301
失言を撤回した元総理に対して「撤回したからといって許されると思うな」という批判が集中していた。そしてまた、男性を集めて女性に対し反省の意を示させるイベントにも「反省したくらいで許されると思うな」という批判が集まっている。
この「許さない」というのがキャンセルカルチャーなのだよな。
302
「育児は地域でするものだったが、地域が育児の負担を嫌がった結果が育児放棄で死ぬ子供だ」という話を見てその通りだと思ったのだが、同時に「育児で他人に口を出してほしくない」という欲求が、育児を「他人の助けを借りずにするもの」「他人が口を出してはならないもの」にすることを後押しした。
303
ここらへんの構造は、よく批判されている「賃金が労働ではなく苦痛への対価になっている」というのと相似形に思えるな。「苦痛に共感できない相手の苦痛は対価に反映されない(無能の低賃金は自業自得なのでいくら苦痛だろうと評価に値しない)」という構造も同様に内包していそうではある。
304
「不寛容に不寛容でなければならない」というたったひとつの小さな穴から、ありとあらゆる汚泥が流れ込んで広がっている。「寛容」というお題目を掲げることが、そのお題目を掲げる人間の倫理性を何ら保証しなくなってしまっていることに、当のお題目を掲げている人間だけが気付いていない。
305
それにしても、「WTに参加した多くの方が心身ともに苦しめられた」という物言いは、いったいWTというものに何を期待していたのか。「おぞましいものを排除するためなら議論を尽くし境界をはっきりさせるなどという手続きを遵守する必要はない」という価値観の一致を確かめ合い結束を高める儀式か。
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「ウイルスを怖がってた人が緊急事態宣言が解除された途端街に繰り出して密になっているの、怖がってたのはウイルスでなく他人の目だったのでは」という話、以前は本気でウイルスが怖かったし、今は本気で怖くなくなったのだと思うんだよな。社会の雰囲気に合わせて本気で怖くなり本気で安心するのだ。
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このあたり、いつの間にか地位や権威をまとい「親分」としての貫目が求められる立場まで来てしまったにもかかわらず、「弱者」「被害者」「反体制側」という自己認識を改めることが難しいためにねじれや歪みを生じてしまっている現代的なあれやこれやと同じ軌跡を辿っているのだろうな、と思わされる。
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ただ「議員に学力テストを受けさせて足切りしろという発言がどういう意味・反応を呼び起こすか」を考えない/「正論」で押しきってしまえばいいと考えてしまう、というあたりがお勉強のできる人達の限界であり、恐ろしいところだよなあ。「本来そうなるべきところを我慢してやってるのに」感がまた…。
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そして旧エヴァでは庵野監督がシンジ君になっていたけれど、今回は完全にゲンドウが監督ですね。自分はこんなダメ人間だったけど理想の伴侶が突然降ってきて幸せになりました、って、そんな監督の幸運な人生を作品に仮託して語られてもどうしたらいいのか。カルト作品の完結編でしていい仕打ちなのか。
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@wak 個人的には言語化して共有したくないというより、言語化することによって失われてしまう何か、言語(日本語)という箱に納めるために削ぎ落とされてしまう部分に含まれる何かを大事にしたいのだと思っています。これは共有しなくとも内心で言語化するだけで起きてしまうし、まして借り物の言葉では。
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『よつばと!』の新刊を読んだが、読み始めた頃は気が付かなかったこと…つまりこの漫画が都市型リベラルのための作品であるとか、描かれる世界の高文化であるとか、経済的な豊かさであるとか、そういう格差みたいなことばかりが見えるようになってしまい、もう純粋には楽しめなくなってしまったな。
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NIKEのCMは確かに様々な描写が暗示に留めてあるけど「どこに批判される要素があるのか全く分からない」というのも極端な主張に思える。
が、しかし「全く分からない」と主張すること自体に意味があるのだよな。「私はあいつらとは感覚レベルで分かり合えないくらいに『こちら側』の人間です」という。
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女性には内なる男性性があり、男性にも内なる女性性があるわけですよね。ここ30年ほど、ケアの問題や女性への配慮などで「男性は内なる女性性をもっと引き出せ、伸長させろ」という要求が高まり続けている一方、女性の内なる男性性については「そんなものは存在しない」という扱いになっているけれど。
