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「データ分析できる人材が足りないんだけどどうすればいいか」みたいな話を大企業の偉い人からしばしば相談されるんだけど、「若手社員がどんな卒論書いたか組織的に把握されてます?」と聞いてYesと答えられた事がない。意外に卒論で調査設計してデータ分析してる人材たくさんいるんですけどね。
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個人的に一番ヤバいと思うのが、大企業が学生時代に名門大学でSPSS触って卒論書いてた人にお茶くみさせたりしてる一方で、IBMから買ったSPSS使うために高い人月単価で「SPSS使える人」を外注してるパターン。
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「男女間で本来数学的能力に違いはありません!」って話を事前にしただけで女子生徒の数学のテストスコアが上昇する、という研究があり、差別やステレオタイプが本来の能力の枷になってると考察されてる。世界中に優秀なエンジニアはたくさん必要なので、みんな「違いありません!」て言い続けるべき。
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「世の中にムカつけるかどうか」って、新しいことやる上での重要な能力の1つではないか。先進国全般既に有史以来最高レベルに安全で、民主的で、知的で、健康で、食べ物美味しいし娯楽も充実してるのに、それでもムカつける人はそれだけで視点が未来の「もっと恵まれてる世界」目線な可能性がある。
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エアコンの温度を27.5度から25度に下げただけで作業効率が4%ぐらい上がる、という研究が本気であるので、社会人の皆さんは「働き方改革だ!生産性向上だ!」と言いながらクーラーをガンガンかけるといいと思う。jstage.jst.go.jp/article/aije/7…
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統計上、熊による死亡者(年間0~4人程度)よりもスズメバチによる死亡者数の方が多いし、それよりモチをのどにつまらせて亡くなる人の方が多い。さらに多いのが熱中症による死亡者で、毎年数百人、猛暑だった2010年には1700人ぐらい亡くなってる。我々は熊の千倍ぐらい夏の太陽を警戒すべきである。
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文科省は平成26年の時点で既に「暑さ指数が28度超えたら激しい運動は中止」「市販のスポーツドリンク飲むのもアリ」って資料を出している。学校の対応に不満のある親御さんは、これを根拠に「文科省の方針破る合理的な理由があるなら教えなさい」て問い合わせるといいのかも。jpnsport.go.jp/anzen/default.…
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詳しい話は『経済政策で人は死ぬか』という本読んで欲しいんですけど、世の「貧しくても心豊かに」みたいな話は幻想であり、貧困やそれもたらす経済崩壊はリアルに人の死亡率や精神疾患の発症率を増やしうる。産業政策もましてや保健政策も「ちゃんとしないと人が死ぬ」って危機感持って決めてほしい。
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10年前ぐらいのOECDのレポートで既に、日本が取るべき少子化対策は「公的保育サービスの定員数を今の倍ぐらいにあげる」「現金給付や税控除を通して子供がいようがいまいが可処分所得が変わらないようにする」という二点で、これ実現できれば出生率2.0になりうるという推計がなされてる。
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なお「公的保育サービスの定員が今の倍」も「子供の有無で可処分所得が変わらない」も何ら非現実的な目標などではなく「OECD諸国のいくつかは既に達成済み」という水準である。
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OECDのレポートに目も通さずに少子化問題に対して「女性の社会進出が~」とか、「若者が草食系だから~」とか、「アニメやマンガの影響で~」とか言ってる「有識者」は、一体何を識ってるんでしょうねー。
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アメリカの経営学者が書いた本の中で、「優秀な人を引き抜いたのに期待ほどの成果をあげない」という現象が紹介されており、理由は「前職場でサポートする人たちあっての好成績だったから」だったそうだ。我々が「すごい個人」と認識してる人もただ「すごいチームのフロントマン」である可能性がある。
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多くの人はそう言われると断念するけど、逆に大抵の人類が思いつく製品は理論上「無制限にリソースつっこめば可能」というところに勇気がわきませんか。そういういくつものアイディアの中からたまたま技術の進歩によって「あ!今なら案外現実的なリソースで!」っていうのが新事業のネタになると思う。
