいのか。カルト作品の完結編でしていい仕打ちなのか。
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クラスで成績は優秀、進学校狙いで、普段は「君たちみたいに勉強が苦手な人は将来苦労しそう(笑)」とか言っているような人が、9月になって夏休みの宿題も終わらせておらずに「始業式の日を誰も教えてくれなかった!」なんて泣いていたら理解に苦しむと思うのだが、まさにそういうことに見える。
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似ていると指摘される「ギザギザハートの子守歌」と比べると、両方とも社会へ馴染めない感覚を歌いながらも、ギザギザハートの方は「オレはバカだからわかんねーけどよ」だったものが「賢い私がバカなお前らに付き合わされてうんざりするんだよ」に、目線が反転しているのが世代の差なんだろうなあ。
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社会学について「研究とその社会実装の先端にいる若手研究者」という物言いを見たが、なるほどなあ、そうした特権的地位を勝手に自分達に任じ、その崇高な使命感に陶酔しているわけだ。かつての学生運動の一番始末の悪い意識の核と同じものが、21世紀的なお行儀のよさの上で再演されているわけだな。