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ただまあ、キモいキモい言ってる人はあまり子供を産むことを望んでいない人ではないかなあ…という印象を受けるので、そこはNZの有名な「この法案は関係がある人には素晴らしいものですが、関係ない人にはただ、今までどおりの人生が続くだけです。」という演説を送ってあげれば良いのかも知れない。
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クラスで成績は優秀、進学校狙いで、普段は「君たちみたいに勉強が苦手な人は将来苦労しそう(笑)」とか言っているような人が、9月になって夏休みの宿題も終わらせておらずに「始業式の日を誰も教えてくれなかった!」なんて泣いていたら理解に苦しむと思うのだが、まさにそういうことに見える。
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良い子にしていなさいと言われ、ならば良い子にしていたら周囲が色々と報いてくれるのだと思い込み、頑張って良い子をやっていたけれど、そうしたら実際には「手のかからない人間」として気配りの対象から外されただけ、顧みなくてもいい人間として誰からも気にされない存在になっただけ。という。
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散々言われているけども、こういう経済力も知性も美しさも持った高い階層の人間が、道徳的に正しい消費活動をしてさらに道徳的な基盤を強化するということのために、店員という労働者階級の人間の負担をかけることが当然のこと、むしろ労働者側の不道徳を正す善行、みたいになっているわけですよね。 twitter.com/Ryang_Fang4/st…
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こういう議論をみていても思うけれど「男性の性欲は環境と刷り込みによるもの」という認識が流通するようになれば、次に来るのは「男性の性欲は『治療』可能なもの・『治療』すべきものだ」という論だろうな。(特定の形でない)性欲がある状態そのものが病的である、という。
togetter.com/li/1878287
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異性経験が無いままそれなりの歳になると周囲が「恋愛だけが人生じゃないもんね、そういう生き方もありだよね!」みたいな反応になり逆に残酷なのだが、こうした「恋愛に興味ない人と決めてかかる」扱いは、「恋愛したいのにできてない人は怖い」というフレームから逃れるための挙動なのだよな。
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とは言え「最初から"そういうビジネスをする相手"として会って契約した」ならともかく…というような話が続いていたので、物の売買はこちらに当たるのだろう。となるとトイレの件は「性行為に応じれば愛をあげるよ、という契約があったはずなのに履行しない不正行為」という暗黙の前提があるわけだな。
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世代論にしてしまうのは安易とは思いつつも、氷河期前後の世代のお行儀の良さに比べ、団塊世代(1947年生まれは74歳)の自己中心ぶりよ…と思わずにいられないグラフだなこれは。若者は自重しろ、とはなんだったのか。
www3.nhk.or.jp/shutoken-news/…
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宅八郎がキモオタのフリをしてとんねるずみたいなのにイジってもらってTVに出るわけだ。すると翌日には日本中のとんねるずワナビーが自分の身近にいるオタクに目をつけて、「お前もカバンからマジックハンド出して見せろよ、お前今日からハチローな、返事しろハチロー!」とかやる。本当に酷かった。
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Twitterやfacebookがトランプの発言を制限するのも、企業がトランプ支持者と判明した従業員を解雇するのも、大学が共和党支持者と判明した学者をパージするのも、それぞれが自分の権能の及ぶ範囲で素朴に「正義」をなす人々による草の根運動なのだよな。それが米国の随所にあってトランプを倒した。
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ビジネスに悪影響があるかどうかしか考えない人間が、表現物の実在・非実在なんかを気にするとは思えないんだよな。海外の決済会社ならなおさらだ。政治的正しさに従わないつもりか、というクレームが付けばあっさり折れて(どころか社会的評価欲しさに自発的に折れて)しまうんじゃないのか。
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見知らぬ男が一人で歩いていると常に不審者を見るような目で警戒されるけれど、女性を伴っていると警戒レベルが一気に下がる。これはそれだけ「女性の何でもありな選別をくぐりぬけられた男なら危険ではないだろう」と社会に受け止められるからなんだよな。女性が身をもって男の品質を保証している。