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エンジニアが「めちゃくちゃ難しいし面倒だけど理論上不可能ではない事」を「技術的には可能」と答えると「じゃあやって」てマネージャーや顧客に返されてしまう問題、自分は代わりに「無制限にリソースつっこめば可能ですよ」て答えてる。こういう相手は大抵HowじゃなくHow muchを考える立場なので。
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あとPerl開発したラリー・ウォールも言うようにプログラマーの美徳は「怠惰・短気・傲慢」なので、初等教育の思想的なプロトコルをこっちサイドに寄せてこないと、最悪の場合「本来向いてたはずの子がプログラミングを嫌いになる」という結果にもなりそう。
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「子どもたちがプログラミング学ぶとよい」という話には同意するけど、「だから学校で先生が教えよう」という考え方はITの良さに真っ向から対立するような気がしてる。これだけ国内外に無料でプログラミング学べる良いWebサービスがあるのに、なんで専門外の人間に教えたり評価させたりするの?と。
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意外に初等教育でプログラミング覚えさせるベストプラクティスは学校におけるITへのアクセシビリティだけ整備した上で全く学校でプログラミング教えず、「宿題をIT駆使してズルく解いた子を賞賛する」ことではないかと。怠惰で短気な子ほどズルいソリューションに到達してどんどん宿題を効率化しそう。
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Googleの人事責任者の本でも引用されてたし彼らも実際その方針取ってるらしいんだけど、過去85年分の研究整理した結果「何となく志望動機を聞く」みたいな構造化されてない面接って大して採用後のパフォーマンスを予測できないというエビデンスはもっと世に知られるべきだ。citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/downlo…
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より正確に言うとSPIみたいな認知能力テスト単体での予測精度と、(「何となく志望動機を聞く」みたいな)非構造化面接と認知能力テストを組み合わせた場合の予測精度は「ほぼ一緒」というレベルである。それより「仕事の一部切り出して試しにやらせてみる」ことを組み合わせた方がいいそうだ。
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「何となく志望動機を聞く」系の非構造化面接の非効率さが常識になって、応募者が面接官のどうでもいい質問に対して「一応答えますけどそれ聞いて何になるんですか?」「そんな非効率な採用活動している御社ヤバくないですか?」とか堂々と逆に質問できるような世の中になってほしい。
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データ分析の仕事について自分が「一休さん」と呼んでる症状なんですけど、
分析屋さん「なるほど!ではまず、明確な経営課題の指示と整理済みのデータを下さい!」
クライアント「それらが揃ってたらわざわざ君を呼ばん!」
みたいな対立を色んなところで聞く。
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欲求段階説で有名なマズローは「ハンマーを持つ人は全てが釘に見える」という警句を残してるそうなんですが、一般的に人間が何かしらのスキルを身につけることは素晴らしい一方で、どんな課題を前にしても「有効性問わず覚えたスキルを使うこと自体が目的化してくる」という人は一定数存在してる。
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何かを「知ってる」と「理解してる」の大きな違いはその柔軟性である。「知ってる」だけの人はそれを説明する際にコピペのような正しい記述を繰り返すのに対して、「理解してる」人は相手の前提知識や好みに合わせて何通りでも説明の仕方が思いつくし、逆に何と説明すると間違いかの判断もつく。
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「最近の若者はキレやすい」みたいな直感に反して、少年犯罪の統計見ると1960年代半ばは(人口10万人あたりで)現代の4倍ぐらい暴行で検挙された少年がいるし、1981年もなかなかの値である。店員にキレてる年長者たち、「この当時高校生ぐらいだった人」と考えると合点がいく。kangaeru.s59.xrea.com/toukei.html#hi…
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自分が知る限り一番大規模な双子研究のメタアナリシスだと、「高い知能を持つか」に対する遺伝率(遺伝による個体差の説明力)が54%、家庭環境の説明力が17%って結果だったので今twitterで出回ってる「知能の7~8割は生まれつき」説はデータ古くないですか?ってなってる。nature.com/articles/ng.32…