1101
数十分後
意識を取り戻したスタッフが駆けつけたところ
おびただしい戦闘の跡があるばかりで
2人と1匹以外は誰もいなかったという
ただ、不思議なことに
眠ったリツカとマシュの頭には
誰かが撫でたような黒い手形が残っていた
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「この人たちはっ!
いつか私のところに来てくれるの!
あの暗い家に来てたくさんお話をしてくれるのよ!
楽しい楽しい演劇をしてみせてくれるの!
それをおまえっ
おまえなんかにっ!
爪のかけら1つだってやるものか!!」
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酒呑童子の魅了が性別関係なく入るのが物凄く好き
あれは酒呑童子の美しさに魅了されているのではなく
いや、勿論酒呑童子は美しいのだが
あれは魔に魅入っているのだ
人が鬼に取り憑かれ衰弱しながら今際の際まで恋い焦がれるような
人から体だけでなく心まで毟り取る
鬼の 鬼たる力
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黄泉戸喫
よもつへぐい
イザナミを迎えに黄泉にいったイザナギだったが
すでに黄泉の国のものを口にしていたイザナミは、現世へは戻れなかった
カルデア規則 特記53
「異界のもの、異界から来たものが勧める食べ物を口にしてはならない」
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「藤丸のやつ最近ゼミこねーよな」
「fgoだけは毎日ログインしてるぜ」
「あいつも好きだねー」
「ってオール聖杯スキルマ宝具5アビゲイルになってんじゃん!」
「は?だってあいつ年明けにまだ難民だっ…」
「いや 最初からいたな」
「確かそうだった 一緒に人理修復したって自慢げだったもんな」
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「 食 べ た ッ
食べた食べた食べたッ
食べたッ食べた食べた食べた食べた食べた食べた食べた食べた食べた食べた食べた食べた食べた食べた食べた食べた食べたたべた食べた食べたたべた食べたたべた食べたたべたたべた
たべたたべた!
たべたッ
たべたたべたたべたたべたたべた!!」
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…この状況に違和感を覚えないのも
彼女と自然に会話しているのも
きっと目の前の彼女の仕業だろう
肌で分かる
この子は
二次元の、キャラクターの
サーヴァントのアビゲイルじゃ ない
でも…どうしても
この子の頼みを断れない
いや 断りたくない
「ありがとう、アビゲイル」
パクッ
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「………来年はチョコも新しくなるの
毎年毎年同じものでは ね
嘘じゃないわ うそじゃないの
私は魔女じゃないから嘘はつかないわ
とてもがんばりました
見た目はよくないけど すごいの
なんどもなんども失敗したの
きっとおいしいはずだわ
だから食べて
食べて
食べてくださいな
おねがいよ… 」
1110
「しかしおどろいたよ
一年後のおれはアビゲイルを引いているのか?」
「ええ!ええ!勿論!
今から半年後にピックアップがあるの!そこで何人も何人も私をよぶの!」
そりゃすごい
それで悲しんでる過去のマスターにチョコを渡しにきたのか
でも、友達がいっていた
アビゲイルのチョコと
形が違うな
1111
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マシュの戦闘不能演出が
消滅から退避にかわって暫く経つけれど
変更後を見た時に思ったのは
退がる体力が残っていれば助かるけれど
デミサーヴァントのマシュはサーヴァントとは違うんだ
退がれなければしんでしまうんだ
消えてカルデアに戻ってたりはしないんだ
しんだら しんじゃうんだよ
1113
@_t0da_
未召喚のサーヴァントが夜の夢に出て来たら気をつけなさい
サーヴァントがあなたに干渉してきているのだから
未召喚、未遭遇の何かが昼の夢に出てきたら逃げなさい
それは遥か未来から縁を結ぶために、たったひとりでやってきたものだから
逃げなさい
逃げられるものなら
1114
@_t0da_
「やった やったわ!
私ついにやったの!
毎日毎日お祈りしていたわ、いつかあなたと一緒にいられますようにって!
ええ、ええ私!もうあの村も、あの世界もいりません
あとの全部はさしあげます
だからこの人だけくださいな
本当にありがとう カルデアのみなさん」
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@_t0da_ 下総国から帰還した際
カルデア職員は彼がセイレムに行くことに強く反対した
箝口令が敷かれ、情報を遮断した
セイレムそのものを抹消しようとしたのである
要はセイレムを見捨てたのだ
しかしマスターは消えた
部屋の日記には一言
「よばれたのでいきます」
とあった
1116
@_t0da_
時が過ぎ、人理修復の最中にジャンヌダルクを召喚し、取り急ぎ洗礼詠唱を行なったものの
終わった後、彼女は職員らに首を振り、こう告げた
「あれは我らの主の御手の内にはありません。信じたくありませんがあれは異形の、異界の
悪魔であり、また神そのものなのです」
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@_t0da_
「悪魔の最大の芸術とは、
自身を悪魔だと悟られないことである」
職員は次第に事の重大さに気づいたが
人理修復をし始めたばかりのカルデアには、
洗礼詠唱を扱えるサーヴァントはおろか、聖人のサーヴァントすらもいなかったのである
事態は緩やかに進行していった
1118
@_t0da_
職員がカルデアのデータベースで調べたところ、該当のサーヴァントはすぐに見つかった
フォーリナー
アビゲイル・ウィリアムズである
しかしながらその後まもなくあった彼女のピックアップに、マスターは一言だけぽつりと零し、全く興味を示さなかった
「この子じゃない」
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@_t0da_
1月14日
カルデアからの通信を受けた部隊が到着したが
建物内にはただの1人もおらず
このテープが格納庫にあるばかりであった
カルデア内は成分不明の黒い液体で汚染されており、酷く劣化していた
特に洗面所は
推定300年以上経ったような状態だった
1122
@_t0da_
「1月13日
外はにぎやか!
ぼくもはやくいかなくちゃ
ガタガタッ
ガチャ
ひろげよーおーぼくらのゆーめーを
とどけよーおーぼくらのこーえーを
さかせよーおーぼくらのはーなーを
せかいにーにじをかけよー
ララララーラ ラーララララーラー
ララララー
1123
@_t0da_
「1月12日
外は歌
ここは寒い
外はたのしそうだ…
あの歌…きいたことあるってずっとおもってた…
歌ったんだよ
小さい頃
歌はみんながうたってる
マシュやフジマルの声も聞こえるぞ
ぶじだったのか
よかった
…ここはさむい…
さみしい…
外はたのしそうだ」
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@_t0da_
「1月11日
外は静か たまに歌
食料は心もとない
通信は繋がらない
あたまがおかしくなりそうだ…!
ドンッ!ドンッ!
!?
だれだ?あいつじゃない
変な歌をうたってる
ここはもうあぶない
奥の格納庫にいく」
1125
@_t0da_
「1月10日
外は相変わらず静かだ
たまに何かを引きずる音と、変な歌が聞こえる
まったくあのガキ!なんてもんを呼び出しやがったんだ!
あいつがアビゲイルの姿をしている以上、正気喪失のスキルを保有している可能性がある
歌を聞かないようにしなければ…」